小てつのよも山話(NO.62)
「何かが起こるコンビ 東屋編」


普段ならなかなか足の向かない山を思いついた。
'長老ヶ岳'である。



2009年10月8日(木)        小てつ








「少々疲れが溜まっているので、
 楽に登れて景色の良いところにつれておいき〜。」

 と言ったか言わないか、またまた捜査員Iの難題である。
 景色の良い山ならたくさんあれど、楽に登れるとなるとそうはない。
 本にネットにと色々調べる中で、普段ならなかなか足の向かない山を思いつ
 いた。
 '長老ヶ岳'である。

 丹波の名峰であり、頂上は360度の展望とある。いつも峠の北尾根道にあ
 る西の展望の開けた場所から良く見える山だし、いつか登ってみたかった。
 ただし、登山道は峰床をしのぐ遊歩道のようだ。だからネットでの評判はす
 こぶる悪い。

 しかしまぁ捜査員Kも、ここのところの週末の天候不順も相まって、半分リ
 ハビリ登山のようだし、ドライブ八分で行ってみますか・・・となった訳だ。
 実は、捜査員Kは仏主の登山入り口だけ数年前にチェックしてあった。

 せっかくだからと、行きはわざわざ周山街道を走る。季節はすでに秋の様相
 で、黄金色の稲穂がゆれる。「稲妻号」は周山街道では順調に走り、大野ダム
 を抜け、仏主の集落を抜け、登山口の林道に入る。

 長老ヶ岳の登山道は本にてパラパラと目に入っているし、2万5千分の1の
 地図も持ってきている。登山口には、親切にも立て看板もあり、登山道が書
 かれている。稲妻号ごと近づいて看板を見ていると、後ろから車が・・・。
 邪魔になってはいけないと後ろに下がって、行き違う。と、左手のアスファ
 ルト道に思いがけなく進んでしまう。

 道の先にはすぐにフェンスが。でもこのフェンスもネットによく出てきてい
 た見覚えのあるフェンスだ。手前に稲妻号をデポして早速歩き出す。
 予期してはいたが、このアスファルトの歩きは事の他きつい。また、すぐに
 現れるはずのキャンプ場跡も東屋にも行き着かない。

「あそこに東屋が見えた。休んでいこう。」

 と、捜査員I。
 東屋に着くやザックを降ろし、パンを引っ張り出してかじりながら東屋から
 出てきてあたりを探る。実をたくさんつけたトチの木が目に入ったようだ。
 捜査員Kも東屋に入ってザックを降ろしかけたとき、何かの音が・・・。
 ふと見あげれば、寄せ棟の梁に50cmはあろうかというキイロスズメバチ
 の巣があるではないか。
 
(あせってたらアカン・・・。)

 捜査員Kは、蜂たちに気付かれないように、自分のと捜査員Iのザックを手
 にし、東屋をソロリと抜け出す。その間、数分は生きた心地がしなかった。
 数十メートル離れてから、

「そ、捜査員I、もうちょっとで危なかったで〜。」

「知らぬが仏やなぁ。ハハハ」

 ハハハやあらへん。
 
 それにしても、思いとは違うような感じである。どうせ登っていけば全部長
 老ヶ岳という気楽さがそうさせているのだが・・・。
 と、しばらく歩くとまた東屋があり、傍らに石碑が鎮座している。そこでや
 っと地図を引っ張り出し現地を確認すると何のことはない、最初に道は分岐
 していて、右に進むべきところを左に進んでいたのだ。


 そりゃキャンプ場はいつまでたっても現れませんよねぇ〜

 'キラ〜ン'

「あそこに踏み跡が・・・。」


 まだまだ続く '長老秘境話' 

◆東屋にありました蜂の巣は、下山後捜査員Iが所轄の担当者に報告し、駆除のお願いをしました。



                        【 記: 小てつ 】

東屋の蜂の巣