皆子山 西周回コース(西尾根・ツボクリ谷・芦火谷)


大岩前を歩く  芦火谷



2009年7月18日(土) くもり  森の旅人M



コース:
芦火谷橋〜尾越町〜前坂峠〜西尾根取付「電柱オゴシ102」〜P897分岐〜西尾根分岐〜P926〜皆子山〜ツボクリ谷出合〜ツボクリ谷・芦火谷分岐〜大滝(崖)〜大岩(崖)〜細谷(崖)〜芦火谷橋

注意)
芦火谷は,踏み後も薄く何より崖道が続くため危険なルートです。ロープ等はありません。常に安全第一を気に掛けて入山してください。





行ってみたいと思っていた皆子山西周回コース,往路は西尾根,復路はツボクリ谷へ下りツボクリ谷・芦火谷分岐から芦火谷を二ノ谷へ向うコースを歩いてきました。この時期の皆子山にいる迷惑な生物に気を使いながらの山行でした。芦火谷については情報が少なく,okaokaclub隊の報告が唯一の参考となりました。

 三連休で傘マークが無いのがこの日だけ,連休初日だし思い切っていくことにしました。出発時点で西山も北山も全く見えないどん曇り,降っても仕方ないと気持ちを切替えたものの,現地も今にも降りそうな天気である。

 難路の芦火谷から戻って歩かなくてもいいようにと駐車位置は芦火谷橋にする。西尾根の取り付きは,おばさん山歩き隊を参考にさせてもらい前坂峠「オゴシ102」とし,人気の無い尾越町を通り更に前坂峠への坂道を登って行く,峠を少し越えた所にある道路東側の関電柱オゴシ102が目印です。天気は今にも降りそうな気配,しかし,入山開始で意識は足元注意に切替える。

芦見谷(芦火谷橋で) 西尾根取付「オゴシ102」

 取り付きからは,尾根を北東に向って上り出す,上部に来ると東方向へ変え,一旦下り次の尾根に乗り替える。梅雨空で湿気が高く汗が早くも吹き出てくる。西尾根コースは尾根での方向転向が多くテープもあるが注意が必要である。更にP897分岐に来るとガスが濃くなり見通しも悪くなってきました,コナラ・アセビ・ヒノキなど自然林の中を歩きます。先を進むたびにヒグラシが飛び立つ,ぶつかってくることもありこちらがビックリ。時に可哀相にうまく羽根が伸びなかったヒグラシを目にする。

P897分岐 飛べないヒグラシ

 P926西側にある尾根分岐から方向は東から北東へと取り,ここからは西尾根本筋を歩きます。見通しも良くなりほっとします,P926では小さい表札が掛けられている。一旦下ると鞍部の両側はシダ原が広がる。前方には大岩があり横を通りP926から最初のピークに向う,ここでも方向転向します。三つ目と四つ目のピークの鞍部は大きく右に北東から東に方向を変えている。踏み跡も薄く少しわかりづらい場所となっている。最後の山頂に続く道は細い尾根道になっており,一本道で山頂の三角点の近くに飛び出る。

P926 シダ原
皆子山山頂へ 皆子山山頂

 山頂は誰もおらず,どんよりと曇った空は相変わらず。目の前の蓬莱山は現認出来るが他の比良山系は雲に隠れて見えない。山頂では早くもアキアカネの群れが飛んでおりしばし,疲れを忘れさせてくれる。滞在はわずかな時間で山頂を後に先を急ぐ。

 ツボクリ谷へは急斜面をロープの助けを借りながら下る,登山者が増えたのか道も荒れ気味で歩きにくい。天気がよければ森をゆっくり見ながら下りたいところだが,森の中も薄暗く立ち止まることも無い。下り道であるが汗が出て,メガネにもかかる。そんな中あれ!ズボンについているそれも3センチ近い大きさ。ついに現れた山ヒルである。慌ててボールペンで取るがすぐには外れない,ようやく取った後,両足を見渡すと更にもう一匹ついていた。

ツボクリ谷出合 二ノ滝

 ツボクリ谷出合から,渡河が始まり二ノ滝の岩場をロープ伝いで下り,一ノ滝も通過。一ノ滝からの下り道は山道となり歩きやすくなる。ところが不覚にも右手親指根元に小型のヒルがついているのを見つける,遅かった。わずかであるが出血が始まる。ひとまずキズテープを施すがにじみ出てくる。他にもう一匹。時々足元とズボンを確認しながらの行動となる。

