小てつのよも山話(NO.69)
「千本峠は越えてはならぬ」


もとあった道に倒木があったり、
草が生い茂ってしまったりして、山道は刻々と変わる。



2009年12月15日(火)        小てつ








「小てつさん、千本峠は通らんと堀川通りをさがりましょ。」

 助手席に乗る小父さんから声がかかる。
 京都市内北部に土地勘のある方ならわかっていただけるのだが、北大路通り
 は、千本通りを稜線として西向きには堀川通りから、東向きには衣笠あたり
 から結構な登りとなるのだ。小父さんはその登り道を避けようというのだ。

「エンジン吹かさなあかんので、5ccでも余計にガソリンいりますやろう。」

 という訳だ。
 小父さんはケチではない、どちらかと言えば気前のいいほうだ。それに車は
 小てつの「稲妻号」、小父さんの腹は痛まない。ただ単に無駄と思えることが
 嫌いなのだろう。信号で止まるのも嫌いなタチで、

「小てつさん、前の信号が青ですやろ、そしたらここを左に曲がらんとつかま
 るんですわ。それで、この先を右に曲がると・・・ほれ丁度、青ですやろ。」

 そんな調子である。

「車に乗ってるときは、そんなことばっかり考えて運転しとるんですわ。
 わたしら、しょっちゅう山とを往復しますやろ、1回に10分違ごてみたら、
 3回往復で1時間、1年かよたら1日分くらい損をする・・・。」

 と、さらっと聞いたら納得してしまいそうな話だが、時間の貯金はできない
 ので1日は戻ってはこない。でも、それほど考えているということか。

 実は山を歩いているときにも同じようである。少しでも緩やかに無駄な登り
 降りを避けようとする。武庫川のHさんは正当な?山岳会の方なので、小父
 さんのコース取りには、「そこは登山道じゃない!」と、いつも苦言をあげら
 れる。でも、お構いなしでケモノ道をスタコラ歩いていく。

 小父さんのガイドについて行って、道を覚えようなどとは思わないほうが良
 いのかも知れない。前回に歩いたところを次に一緒に歩いても、同じところ
 を歩くとは限らない。その時その時、歩きやすそうなところを歩くからだ。
 それは山道が変貌するせいもあると思う。もとあった道に倒木があったり、
 草が生い茂ってしまったりして、山道は刻々と変わる。
 
 先日レポのあった、おばさん山歩き隊のTさんが指摘の、尾花谷の取り付き
 が草に覆われていたり、いつレポが発表されるのか、Ikomochiさん指摘の、
 カモン越えのコバイケイソウの鞍部、広河原分岐のところのややこしいとこ
 ろが、クサギに覆われ、余計にややこしくなってしまい、初めて行った人は
 迷うんじゃないかという話は新しいところだ。

(実際、okaoka clubの読者という西京極のTさんがそこらで迷っていて、小父
 さんに拾われ、迷ってしまったことで、逆に病み付きになり、最近、日参し
 てはるそうな・・・。)
 
「何も考えんとボサッと歩いとっても、仕方がないんでね。」


 いろいろ考え、無駄を避け、体力を温存することが、もしもの時のためにも
 なるし、もっと遠くまで歩ける訓練にもなるんかなぁ?  という話



                        【 記: 小てつ 】

小てつの「稲妻号」






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