小てつのよも山話(NO.31)
「小てつの娘 愛宕さんに登る 追記」


小てつの娘が通っていた保育園では、節分前のある朝、
園庭に、「愛宕さんの鬼」からの手紙が届くのである。



2009年2月1日(日)  小てつ





今回の話も、小父さんはお休みで、小てつの話。
前回書きました、「小てつの娘 愛宕さんに登る」の続編です。

愛宕さんに登られる方は数多く、その都度、神社にお参りという方もおられる
だろう。
御存知の方も多いだろうが、実は、愛宕神社の神殿には鬼がいる。
鬼と言っても、顔だけで、鉄製の面のようなものであるが、御存知なかった方
は、次回、探してください。

小てつの娘がかよっていた保育園の年長さんは、毎年11月に「愛宕さん」に
登り、その「愛宕さんの鬼」を見せられて、降りてくるのである。
「愛宕さんの鬼」を見てきた年長児は、園に帰ってから、後輩達に、その話を
するのである。

「愛宕さんには、本当に鬼がいた。」

と。
先生は先生で、

「今は、固まっているけれど、溶けて「愛宕さん」から降りてくる。」

と、やる訳だ。

そうこうするうち2月になれば節分に、先生らは、3ケ月の間、「愛宕さんの鬼」
を刷り込んでおく訳だ。
そこで、節分前のある朝、園庭に、「愛宕さんの鬼」からの手紙が届くのである。
手紙といっても、大きな布に墨字で、
「降りていくからな〜」
みたいなことが書いてある。
で、節分当日は、近所のお寺から若いお坊さんが、鬼の面をつけ、衣装を着て、
「愛宕さんの鬼」を演じ、ナマハゲよろしく、

「悪い子はいないか〜」
「言うことをきかない子はいないか〜」

と各クラスを回り、やる訳である。用意周到、凝りに凝っている。
子供達は、逃げ回り、泣き出す子もいるそうだ。

最初の頃は、何もわからず、
そんな行事があるや〜
と思っていたが、何年かかよううち、こちらもおもしろがってくる。
下の娘が、年中さんになった節分の日、小てつは、娘に、こうふっかけた。

「あんな、鬼が来て、怖かったら、鬼の前に行って、こう言うんやで。
 「ここは、良い子のクラスです。悪い子はいません。帰ってください。」
 そしたら、鬼は帰って行くからな。」

ふっかけたものの、そんなことする勇気はあるかいな?どうなるやらと思って
いたら、後で、先生に聞くと、鬼が登場し、クラスの部屋に入ろうとするや、
一人で鬼の前に立ちはだかり、例の文句を鬼に言ったそうだ。
鬼は、やむなく、すごすごと退散したそうで、逃げていったのを確認すると、
目から涙を溢れさせて、先生にダイブし、大泣きしたそうだ。

鬼さんには、申し訳ないことをした。きっと、
「台本と違う〜」
と、困惑させたことだろう。
小てつは、その場面を見ていないけれど、想像するだけで、笑ってしまう。

「愛宕さん」の裾野の町では、こんなこともして、「愛宕さん」になじんで
います。


もう十年も前の、思い出話の2



                        【 記: 小てつ 】