小てつのよも山話(NO.28)
「小父さんの道」


北の尾根道の取り付きに、階段を掛けようと思いますのや



2009年1月12日(月)        小てつ








「小てつさん、雲取に行ってきたんか。
 あそこは、「国体コース」ちゅうもんがあるやろ、
 実は、ここから南の尾根道も、その時、候補になっとったんやが・・」

 と、小父さん。
 何でも、当時の役員さんに相談を受けて、推挙したらしい。
 
「当時は藪で、読図の技術もいる、結構むずかしいルートやったんやで。
 今ほど開けた道じゃなかったしな。
 私が、開拓しましたんや。」

 そう、小父さんは、既にある道を辿ることもあるが、新たに道を見つけたり、
 ルートをつくってしまう方の人なのだ。
 まるで「シャクナゲ尾根」を復活させた「歩京さん」とダブる。

「北の尾根道に、ユリ道と尾根道が、結局同じ場所に出るところがあるやろ。
 ほんまは、ユリ道が昔からの道なんやが、だいぶん前に、ユリ道のほうに
 倒木があってな、皆通りにくいから、尾根に避けて通っとった。
 倒木が朽ちたんやが、その時には、もう笹薮と低い雑木に覆われて通られへ
 んようになってしもててなぁ。
 それで、私が全部刈って掃除をしましたんや。」

 それで、ユリ道も通れるようになり、今のようになったとか。
 数年前以来に通った方は、尾根道が正規ルートだったと思っていらっしゃる
 だろうか。
 小父さんの、北山歩きの歴史がなせる業である。

「南の尾根道の、急坂のところなんやが、今度、谷のほうに道をつけかえよう 
 と思ってなぁ。
 昔のお嬢さんらを案内したときに、西側の谷が見えて怖いと言いよるんや。」

 そんな調子である。
 
「小屋に来るまでの谷道に、難所があってなぁ。
 岩なんやが、結構もろい。
 それで、ゲンノウ(頭の大きいハンマー)とチス(コンクリート用のノミ)
 で、手で彫って4日かかって岩を削ったんですわ。電気ないからな。
 それでも、まだ危ないんで、橋をかけたんや。
 けど、手すりがないもんで皆怖いと言うんで、今度は、手すりをつけようと
 思いましてな。」

「北の尾根道の取り付きに、階段を掛けようと思いますのや。
 この間、子供がこけて滑って、下の木に引っかかって助かりましたんや。
 丁度、現場用のやけど、使わんのがありましてな。」


 ハイハイ、何でもおっしゃって下さいませ。


 赤いザックは、今、小てつの家にある。


 しばらくは奴隷  という話



                        【 記: 小てつ 】

今度は、手すりをつけようと思いましてな