芦生・天狗峠 カヅラ谷・植橋谷遡行


植橋谷



2009年9月21日(月:祝) 晴れ  森の旅人M



コース:
芦生須後〜トロッコ道〜灰野〜赤崎谷〜カヅラ谷出合〜カヅラ谷〜ゲロク谷出合〜植橋谷出合〜植橋谷〜天狗峠稜線〜天狗峠〜西南尾根ピーク(天狗峠直下)〜西南尾根ピーク(七瀬・カヅラ谷分岐)〜カヅラ谷出合〜赤崎谷〜灰野〜芦生須後





 前回,西南尾根を辿った天狗峠。今回はデイバックに渓流クツ持参してカヅラ谷から植橋谷を遡上し天狗峠に向かいます。思った以上にコース取りに時間がかかりました。

 シルバーウィーク3日目,芦生須後の駐車場も多いかなと思っていると,3台駐車。この数日は天気がよかったので,予定の人たちは既に来たのか思いのほか少ない,露が降りている車が1台ありました。久しぶりに晴れて気持ちのよいスタートです。トロッコ道沿いのヤマジノホトトギスも開花が終わったようで,見当たりません。代わりに目に付いたのが紫色のアキチョウジ。灰野のマツカゼソウも咲き終り季節は確実に進んでいます。赤崎谷と刑部谷の崩壊した橋を通過。ようやくカヅラ谷出合に到着,川の流れは穏やかですが明らかに水量が少なく水位が下がっています。ここで渓流クツに履き替えます。天気も良く安心して谷に入って行きました。

朝日のトロッコ道 アキチョウジ
カヅラ谷出合 カヅラ谷

 カヅラ谷を渡り崩落したトロッコ道の橋と橋脚部の間を通ります。西南尾根の取り付きを左に見て,そのまま谷の右岸を進みます。すぐに渡渉が始まり幾度と行き来します,水深がないため渡渉はスムーズです。倒木が重なる場所からは左岸を行きますが,渡渉は続きます。余程の人でないと入って来ないのかテープ等一切見当たりません。スギの目立つ右岸を進んで過ぎると右手(南側)からゲロク谷が入り込みます。しばらく右岸を歩きますが,足跡があるものの獣道ではと思いながら進みます。河原に下りて谷中央の大きな岩を乗越えて左岸ヘカヅラ谷・植橋谷出合に到達しました。トチノ木が目印となっています。辺りにも多くあり盛んにトチの実の落下する音が響きます。

ゲロク谷出合 植橋谷出合

 小休止後,植橋谷に入って行きます。ところが植橋谷に入った途端状況は一変,ナメ滝が続く視界が目に入ります。芦生の谷も多く歩いてきた私にとっても緊張の続く山行になりました。1〜3mのナメ滝なら直登かサイドを登っていくつもりでいたが,現地に入るとそれも危険が伴うため諦めて迂回して進まざるを得なくなった。

植橋谷へ 4段ナメ滝

 谷入口のナメ滝は右側から登る,続いて2〜4mの4段ナメ滝。緊張感が大きくなる。迂回しながら上流へ,次は緩やかなナメ滝の先に一本の大きなコナラでしょうか。先を進むと右手から細い急峻なナメ滝,前方は狭く傾斜もきつそう。枯れた大木が谷を塞げている,ここは左岸をよじ登り迂回する。5mのナメ滝に当たる。見渡しても迂回できそうに無く,滝の横から草の生えている岩場を位置取りし上がっていく。直登は足元悪く無理なため横移動から足場確保し上流へ上る。ほっとする間もなく細い谷に2〜3mの連続ナメ滝,ここも右手は急峻な岩場,左手より大きく迂回,高巻きして連続ナメ滝をやり過ごす。次は6mナメ滝,小さいが滝つぼもある。水深あって入り込めない,全く無理。一旦戻り右手を高巻くように進む。倒木がありこれを越すために更に上に登り越える,その先2本目の倒木が先を遮る。倒木を抱いて通過。ようやく最初の谷二股に到着。この間予定時間を大きく越している。

6mナメ滝 二俣

 最初の二股にはトチノ木が谷の真ん中に立っている。右の谷に入っていくが,すぐに谷が二股となっている。地図では読めない二俣である。左の谷は枝沢と確認して,ここは右の谷に入って行く。ナメ滝が少なく岩場の谷であるが右岸を高巻いて進む。奥の二股が見えてきた,谷中央に大きな木が真ん中に立っている。

奥の二俣 ナメ滝は続く

 奥の二股からは,左の谷に入りそのまま尾根稜線に乗る予定である。細くなった谷であるが再び3mナメ滝の2段が現れる,その上倒木もあり迂回しながらの遡行である。その先緩やかにとなったものの,次が3m,2mと現れるナメ滝は急峻すぎていずれも無理。高巻いて越していくと,ようやく谷の源流部に着いた。薄いが沢が分岐している。はじめに沢の間,中央斜面を登ってから左の沢に降りていく。完全に水も涸れている。上方の目標を定めて登りだすが,急斜面なため足場も悪く息はすぐ切れる,それでも木の根っ子を掴んでよじ登るが時間が立つが思ったほど高度が稼げない。一息入れて再スタート,直登を諦め左手の尾根に方向を取り直す。結局,源流部から稜線に上がるまで30分ようやく稜線に上がった。

源流部 稜線に出る

 到達地点は思った所に近かったが,本来の山道のある稜線へは小高い丘を通り抜けてようやく出ることができました。そこには一本から3本に分岐したスギがありました。天狗峠には北へ進みます。この稜線は2度目であるため,なんとなく覚えのあるルートです。そして今月2回目の天狗峠に到着しました。今日も誰にも会いません。枯れ大木の山頂と別に南側にある山頂のスギの木に掛けてあった標識が見当たりません。天狗峠では,次々と山頂標識がなくなっています。残るは小さな標識1枚のみです。静かな山頂の昼食後は,2週間前に歩いた西南尾根を下って行きます。

天狗峠 928m 天狗峠枯大木

 急斜面の下り道が終わると鞍部から山頂直下の尾根ピークへ,スギの幼木とシャクナゲが密集しています。前回目にしたナツエビネを探すと既に花は終わり結実していました。このピークで北西に方向転向します。西に向かって行くと尾根が分かれているため,左手(北西)に進みます。鞍部がありすぐに七瀬・カヅラ分岐。カズラ谷には左側(南西)の坂を上がり平坦な尾根ピークを行きます。この後は,尾根を外さないように気を付けてカヅラ谷出合に向って急斜面を下り降りていきます。大岩が2つ続く箇所を通過すると間もなくカヅラ谷出合となります。

 カヅラ谷出合の河原で帰りの準備をしていると単独男性がカヅラ谷を渡ってやってきました。そのまま休まず行くようです。あと灰野近くで夫婦一組に会いました。トロッコ道沿いに目を向けるとツルニンジン・ツリフネソウ・ゲンノショウコなど秋の野草が目に入ってきました。今日はきつい山歩きでしたが,深山では穏やかに時間が過ぎていきます。

ツルニンジン ゲンノショウコ