2009年5月17日(日) 小てつ
「この山の、北の尾根に、白いシャクナゲがありますのや。
今頃行けば、そら満開で、きれいですやろ。」
小父さんの情報である。
当時、小父さんより変人だったと噂の高い、喫茶店の御主人と見つけたのだ
そうだ。
Wキラ〜ンW
そんな情報が、捜査員Iの耳に及んだのである。
最近、花見だ、山菜採りだと、ヌルい歩きしかしていなくて緩んでいた捜査
員Iの、脳のシナップスに強めの電流が流れた訳である。
「捜査員K、わらわをそこに連れておいき〜。」
と言ったか言わなかったか、捜査員Kの愛車「周山街道の白い稲妻号」で、
捜査員Iをピックアップして、取り付きのある林道に向かう。
林道を進むと、途中、大きな木が横たわる地点で、車は進めなくなる。
実は先月、小父さんが雪で林道に倒れた木を掃除するのに、チェーンソーで
幹を切った拍子に天秤をくらい、落ちてきた方の幹に足を挟まれ、手の届い
たところにあった枝で、地面を2時間掘って抜け出したきたという場所だ。
まるで、「北の国から」の一場面である。
「私の骨は、ハガネより強いんでね。なかなか折れません。」
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熊の寝床 |
小父さん 掃除跡 |
小父さんは強がりを言うが、危ないもんである。ただ、言って聞くような人
でも無いし、それが「若さの秘訣」であるから、どうしようもない。
さて捜査員2名は、取り付きから目指す尾根に行く途中に、とんでもないも
のを見つけてしまうのであるが、その報告は、その方面の探求者でもある、
捜査員Iの紀行文を、待つことにしてもらいたい。
目指す尾根に向かうピークに立ち、単眼鏡で見渡すが、探すピンクは、どこ
にも見当たらない。
「また、怪情報と違うか〜。」
何かと最近、大暴落している小父さんの株である。
ブチブチ文句も出始めた頃、ひとつのコブを乗り越した時だった。
「あったあった。いっぱい咲いてる。」
やおら、にぎやかになり、2名の歓声があがる。
「あっちにもある。ずっと下の方まで、ぎょうさん咲いてる。まるで桃源郷や。」
「千と千尋」のワンシーンのようだ。そして、
「あった、白いの。あそこ〜。この先、下までずっとシャクナゲや。」
花を追いかけ、谷底まで降りてしまった。見上げればそこはもう「シャクナ
ゲ尾根」なんかではなく、言うなれば「シャクナゲの壁」だった。
「反対側にもある。」
そうなると、「シャクナゲの谷」か。恐ろしいほどの量の株があった。
捜査員Iにしてこの言葉、
「こんなけシャクナゲ見たら、今年はシャクナゲ、もうええわ・・・。」
小父さん、大暴落株が一気に反発して高値がついた 景気のよい話
捜査員Iの報告紀行文もあるかと思われますが、この場所は、登山道も踏み跡
もない地図を頼りにたどり着いた場所につき、初心者のみ、単独行は、控え
ていただきたく思います。
また、地図に現れない10mに満たないけれど、どうしようもないガケも、
多数あり、細引き、ロープ等の装備も、十分用意願います。
【 記: 小てつ 】
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白いシャクナゲ
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