「小てつのよも山話 番外編2」
「峠の流星号 救出騒動」


流星号スタック



2009年9月15日(火)        小てつ








「小てつさん、明日面倒かけられへんやろか?」

 と小父さんから電話がかかった。つい数時間前に、喫茶店で別れたばかりで
 ある。

 時はまだ晩春、「春に花咲く大木」の花見に足しげく通っていた頃の話。
 その日は花見はひと段落で、小屋の付近を散策してきた帰りに喫茶店により、
 小てつは娘を迎えに行かねばならなかったので、ひと足先においとまし、小
 父さんを残し帰路についたのだった。

 えらいか細い声で、

「車が、はまり込んでしまいましてな。
 明日、あんたの車で引っ張ってもらえへんかと・・・、
 今日は、バスで帰りますし。」

「どこにいはるんですか?」

「峠ですわ。」

 実は帰り道、スナック「○○」のママさんに、季節の花を一枝摘んできて欲
 しいとたのまれていたのを思い出し、よせばいいのに峠から林道に入ったの
 だという。
 その日は夕方から雨が降り出し、小父さんが林道に入った時には、結構な降
 りだったようだった。
 花見のために幾度と通って、林道沿いに幾らか咲いていたと思いだし入った
 ものの、折からの雨でぬかるみ、やっぱり引き返そうと「チロリン村跡」の
 所で転回するため突っ込んだのが運のつき、ぬかるみから脱出しようとあが
 けばあがくほど、奥へ奥へとはまりこんでいき、ついににっちもさっちもい
 かなくなり、暗くなり、雨は降り続くわ寒いわで、今日はあきらめバスで帰
 ると言う。
 
 既に現場から遠く離れた小てつには、その日はどうしようもなく、明日の約  
 足としたが、

    待てよ・・・

 である。
 小父さんの「流星号」は2駆(2輪駆動)、でスタック。小てつの「稲妻号」
 も2駆、2駆を2駆で助けに行っても、総倒れにならないか?
 ここは、小てつのコネクションの使いどころである。
 仕事仲間の植木屋に、即電話である。
 
「おっさん、明日軽ヨン、使うけ?」

 交渉即決である。
 小てつがコネクションのメンバーに電話した場合、まず相手が電話をとった
 時点で交渉は決しているのであるが・・・。

 植木屋の軽ヨンは4駆(4輪駆動)である。ましてトラックタイヤ。小てつ
 や小父さんが履いている普通のラジアルタイヤではない。仕事がら、ぬかる
 みに強いようにしてある。

 さて、翌朝、小父さんを迎えに行きピックアップして峠に向かう。
 小父さん、助手席でいつもに増して、ちじこまっているようで、少し反省。
 何でも、夕べはバスが着いた「出町柳」からタクシーで帰ろうとしたものの、
 濡れねずみの小父さんを見た運転手に乗車を断られ、仕方なくまたバスで帰
 ったそうな。相当、懲りたのか?

 現場に着き、ロープでくくり、引っ張り上げる。
 なんと一発である。

 4駆の軽トラ欲しいなぁ
 でも山用ってバレバレやし、嫁さんに怒られるやろなぁ   という話  



                        【 記: 小てつ 】

流星号救出