親父の山歩き報告 (NO.23)
鈴鹿御在所岳と鎌ヶ岳 |
鎌ヶ岳山頂から下の鈴鹿スカイラインが見えています |
2008年 5月22日 (木)晴れ 洛西伊達オヤジ
◆こんにちは、連張りすんません、洛西伊達オヤジです。今回は鈴鹿に行って来ました
長い間、鈴鹿スカイラインが通行止めで、行きたいなーと思っていた鎌ヶ岳に挑戦。ただ武平峠からだと時間的に早く登ってしまうので、張り切って御在所岳経由武平峠、鎌ヶ岳と結うヨタヨタオヤジとしては大丈夫かいなと、半身半疑の挑戦。後でコースで出会った人達に聞くと、全然普通のコース取りとの事でした。 事実ヨタヨタオヤジなりに歩けたのですが、後で書きますアクシデントがあって、逆に車の所には早く戻れました。御在所岳は結うまでも無く、湯ノ山温泉を麓に控えた観光地で、もちろんケーブルも完全に山頂公園まで運んでくれます。ただ厳密には山頂はもうチョット上ですが、展望台は観光客がゾロゾロと。こう書くとなんか面白みがない山のようですが、ところがどっこい歩いて登るとなると、これがなかなか厳しい岩登りなどがあり、特に中道コースは距離は短いですが急坂、岩場厳しく甘く見ていたらエライ事になるみたいです。
ベテランみたいな事ゆうとるなあーと思われるでしょうが、実は中道コース登山口から少し登り始めた時に、後ろから単独の男性が登ってきました。結構お年はオヤジより上の感じの男性ですが、なかなか歩きはオヤジなどよりしっかりして、聞きますと地元の方で週に2〜3回登られるとか。結局上までその人に引っ張ってもらいました。 途中、御在所岳についていろいろ教えてもらいました。よくおしきせがましいベテランがいますが、そんな感じではなく気持ちよく説明してもらいながら、上まで引っ張ってもらいました。途中で「今日も練習しています」と指し示すストックの先を見ると、クライミングの練習中の人が見えます。奥穂大キレットなみとはいいませんが、鈴鹿特有の花崗岩の岩場に一人の男性が挑んでいます。六甲山にもあるみたいですが、ここもメツカみたいです。
強烈な岩場は後半に思いしらされます。なんとか予定の1時間45分で山上公園に着き、地元の男性にその後のコースを教えてもらい、お礼を言って別れます。名前も聞かず、名乗らず、又何処かの山でがええじゃないですか。山頂は、武平峠に向かうアスファルト道からチョコッと登れば行けます。展望は残念ながらイマイチ、ヨタヨタとアスフアルト道から山道に入ります。
ここも中々の急斜面が続きます。目の前に鎌ヶ岳の独特の姿があります。あそこに行くのに今下るのはなかなか、辛いものがあるなあーとヨタヨタです。やがて武平トンネルの上に出ました。目の前に鎌ヶ岳の取り付きが、はいはい、又登りです。時間は11時、なんとか予定どうりです。
その時三重県側から単独の男性が、オヤジは帰りの中道登山口に戻るコースが気になっていたので「何処からこられました」と聞くと、その男性も中道登山口に車を止めて上って来たとのこと。よしよしなんとか鈴鹿スカイラインのアスフアルト道を歩かずに車に戻れそうだと、へんな納得をして、エッチラヨタヨタと登ります。
やはり予想どうりなかなか急坂で所々に岩場があり、ヨレヨレ、ヨタヨタ、しかし先ほどの男性は追い抜こうとせずに、オヤジとの間隔をあけて登ってきます。約1時間ほど歩いた時、前方に女性が靴を脱いでペットボトルの水で足を冷やしています。一見してアチャ ヤッチャッタねーと結う感じです。オヤジは女性の年はよくわからないのですが、オバサンではないキャピキャピのネーチャンでもない(なんのこっちゃい)、とにかく単独みたいなので、オヤジ「あれーやっちゃいましたねー ボキとかブチとか音しましたか」。なんと結うボキャブラリのない質問しとるのや。女性「いえ音は しなかったみたいです」。オヤジは素人ながら女性が冷やしている箇所を見ると右足首くるぶしの上、青じんで腫れて来ています。 オヤジの脳裏に、数年前の愛宕山での自分の体験がよみがえります。箇所も症状もおまけに右足と結うのも同じで、(右くるぶしの下部剥離骨折)もちろん素人判断でそんな事はいえませんが。とりあえずオヤジはリュックを下ろし、愛宕のアクシデント以来、いつも持っている救急袋からシップの塗り薬を取り出し塗りたくって、三角巾を巻いてテーピングの包帯で足首を固定します。 そこへ先ほどの男性も登ってきて、「大丈夫か 今から下りるつもりやったんか 登るつもりやったんか」と聞きますと、上から降りてきたそうで、急斜面を下りた所でくじいたそうです。二人で手を貸して何とか立った女性、オヤジ「どや痛いか、歩けるか」、痛いに決まってるやろ、またもやボキャのない質問。女性「ありがとうございます お世話になりました、なんとかボチボチ降ります」とストックを取り出しチョット歩きますが、いかにも痛そう、リュックをオヤジが背負わそうと持って愕然「こら重いで、なんやテン泊か」いかにも重そうな50Lぐらいのリュック、オヤジの乏しい経験からも18Kはあるでと。 「いったい何処からきたんや、テン泊やなあー」「仙ヶ岳のほうからきました、昨夜はビバークしました」、顔を見合す男性とオヤジ、オヤジは鈴鹿と結う所は単独女性のビバークが流行ってるんかと。以前雨乞岳でカーテン地に包まって、ビバークするオバチャンを思い出しました。とにかく今回のこの女性はオヤジが落ち着いて見ると、装備や服装靴の歩きこんだ状態を見ると、こら昨日今日の山歩きと違うなーと感じられます。もう一人の男性「リュック此処置いとき わしが持っておりたる」と、「上に上がって飯食ったらすぐに下りてくる、此処置いとき」と。女性「いえ ぼちぼち降りてみます スミマセンでした」と気丈にもリュックを担いで歩き出しました。
