小てつのよも山話(NO.63)
「何かが起こるコンビ 秘境編」


長老ヶ岳の見事なヤマボウシ



2009年10月15日(木)        小てつ








「あ〜やっと着いた。結構かかったねぇ〜。」

 そりゃ、出だしでつまずいてたんやし、結構かかっても仕方ない。
 いくらガイドブックに楽勝みたいに書いてあっても、なめてかかっちゃいけ
 ません。
 しかしながら、そのせいで思わぬ収穫もあったりで、やっぱり結果オーライ
 の何とかワールドのペースになっていく。

 山頂に着くや、何やらまた工事の様子である。元々山頂に建造物がゴチャと
 あり、不人気な' 長老ヶ岳'なんだが、居合わせた工事の関係者の方たち
 には何の落ち度もない。仕事とすれば、辺境の場所で御苦労をなさっている。
「こんにちは〜。御苦労様で〜す。」

 捜査員Iは、このような場面で、すこぶる愛想が良い。女性単独の山行を長年
 経験しているから身についた特技か、はたまた元来の性格か・・・。
 
「何の工事ですか?・・・フン、フン。」

 と情報の収集に事欠かない。

「いったい何キロ担いだはるんや?わしら弁当とお茶だけ持って、この坂だけ
 でも登るんシンドイ。」

 と逆取材も受けているようだ。
 ひととおり捜査が済んで今度は山の同定に余念がない。しかし、残念ながら
 ガスがかかっていて絶景とは言えなかった。

 しかし、お約束の「野点」もし、頂上を満喫する。さて、下山となるのだが、
 頂上から東に向かって山道が・・・。
 捜査員IとKは、何の打ち合わせも無く、当然のように山道へと進む訳であ
 る。

 (リハビリやったん違うんかい!)

 と言うもう一人のKの声は頂上の風に飛ばされて、懐かしい土の感触を楽し
 むのだが、これは最初の分岐を間違って進んだために、石碑のところに見つ
 けた山道につながっているという確証を得たからなので、棚から何とか・・
 状態なのだ。

 ところが勢いというのは怖いもので、案の定、石碑の場所に出たのだから、
 そのまま元の道を降れば良いものを、またもや見つけたその向こうの山道に
 突っ込んでいく訳である。おまけに「北山の峠」にもある' 仏主峠'の位
 置が、現在の表記場所と違っていておかしい・・・という疑問も沸いたから、
 さぁ大変。2万5千分の1の地図登場である。

 しかしながら、古い道など新しい道ができればすぐさま様変わりしてしまう
 のはどこでも同じで、途中からは尾根なのに踏み跡すらない状態になってし
 まう。

「どうやら、このあたりが峠らしいけど・・・。痕跡ないね・・・。」

 尾根の左側が林道であるのは間違いがない。こうなると、いつもの秘境の旅
 である。

「等高線はこっちの谷のほうが広いわよ・・・。」
「でも、持って降りる木が少ないんちゃいます?」

 ハイキングやトレッキングでする会話じゃない。保険屋さんが聞いたら飛び
 上がりそうだ。
 で、苦闘の数時間の末にアスファルト道に降り立ったところで、

「あっ、ダンプの音や。載せてもらおう。」

「えっ。」

「大丈夫、大丈夫。さっき会った人達やん。」

「ホンマに止めんの???さすが関西のオバ・・・、いやいや。」

 さすが捜査員である。使えるものは何でも・・・。
 気のいい工事の方に荷台に載せてもらいアスファルト道をフェンスのところ
 まで一気に降る。ダンプでも10分以上かかり、載せてもらって良かった〜。

「長老、さすがやわ。今度は落葉した冬に再挑戦やね!」

 いやいやハイキングの山を秘境に変えてしまう捜査員達、皆さんは決して真
 似をしないように・・・

 って、また再挑戦???宿題増えんの〜!




 まだまだ続く捜査員達の探索  という話



                        【 記: 小てつ 】

長老ヶ岳山頂石碑   森の旅人さん撮影