芦生・天狗峠 西南尾根


写真(0:天狗峠山頂枯大木)



2009年9月5日(土) くもりのち晴れ  森の旅人M



コース:
芦生須後〜トロッコ道〜灰野〜赤崎谷〜カヅラ谷出合〜天狗峠・西南尾根取付〜尾根ピーク1(七瀬谷・カヅラ谷分岐)〜尾根ピーク2〜天狗峠〜尾根ピーク2〜尾根ピーク1〜西南尾根取付〜カヅラ谷出合〜赤崎谷〜灰野〜芦生須後





 夏の芦生に行くため色々コースを思い描いているうちに,9月になりトロッコ道から天狗峠に向うことを決める。カヅラ谷を遡上したいが装備が不十分なので今回は尾根歩きに決める。以前に南側のコウンド谷から登ったことがある天狗峠,2回目の登頂です。

 芦生に行くときは早朝5時に家を出る,京都では青空も見えた天気も北に向うにつれて悪くなり,佐々里峠からはどんよりとした曇空になった。現地に着くと天気は霧雨,周囲の山にはガスがかかっている。天気予報を頼りにしているのに余りの天候に心は晴れない。

 須後の駐車場に入ると,車が1台止まっており男性一人の姿があった。お互いの今日の行く先を聞き合うと,先方は櫃倉谷からオクノタニを回ってくると言って先に行かれた。準備を整えて出発する頃には霧雨も上がり曇り空の中を行く。鉄橋から見る由良川の水量はいつもに比べて少ないようである。何回も通ったトロッコ道であるが何気なく見るとレールの横にヤマジノホトトギスが一輪咲いていた。踏みつけられないか心配な程である。

トロッコ道とススキ 危ない丸太橋
ヤマジノホトトギス マツカゼソウ

 灰野ではマツカゼソウが咲き始めている,赤崎谷の崩壊したショートカット橋では沢におりて通過,トロッコ道に架かる大型の木造橋は,どれも崩壊し自分の足で谷に降りて越して行く。歩き始めてほぼ1時間,小ヨモギ作業小屋跡で小休止。この後トロッコ道で一番危険な丸太橋,傾いて尚且つ長さが10mほどあるのに手摺がなく危なくて立って行けない。丸太橋手前でトロッコ道から離れ一段おりてトロッコ道沿いの細道をたどり丸太橋で上がりトロッコ道に戻る。先に進むにつれてトロッコ道には落石,倒木が目に付きだし歩きにくくなる。刑部谷の橋も崩壊し,谷に下りて渡る。少し歩いてカヅラ谷出合,カヅラ作業小屋跡から河原に降り立つ。天気は相変わらずどんより雲。これから西南尾根の急斜面を登るため,少し長い休息を取る,おにぎり1つをほうばる。

カヅラ谷出合 西南尾根取付
大岩 細い尾根道

 カヅラ谷を渡りトロッコ道の脇から,西南尾根に取り付く。最初は急斜面が続く,大岩が2つ連続した箇所を通り四股を使って上りがしばらく続く,小ピークをいくつか通り稜線に乗れば,細い尾根道になりようやく薄いが踏み後が見て取れる。ミンミンゼミが遠くで鳴いている。全体にスギが主体の道であるが,やがて斜面の中に1本のブナが目に入る。斜面は続き大木の枯木が2本転がり前進を塞ぐ。だんだん尾根が広くなり最初の尾根ピークに近づいてきたことが判る。平坦な尾根ピークに着く。スギ・ブナ・コナラなどの植生である。ここは七瀬とカヅラ谷の分岐であるがピークからは北東に下った位置となっている。分岐から東へ下ると鞍部になり直径1mほどの水溜りがあった,ヌタ場のように感じた。

尾根のブナ 大木の倒木
七瀬・カヅラ谷分岐 尾根ピーク
山頂手前のブナ 尾根下り方向

 広い尾根になりここに来ると薄い踏み跡も不明確になり分からなくなっている。尾根を外さないように歩くが,2m程度のスギの幼木にシャクナゲが加わり前方が見にくくなる。平坦な尾根ピークに到着,ここもスギ林にスギの幼木・シャクナゲと雑然としていて落ち着かない。天狗峠への方向をコンパスと地図で確かめ,北東に向う。一旦下り鞍部となる。坂道が続くが,ここからは薄いながら道がついており一安心。山頂までに尾根道がスギの幼木で塞がれた所が2箇所あるものの他には問題なく登っていく。山頂近くになるとブナが目立つようになる。ようやく目印の枯れ大木のある山頂に到着。天狗峠山頂には三角点は無く,広く平坦のためはっきりしない。以前枯れ大木に架かっていた標識が無くなっていた。 )

天狗峠山頂 山頂より北を展望

 山頂から唯一開けた北側を見ることの出来る所でブナの林を見ながらの昼食。遠くに百里ヶ岳も見える。薄日も差し込み明るい山頂となり,風もなく静かな深山の山頂で一人の世界を満喫した。今日は誰にも会わずに山頂を後に同じ道を下ります。ところが何気なく下っていった尾根でしたが何となく違う。確認すると隣の東側の尾根を下っていることがわかった,急きょ西南尾根に戻りました。最初の尾根ピークで何気なく歩いていると,足元に可愛い薄いピンクの花が目に入りました。初めて目にするナツエビネです。まさかスギの多い尾根歩きでこんな花に出会うとは思っていませんでした。何か得をしたような気になりました。

ナツエビネ クサギ

 その後も尾根を外さないように七瀬・カヅラ分岐の尾根ピークを通りカヅラ谷出合を目指し下っていきます。カヅラ出合に着く頃には青空が見え,陽の光が明るい森を照らしています。よく見ると近くにクサギの白い花が咲いているのを目にしました。クサギの咲き誇るところでは,やさしい香りが広がっていました。帰りのトロッコ道では親子三人と男性二人の二組の三組に会いました,静かな山歩きでした。

 無事須後の駐車場に戻りましたが,結構時間は掛かることに変わりなく往復約8時間弱でした。天狗峠は少し遠い山です。しかし,ブナに囲まれた山頂は値打ちがありました。