ツボクリ谷 ツボクリ谷−芦火谷分岐

 ツボクリ谷・芦火谷合流部から少し下った所が芦火谷への分岐点,ここには以前は木の標識がおいてあったが今は更に下流に何故か置き換えられている。芦火谷に入って行く。左手に芦火谷を見下ろして細道を上っていく,30mの高度差はあるだろう。岩が張り出している所を回り込むと,その先は崖となっており道が切れている。シカがいた,こちらに気が付いたのか崖の上に向かって逃げていく,その後から小石がゴロゴロと落石してくる。危険な場所である。崖を通過するとスギ林,やがて谷に下りていく。木に「あっち」の標識を目にする。昼前になってきたため,ここで昼食を摂る。

最初の崖道 「あっち」

 昼食後,ここでは渡河はせず,左岸を上流に向って進む。河原は広く,樹木で鬱蒼としている。渡るに適当な場所を見つけて右岸へ渡河。踏み後も不明だが,上流に行くと大きな岩があり,その先は急斜面となっている。その急斜面を登らず,斜面に沿って回りこみ谷に降り立った。右岸へ渡河。そこは正に芦火谷の入口の様で両側から岩が張り出している。狭い谷を形勢して岩が寄せ集まっている。薄暗い中に重々しさを感じる。ここから芦火谷の本流部へ入谷する感じである。滑りやすそうな岩の上行く,手は岩壁をつかみ滑らないように通過する。無事通り過ぎた位置から振り返ってみると,対岸にはokaokaclub隊に書いてある鎖がぶら下がっているのが見えた。垂直で尚且つ足場の悪い所である,良くぞ行かれたものと思った。

芦火谷渓谷 大滝上部は二条滝

 その先の急斜面を行くと,岩棚が行く手を妨げる。1.2m程の高さの岩棚を越えなければならない。足場が無いので両腕で体を持ち上げ,足を岩に上げ越して行く。この先には大岩が2つ転がっている少し開けた場所に出るが,行き止まりである。よく見ると岩場に赤スプレーで上へ向うようにマークがある。尾根に這い上がるが,急斜面で四股を使う。芦火谷のルートは地図にあるように迷いやすく,危険が多い谷である。入山者も少なく,未整備であるため使えるロープ等はなく,全て自己責任が問われる。

 尾根の上部に立つと,左手下に大きな滝が音を立てて流れ落ちる様が見て取れる。皆子山でこんな大きな滝があるとは思わないだろう。樹木が生い茂る尾根を進むと,木に赤スプレーとテープを目にする。ここから左手の滝に向って進むと,なんと崖で道は寸断。ここで行き止まりである。崖の向こうには,道が続いているらしく,テープが見える。仕方なく木の根っこを掴んで崖に下りる。ここで落石があれば逃げられないため急いで大滝直下の岩場まで近づく,滝は上部が二筋で下部は一本になっていた。うまい具合に足掛けのできる出っ張りがあり岩場をよじ登る。先程の見えていた山道まで急斜面を這い上がると,しっかりした道が続いている。

大岩 崖の細谷

 その先はまた崖で行き止まり,ここからは谷に沿っては進めない。急斜面上にマークが見えるため登っていく。大きく崖の上を回り込んでから高巻きして二ノ谷へ向かう。崖の上部を横断しても,回り込んだ先には,また崖道が続く。大岩が現れ谷に張り出している,その先も崖がまた現われ,ここでも道が途切れている。細い谷に下りて前方の道に這い上がるつもりでいたが,ここは足場が悪く。すんなり行かない,上りきれない危ない。諦めて比較的安全と思われる近くの急斜面を下り芦火谷に下り立つ。元の道に戻るには当然,急斜面を攀じ登ることになるが,うまいことにツタが垂れており急斜面の中央部まで登ることができた。後は木の根っこを掴んでの上り。ここは体力勝負の山行である。

山道まで戻り,次は急坂から尾根に乗る。谷側に向うと黄色い道筋を示す標識が目に入る。ここから芦火谷の支流の谷に下る。再び谷から離れて行き,最後は急斜面を一途に上がる。山道の分岐点に着いた。

最後の急斜面を上る 芦火谷橋

 この後は,山道に従い歩いて行くと芦火谷との30〜40mあった高度差も次第に無くなりコナラ林の広い場所に出た。この先では左手に二ノ谷と尾越の合流点が見える。そしてようやく芦火谷橋に到着,無事周回を終えました。崖の連続で危険がいっぱいの谷を通過しほっとしました。この後,スパッツを外すと,山ヒルが次々と出てくる左右共に5匹ずつ,食らい付いていた。途中でたたき落としたものも入れると20匹近い山ヒルを連れて帰る所でした。