それを見ていた男性は、今までとはうって変わって猛然と登りました。オヤジも続きますが、これが正に今日のハイライトみたいな鎌ヶ岳山頂直下のガレ場と岩場、話には聞いていましたが、なるほど初心者オヤジ一瞬何処から登るのやと躊躇します。しかし上にオバチャン(失礼)らしい姿も、先の男性の姿はもう見えません。久しぶりの緊張感(うそつけ、いつもやろ)なんとか頂上に、展望は余りよくないですが、それなりにと結う感じです。 先の男性はもう食事中です。時間は12時半を回っていました。オヤジもオニギリをぱくつきながら、後から登ってきた人に先ほどの女性の状態を聞きますと、何とか歩いている様子ですが辛そうだったとのことです。先の男性は食事を終わりすぐに下りて行きました。オヤジも早めに食べ終えて戻ります。ただ山頂から直下の急坂が譲り合わなければ、下りも登りも出来ない状態で時間がかかり、先行した男性の姿が見えなくなっていました。
追い着いたのは女性のリュックを背負った状態で、やはり想像どうり何とか歩いているが相当痛そうです。男性にあなたのリュックを、私が持ちましょうかと言ったのですが「大丈夫です、もう少しですから」と力強いお言葉。様子を見るとやせ我慢ではなく本当に大丈夫みたいなので、任せてオヤジは肩を貸したりして三人でボチボチ下りました。 道々話を聞くと名古屋の山岳会所属で、やはり冬の北アルプスなどにも入る大変なキャリアがある女性でした。でもあの直下の岩場を下りた時に、やはり緊張感が薄らいでしまったのでしょう。実感として理解できます、が現実は武平峠に下りてどうするかです。携帯がつながるのはオヤジは経験済みでしたので、湯ノ山のタクシーを呼ぶか、救急車を呼ぶかですが、女性は救急車を呼ぶつもりとの事で、武平峠に向かいました。 オヤジは、しかし丁度滋賀県と三重県の県境やなあー、119に電話したらどっちにつながるのやろと、しょうもない疑問にとらわれていました。その時上から又単独の男性「どうしたんですか、足ですか」と声を掛けてくれました。オヤジ「そうなんです 相当厳しい状態で 何とか武平で救急車を頼もうと 思っているのですが」、「そうか、そやけどなかなかこんなとこまでこんで、わしが湯ノ山の病院まで送ったるわ、どうせ風呂入りに湯ノ山に行くつもりやったんや」、オヤジ「ありがとうございます 助かりますわ、いや119電話したらどっちから来るのか 心配していたんです、病院判らなかったら 交番か警察署でもいいです、そこで救急車呼んでもらい」、女性「ありがとうございます、そうします」。 その男性は一足先に降りて、車を回してくると先に下りていきました。トンネルの上の取り付き口から、下の駐車場までのゴロゴロ道の長かったこと。普通は10分も掛からない所が30分ぐらい掛かったような気がします。やっと着いた駐車場に、先ほどの男性が車を回して待っていてくれました。実際ホットしましたが、そのうえ「おたくは車 何処に留めたはるのですか」、オヤジ「ハアー御在所の中道登山口です」、「ああ ほなどうせ 前通るのやろ乗っていくか」、オヤジ「ありがとうございます、お願いします」と。 もう一人の男性を見ると女性のリュックを車に積み込んで「いや私は メタボで歩かなあかんので ボチボチ下ります」、オヤジ「そうですか、ありがとうございました、又何処かでお会いする事が出来るかも」。女性も深々と「ありがとうございました」。予想外に一時間ほど掛かって車に戻るはずが、10分も掛からず戻ることができました。「ありがとうございます、よろしくお願いします」、女性にも「足治して 何処かの山で又遭いましょう」。 見送る車に手を振れば、ウグイス鳴きますホーホケキョ、人の心の温かさ、山の厳しさ、素晴らしさ、杖を頼みのこの身には感謝感謝の日々なれど、夕焼け小焼けで日が暮れて、からすの赤ちゃんなぜ泣くの、ポッポッポハトポッポ、アカンオヤジはついに頭までヨタヨタヤ。今日の心に残った人達、中道コースサポートしてくれた男性、武平峠で出会った女性のリュックを背負ってくれたフエミニストの男性、女性を車で送ってくれた男性、足をケガした女性、名前も聞かず、名乗りもせずに、一期一会の山歩き。 感謝感謝 【 記: 洛西伊達オヤジ 】 |
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