小てつのよも山話(NO.55)
「小父さんを、あなどるなかれ」


「これがねぇ、調子よろしいんや。」 と小父さん



2009年7月20日(月)        小てつ








「これがねぇ、調子よろしいんや。」

 と小父さん、最近お気に入りの靴である。靴と言っても「登山靴」では
 ないのだが、山用に皮製の編み上げ工事用安全靴をW流用Wしているのだ。

 安全靴と言えば、つま先に鉄芯が入っていて「重い」というイメージだが、
 最近のは技術が進み、プラ芯で、とっても軽いのだ。
 また、登山靴はゴアテックスで、ビムラムソールでなくっちゃという昨今の
 風潮だが、ビブラムソールと言えど硬度やパターンによっては、京都北山に
 向いていないものもあると思うし、どっこい安全靴の底も、油に汚れた滑り
 やすい工場での使用なども考えられているので、谷道の濡れたナメ岩など歩
 くルートでは最適アイテムかも知れないのだ。

 春秋の時期などは、普段の仕事で着ている上っ張りで山に入っていることも
 あるし、パッと見ると、現地の林業関係者の様相だ。
 ただ、小父さんを外見であなどってはいけない。外見はパッとしていなくて
 も、「肌着」「下着」「靴下」などの直接肌に触れるものは、上等の山用なのだ。

「これをね、最近、通販で仕入れましたんや。」

 テレビショッピングの通販で、○レ製の「カッパ」を買ったのだそうだ。
 読者の方は、「またそんな安物買いをして・・・。」と思われるかも知れない
 が、これは普段の北山藪漕ぎ使用のカッパの話。小父さんは、アルプス用に
 ゴアテックスの上等のカッパを持っている。

 小父さんがいつも愛用の「ゼロポイント」のザック。一本締めで伸縮自在。
 とっても具合が良さそうなので、小てつは色々探してみたが、同じものは
 無い。古いからカタログから消えてしまったと思っていたら、

「これね、試作品ですにゃわ。
 使こうてみてくれ言うて、メーカーの人が持ってきましたんや。」

 探しても無い訳だ。

 まぁ装備のことではきりが無い。しかし一番あなどれないのが、時折出る
 W一言Wなのだ。
 今回の山行でも、抜群のタイミングでのこの一言が出た。

 実は、今回の山行は、「捜査員I」も同行だったのだが、朝食の取り方がまず
 かったらしく、既に午前中にはエネルギーが点滅信号で、全行程の最後の方
 では、もう青息吐息になってしまっていた。そこでの一言である。

「ほれ、あそこに見えるのが、丹波越えや。」

 御存知の通り、「捜査員I」は無類の古道好きである。その言葉を聞いた途端、
 
WギラリンW (キラ〜ンの最上級形である。キラ〜ン、ギラ〜ン、ギラリン
        と変化する。)

 疲れ果てていたはずの表情に生気が戻る。

(あそこに行ってみたい・・・)

 横にいると、声に出ていなくてもヒシヒシ伝わってくる。
 後で考えるに、もしこの一言がなかったら、疲れ果てて峠に降り立ち

(あぁ〜しんど。もうしばらく山はやめ〜。)

 だったかも知れないが、あの日峠に降り立った「捜査員I」は、丹波越えをど
 う攻めるかと、すでに次回の山行のことを考えていたに違いない。
 
 小父さんの口からは、単に偶然出ただけかも知れないが、周りの同定ができ
 ていないと出ない言葉だ。

 で、結局、「だまされた〜。もうついていかへん。」が、「またつれてって〜。」
 になるのだ。


 ほんと不思議にWあなどれん 爺様Wです   という話



                        【 記: 小てつ 】

工事用安全靴をW流用Wしているのだ