親父の山歩き報告 (NO.24)
初心者オヤジ、無謀すぎるで今回も立山、剱岳(Part1)


劔岳は雲の中に 御前小屋の手前から



2008年 6月1日(日)〜 6月3日(火)  洛西オヤジ






(コース)
▼一日目快晴:立山駐車場−ケーブルで美女平−バスにて室堂ターミナル一ノ越−雄山(立山山頂)−大汝山−富士ノ折立−大走り出会い−別山−剱御前小屋−剱沢小屋
室堂8時出発 剱沢小屋15時着

▼二日目曇り時々晴れ:剱沢−平蔵谷出合い−平蔵谷−平蔵のコル−剱岳山頂−復路も同じコースで戻る。
5時出発 15時小屋に帰還

▼三日目雨のち曇:剱沢小屋−剱御前小屋−雷鳥坂−室堂ターミナルバス、ケーブルで立山駅駐車場。
6時半出発 室堂10時着



 こんにちは、洛西伊達オヤジ、ならぬハチャメチャオヤジです。ボチボチ奥へ行きたいなあーと結う発想から、観光スポット立山、室堂からだと大丈夫やろ、テレビで雪の壁を映して観光バスが走り、沢山の観光客が春山を楽しみに行ったはるし、まーチョット足伸ばして立山の頂上へ。そやついでに剱岳も挑戦したいなー、そんな簡単な発想で行くことに。

 富山観光課へ問い合わせ、行き方を聞きます。室堂まではマイカーは行けません、最近はどこも同じです。上高地然り白山然り、立山の駅前無料駐車場に停めてケーブルで美女平、バスで室堂までとなります、と教えてもらいました。山の状況もついでに聞くと、「ああ山は まだ冬です」の一言。

 冬とゆうてもどんな状況なんかよくわからんし、今度は山小屋に連絡して聞いてみようと。本を見て6月1日頃からと書いてある、剱沢小屋に電話して「京都からです、もう営業されていますか、6月1日と2日お世話になりたいのですが、それと山の状況はどんなものでしょうか」「はいはい、ガイドさんは無しですね」「ガイドさん、?なんのこっちゃ」「はい単独です」「山は日によってなんとも言えませんが、此処しばらくは安定しています」オヤジの今回の山行きで幸運だったのは、たまたまこの剱沢小屋に連絡したことです。

 ただこの時点では小屋の方とオヤジが考えている事は、全くチグハグだったと言えます。とりあえず着るものから、アイゼン、手袋までしまいこんだ冬物を再度取り出し、土曜日31日の夕方からカーチャンごめん又車貸してや、と立山に向かいました。

立山駅の朝です 室堂ターミナル、一の越に向かうコースから
振り返り撮りました

 約5時間、23時ころ立山駅前駐車場に到着。すぐに寝袋にもぐりこんで、はいお休みなさいです。1日(日)です、朝停めてある車(さすがに多いです)から、ボチボチ人が出て来て準備、オヤジも前の晩買ったコンビニオニギリ、パンなど食べて朝一番7時のケーブルに向かいます。なんかみんなスキーの板やボード持ったはるなあー、ケーブルの後ろの専用貨車に積み込んで、時刻どうり出発です。

雪渓をスキーかついで上がって
大変です、脱帽
一ノ越小屋、展望、最高、薬師岳
今度いったるどー

 7分間で到着、待っていたバスで、はい室堂まで。バスはほぼ満員、途中、称名滝や雪の大壁などの観光案内の放送聴きながら約50分室堂に到着。スキーの人が半数以上で、登山だけの人は少ないようです。一ノ越の小屋を目指して出発しますが、すぐにアイゼンを付けました。此処で今回のオヤジの甘さ加減を告白、服装はともかく装備はアイゼンだけ(かろうじて10本歯)地図は大雑把な北アルプス全体のやつ、ワカン、ピッケル、無し、ストックの先のストッパーは春夏用、サングラスは本当にほしかったです。

雄山への急坂上り口、
まだスキーかついでバンバンいかはる
親切なおじさんに
シャッター押してもらいました

 最終的に目は充血して痛い状態、こんなん初めて、チョット甘かったかなーと思い出したオヤジです。さて、ヨタヨタと皆さんについて行きます。一ノ越小屋から雄山までは急坂です、ただ雪は少なくアイゼンは外してヨタヨタです。さすがにスキーの人は少なくなってきましたが、それでも、まだ板を担いでスキー靴で登ってきます。すごいなー、春山スキーはこんなにハードなんや。それに引き換えオヤジは、相変わらずのヨタヨタで皆さんの迷惑にならないように、譲って譲って登ります。

