小てつのよも山話(NO.41)
「小父さんの足」


小父さんの場合は絶対に、
「スタコラサッサー」が、似あっている。



2009年4月12日(日)        小てつ








「小てつさん、昔ね、鯖街道を一晩で歩きましたんや。」


鯖街道の話は、また今度と言うことにして、小父さんの「京都一周外廻り
トレイル話」や「南の島の大木発見話」は、小父さんをよく知る人の間でも
まゆつば話になっているらしい。あまりにも現実ばなれしているからだろう。

「京都一周外廻りトレイル」(愛宕から城丹尾根を通って大原のコース)は、
カシミールで測っても60kmはあるし、その一部分を歩いたことのある人
なら、どんなもんかは想像できるだろう。小てつには、絶対二日かかる。
南の島に行ったことのある人は、今の半分整備された道でも大変なのに、と
思われることだろう。

小てつは小父さんの話を、なんでも鵜呑みにしている訳ではない。怪しい話 
は時々あって、よくよく笑わせてもらっている。
小父さんの怪情報では、他でもない「天皇陛下」が、秘密裏に数度、御崩御
なされている。

小てつは実際に見たものしか信じない方の人だが、小父さんの話は、ただ、
「山」に関して言えば、本当のことばかりなのである。
それを裏付けるのは、「小父さんの足」である。

小父さんの足は、早い。よく漫画で山を歩いている場面は、「ザッ、ザッ」と
表現されているが、小父さんの場合は絶対に、「スタコラサッサー」が、似
あっている。
普段からそんなに飛ばす訳ではないけれど、下りは早くて着いて行くのが
やっとである。登りになるとホッとする。

小てつの足は、それほど遅い方ではないと思うし、小てつは「頑張りっ子」
世代の硬式野球部経験者である。(水を飲んではいけません。うさぎとびを
がんばってしましょう。肩を冷やさないように、夏でも長袖。等々、今では
考えられません。)それに、小父さんと同じく肉体労働系なので、同期生の
営業系のメタボちゃん達よりかは、現役を維持しているはずなのだ。

小父さんと一緒に歩いた経験のある人で、「そんなに大したことなかった。」
と思われている人は、きっと小父さんにW加減Wをされていたのだと思う。
雪の登りで小父さんは、このW加減Wを良くする。

「汗をかくと、気持ち悪いでな。」

と小父さんは言うが、その実、汗をかいてしまうと、止まったときに汗で
体が冷えてしまうことを避ける為、汗をかかない程度のがんばりで登って
いるのだ。
また、こうも言う、

「一旦しんどくなると、なかなか直らんでな、しんどくなる前に休むんや。」

小てつには、それがなかなかできない。初めて登る山なんかは特にそうで、
早くに出発して、ガシガシで登ってブルブルに汗をかき、昼に着くはずの
頂上に10時頃に着いてしまい、「後、どないすんねん。」が多い。
まだまだガッツイている。

また、小父さんの最大の強みは、夜を恐れないことである。
今でこそヘッドランプを常備している小父さんは、その昔、高校に通うのに
山道を往復26km、毎日歩いていた人である。陽の長い季節ばかりではな
かったろうし、晴れの日ばかりではない。まして、50年前にヘッドランプ
もないし、ちょうちんすら持たずに歩いていたに違いない。
だから毎日、普通が26kmなのだから、歩きだけなら60kmも、当然範
疇だと思う。


「小てつさん、私、ここでちょっと休憩してますんで、あの尾根見てきて。」

(何を甘えたこと言うとるんじゃ。自分が勝手に引き受けた宿題やろが!)

 と、帰り道ぶっ飛ばしにされたらたまらないので、心の中で言っておこう。


「春に花咲く大木」探索裏話 



                        【 記: 小てつ 】

紫ショウジョウバカマ