2008年12月1日(月) 小てつ
「山を歩くとな、ボケへんのやで。」
小父さんの持論である。
「普通の道を歩いとるんと違って、次に、どこに足をつくか、瞬時に判断せな
アカンしな。」
考えていなくても、今ついている足の情報が脳に伝わり、次の足をどう出す
か、脳が勝手に指令を出すのだそうだ。
脳の中では、情報伝達が活発になり、
「脳が活性化しよる。」
そうだ。
わかるような気がする。
少し変化のある山道を歩くことで、脳が刺激されるわけだ。
それに比べ、林道やアスファルト道では、自然と歩調が単調になり、足だけ
でなく、脳も飽き飽きしてくるんだろう、とても疲れる気がする。
「体が覚えるちゅうやろ。あれは脳が覚えよるんやで。」
山歩きの経験があがっていくと、足のつき方が自然と変わっていくそうだ。
一度、小父さんの山靴の裏を、盗み見たことがあるが、それは見事だった。
細工でもしたように、まんべんなく磨り減っているのだ。先もかかとも、
左右とも。あんな靴裏は、見たことない。
がしかし、それはわかった。脳の活性化はさせたいが、この鎖骨に食い込む
荷物をボッカして、何故に登山道をはずれて藪漕ぎ、倒木くぐりをせないか
ん?
「近道ですわ。」
ああ、そうですか。
そこで小父さんに、
頭の中身の活性化は、もう大概でいいんで、外見を活性化できませんかね?
と、聞こうとしたが、
「それ知ってたら、先に私がやってます。」
と、言われそうなので、黙って足を動かした。
ボッカ話のその2
【 記: 小てつ 】
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