半分雪の中の鳥居雄山山頂の神社 剱岳かなー 遠くに

 何とか雄山の山頂、神社に到着、鳥居の上の部分だけ見えています。本来は有料との話なんですが、よくわかりません。座り込んで展望を楽しみ、さて尾根の縦走に、ところがここから先は極端に少なくなるのです。皆さんはいずこへ、もともとオヤジが思っていたほど多くない登山者、まだ時間早いのかなー、後ろから単独の男性が。

これから歩く尾根です、真砂岳、別山続きます アイゼンつけずに尾根は歩けました

 オヤジ「エライ少ないですねー、こちらに向かうのは、」男性「そうです、、今の時期は大概雄山で、引き返す人が多いです、」この方は69歳になられるとか。ベテランの方で御前小屋で泊まり朝日の写真を撮られるそうです。男性「どちらまでいかれます」オヤジ「はい一応剱沢小屋に泊まり、明日いけたら剣岳にと思っているのですが」男性「そらすごい、単独でしょう」と、オヤジ「はい、単独はいつもなんですが、キツイでしょうか」男性は「お天気しだいでしょうが、友邦さんに相談して行かれるといいですよ」とアドバイスをしてもらいました。

御前小屋の手前まではアイゼン無しで 夏場はこの尾根を越えて剱岳へ
劔御前から前劔への尾根筋

 後で判ったことですが友邦さんと結うのは、剱沢小屋の佐伯友邦さんの事で、山岳ガイドの人達もその人柄をしたって、泊まりにくると結う有名な方だそうです。先代の時代から大体剱岳といえば、剱沢小屋と結うのがアルピニストの常識だったそうで、そんなことはなんにも知らないオヤジはヨタヨタと進みます。オヤジはオニギリタイムにします。

 男性は夏は別山の下から直接沢小屋に向かうことも出来ますが、今は御前小屋まで行かれたほうがいいですよと、アドバイスをしてくれました。その後二人連れの男性と一緒になったのですが、その人達は大走りを降りて行かれました、結局その日剱沢小屋まで行ったのはオヤジだけでした。御前小屋から劔沢を見ると沢小屋が見えています、一面の雪渓です。アイゼンを付けて雪渓を進むオヤジの頭からは、今朝までの甘さは吹っ飛んでいました。

劔沢を目印にしたがって下りていきます 綺麗なシュプールが、三人の若者でした

 進むオヤジ左斜面から、スキーとボードで綺麗なスロープを描いて三人の若者が下りて来ました。すごいなあーと見とれるオヤジ、劔御前の頂上から降りてきたみたいです。そうか、あれをやるためにみんな担いで登るのや、若者達は又板を担いで御前小屋の方に登って行きました。オヤジは滑って下りるわけにも行かず、ヨタヨタと小屋に向かいます。

 何とか15時やっと到着、室堂から8時間掛かっています。リュックを下ろし受付に、ところが誰もいません、仕方ないので靴を脱いで、食堂の方へ、やっと女性が食堂に、「今日は あのー京都の」「ああお疲れさんでした、主人いませんか、とりあえず二階の三号室で 休んでいてください」オヤジ「はい判りました」とリュック持って三号室へ、誰もいません。二号室で先客の声がします。

 オヤジはリュックを下ろし、落ち着いたので下に向かいます。丁度二号室の戸が開いて男性二〜三名らしい感じ、挨拶をして食堂に向かいます。ご主人らしき人が男性と話しておられました。ストーブが赤々と焚かれています。「あのー 今日ご厄介になる京都の「ほにゃら」です、受付の方お願いできますか、」と大体何処でも小屋は前払いが常識で、今まで全部そうだったのでオヤジも財布取り出し、「ああ又後で受付します、支払いは最後でいいです」との事、えらい変わった小屋やなあーと調子狂うオヤジ。

 厨房から奥さんが「そうそう電話頂いてたわ」「単独さんて珍しいので覚えている」オヤジ「あのー 明日劔に登りたいのでが」と結うとしゃべっていた二人、男性は今日オヤジ以外の泊り客男性三人のガイドをしている人でした。「単独やねー 今までどれぐらい経験あるのです」オヤジ「いえ経験と結うほどの大層なことは 特にアルプスはほとんど」御主人「今までどの辺り登りました」「はい 一番きついなあーと思ったのは 槍から北穂の大キレットです」

 二人声そろえて「冬季か」と「いえ滅相も無い10月の雪のない時です」御主人「そら、なんの参考にもならんなあー」「装備は」「はいアイゼンは持っています」「ピッケルは、アイゼンは爪は何本」と矢次早の質問、こらなんか怒られてるみたいやなあー「はい10本歯でピッケルは持っていません」「今の時期アイゼンとピッケルは常識ですよ」ガイドさん「そら辞めたほうが良いと思います、ねー」と御主人を見ます。後で聞いた話では(次の日のガイドさん)こうゆう状況では絶対やめなさいと、ご主人は言われる状況だそうです。

