小てつのよも山話(NO.65)
「山の保険」


比良やアルプスなどでは
単独行は厳禁だと言われるそうだが



2009年10月30日(金)        小てつ








「朝起きたら、なにやらめまいがしてならん。どうやら風邪をひいたようじゃ。
 Kだけで行ってこられ〜。」

 と言ったか言わないか、捜査員 I よりの早朝ドタキャンメールである。
 まあ捜査員 Kは元々単独屋さんであり、同じく単独屋さんの捜査員I となら
 気楽なので、つい同行することが多くなっているが、山行の時でも単独が二
 人いるような感じだから、別段、一人になってもあまり計画に変更はない。

 比良やアルプスなどでは単独行は厳禁だと言われるそうだが、小てつが京都
 北山で会うグループの方で、これはと思ったグループはまずお目にかからな
 い。だいたいはダンゴ状態で、一人こけたら皆将棋倒し、浮き石でも落とし
 たら即怪我、見ていて' あ〜あ'と思ってしまう。

 ハイキングでそんなに緊張を・・・と思われるかも知れないが、単独だと
 やはり緊張感が違う。それも小てつの場合、辺境地が多くなってきているの
 で、なにかあってもまず見つけてはもらえないから、なにかあってはいけな
 いと五感六感を研ぎ澄ましながら歩いているのである。
 
 それでもなにかあった時のために、okaoka clubの皆さんは、しっかり「保険」
 に入っておられる。(一番危ないことをしてる人が入ってないという話もある
 が・・・)山の道具が壊れたからどうのとか言うんじゃなくて、やはり皆さ
 ん事故、遭難の捜索費用のことを考えてのことだと思う。

 ただ、この保険、京都北山には適合するのがないような気がするのである。
 京都北山ならハイキング保険で良さそうだが、北山でも冬にはアイゼンを
 使用する。このアイゼンの使用で登山保険の範囲になってしまうからだ。
 なにも10本や12本の前歯の突き出たので、氷壁に挑むのではない。雪道
 で、逆に滑らないように安全にするためにつける軽アイゼンなのに、同じ扱
 いになっている。

「山でくたばったら、機嫌良く大の字になってるから探さんでええ と言うて
 るんや。」

 とのお言葉は、山道整備でおなじみのYさんが以前におっしゃっていたこと
 だ。その後改心されたかどうかは知らないが、くたばった本人はそれで良い
 としても、残った家族はそうもいかないだろう。

 しかし、山の遭難騒ぎによく借り出されるという知人は、

「もし見つけてしもたら怖いやろ・・・。そやし、前だけ見て歩いてんねん。」

 だそうで、そんな情けないのに捜索されても仕方ないのだが、中にはそんな
 のもいるのも実情。遭難するなら、ちゃんとした捜索チームがある比良で・・?


 で、最近、捜査員Kは最強と思える「保険」に加入できている。それは、
 捜査員 I との「メール連絡」である。

 大体のポイントで、メールをしておけばたどった経緯はわかってもらえるし、
 今までの山行で歩行スピードも大体は読める。何より、なにかあったときに
 は、即時でなくても現地までくれば攻め方がわかるので、どっちの尾根に行
 くか、どっちの谷に降りそうかくらいはわかってもらえるだろうと思う。

 ただ問題は' 相互'ということで、捜査員Iが単独山行の時には当然捜査員
 Kに連絡が来るのである。捜査員Iは土曜日行が多く、捜査員Kは土曜日仕
 事の日もあるのだ。で、


' 捜査員Iよ、お願い・・・!
 珍しいものを見つけたからって
 10分置きの写メールはやめて・・・
  仕事中のKの精神衛生状態に悪い・・・'


 絶対にイジメられてるやろ  という話



                        【 記: 小てつ 】

北山でも冬にはアイゼンを使用する