 大体今の時期こちらの小屋はガイド付きの登山者がほとんどで、事実今日のほかの泊り客男性三名も、昨日今日の歩きだした人ではないのは、いつもの靴やリュックの感じで判ります。ガイドツアーで初めて会った人達らしいのですが、オヤジみたいな初心者単独は珍しいと結うより無かったのでは。

 それが、どうゆうわけか、じっとオヤジを見ていた御主人は、「まあーピッケルはうちのを使えばよい、ただ夏場も劔には登った経験ないのやろ」「はい、なんか蟹のヨコバイとか、タテバイとか厳しい所があるとか」「そんなもん関係ない、上に行けばクサリ場は雪はないし、どうと結う事は無い、問題はコルに取り付くまでや」とメモに丁寧に劔沢からの取り付きを書いて、「いいですか、かならず三本めの谷、平蔵谷ここしか行ってはダメ、それを間違うととんでも無い事に、もう一本先に長次郎があるが、これもガイドいないと厳しすぎてだめ、それ以外は今の時期は論外」

 丁度表でブルで雪かきをしていた息子さんも入って三人でオヤジにアドバイスを、「とにかくコルに出る手前の急斜面が一番の難関、滑るとピッケルなんぼ効かしても止まらん、確実にアイゼン効かして、ピッケル打って焦らんと、コルに出られたら、もうそこがクサリ場や、山頂近くに雪の痩せ尾根あるけど、まー風さえきつくなかったら大丈夫、とにかくキツイ、危ない、と思ったら引き返してください、」と結うとピッケルを持ってきて渡して、「それから、山頂に着いたら携帯が使えますので、小屋まで電話ください」と言って番号を地図に書いて渡していただきました。

 食事が終わり談話室で、今日山頂までの経験をガイドさんを含めてきかせてもらいました。そこでも、平蔵谷の取り付きを間違わないように言われました。時間を聞くと5時出発、13時帰還だそうです、9時山頂約8時間の歩き、オヤジも朝弁作ってもらい5時にスタートすることに、

 ガイドの人が「辞めたほうがいいと私は思います、明日山頂に行くのは貴方だけだと思います。とにかく此処は厳しいんです。この時期、此処を行けたらモンブランなんかスイスイです」まー自分の今日登ったお客さんへの持ち上げもあると思うのですが、モンブランとはオヤジビックリして「よく海外の山は行かれるのですか」と聞いたところ、やはり最近は多くなってきたようで、年に何回かはあるそうです、恐るべし山ブームです。

 さて9時の消灯に合わせて熱いシャワーも使わせてもらい、初めて山小屋で一人一室でグッスリといきたいところですが、なかなか興奮して寝つけません。それでもなんとか、やはり手足が自由に動かせて寝られるのはありがたいです。

◆二日目
 4時過ぎに起きて手洗い済ませ、朝弁半分食べて予定どうり5時に出発、御主人になんと見送ってもらいました。「ピッケル持ちましたか、」と確認、「気を付けて」もうそれ以上は何も言われませんでした。オヤジ「はい、危ないと感じたら必ず断念して帰ってきます」オヤジ、これは絶対に迷惑かけられないと結う思いが強く涌いてきました。

朝、夏コースの尾根、劔山荘が見えています 劔沢の雪渓を下りていきます
平蔵谷の取り付きから平蔵谷を見上げます

 天気はうす曇、風は小屋では無風、気温はおそらく零下だと思われます。アイゼンの音がシャキシャキと高いです。ヨタヨタオヤジ、広い雪渓を今日ばかりは、ヨタヨタと結うわけには行きません。取り付きを間違うわけにはいかないのです。

なんとか判ったのは昨夜談話室で、そういえば平蔵の谷の手前だけ、ブッシュが見えていたのと違うかーと結う話がピッタリでした。「ここやあー間違いない、しかしものすごい雪渓やなあー」しばし取り付きに立って見上げます。



 よし行ったろかい、と登りだすオヤジ。しかし50mほど一気に進めたのは、最初だけ、30mになり10mになり、やがて5m行くのがやっと、息が切れて、リタイヤーかなあー、コルは見えてきましたが、なかなか近ずきません。コルまで約300mぐらいの所から、後ろを見るのはやめようと思う傾斜に、ピッケル刺してはアイゼンを充分に利かして、この300mほどの為にピッケルがいるのや、口の中からから、おまけにオヤジがヨタヨタ過ぎて時間が掛かり、雪が緩んできています、オヤジ今までで最大のピンチです。

 第二部へしばしお待ちください。なに勿体つけてるのや、いえそおゆう訳ではないのですが、眠たくなってきました。すんません、二三日も掛からないと思います、第二部書きます。


               【 記: 洛西オヤジ 】