小てつのよも山話(NO.45)
「小父さん、スッポンをかます」


お点前席は雨が降っているからブルーシートを
フライにし屋根をつくって待ち受けているのだが



2009年5月10日(日)        小てつ








「小てつさん、また土曜日行きますんで、落ち合いましょか?」

 小父さん、今度は○○山岳会の連中を「春に花咲く大木」に案内するそうだ。
 前回、仲間内で散策のおり、小てつがやった「お点前」が気に入って、皆に
 振舞えと言うのだ。振舞うのも構わないが、当日は雨予報である。

「○○山岳会やで、雨天決行ですしな。12時から1時の間に到着しますで。」

 小てつは、この言葉に踊らされた訳である。小てつは、当然決行と、その週
 にアップしていただいた「おかみさん」登場の印刷紙も配達しようと思って
 いたから、いつもとほぼ変わらない時間に出発したのだ。
 
 普通のルートで行けば1時間で行けるから、お茶席の準備を考えても10時
 半に駐車場所に着ければ良いと、それならそれまでに「おかみさん」のお店
 まで往復できると考えたのだ。

 まだ開店準備もしていなかった「おかみさん」に、よも山の印刷紙を手渡し
 トンボ帰りである。丁度10時半に駐車場所に着き大木の前に11時半に着
 いた。さて、12時になり1時になり、雨が降っているからブルーシートを
 フライにし屋根をつくって待ち受けているのだが、なかなかやってこない。
 もしや雨なので、尾根ルートはやめにして普通ルートで来て、11時半前に
 早々に退散したか?

 ここにいてもラチが開かんと、ブルーシートをたたみ駐車場所に帰り、山を
 降りる。電波の通じるところまで来ると小父さんから留守電が・・・

「今日は雨が降っていますが、今から出発いたします。3時ごろ・・・。」

 3時ごろの後が聞き取りにくい。留守電の入っていた時間は朝9時だった。
 小父さんの携帯に電話を入れるが通じない。
 これはまた、この雨の中とんでもないルート取りをして、どないもならん事
 になってるん違うか、よせばいいのに雨のヌタ場に車で突っ込んでいって、
 スタックしてるん違うかと気になってくる。

 とにかく峠まで行ってみようと向きを変えた途端、小父さんより電話が
 かかる。

「今、見て降りてきましたわ。」

「ええっ、私、12時から1時まで待っとりましたのに・・・。」

「3時に見に行くと、留守番電話に入れとったでしょう。」

(今日のルートじゃ電話通じんし、留守電聞けんし・・・)

「で、どこにいはったんですか?」

「○○山岳会が、この雨では止めますになってな、それならと急遽、姫様と
 小屋で石焼き焼肉をしとったんですわ。」

(ジジイ殺す・・・。)


 と、まぁ心の中でつぶやいたが、小てつはひとつも怒ってはいない。どっち
 にしても、鼻からアホらしいことを一生懸命やっているのだ。怒りの方向に
 持っていくのは間違っている。何でも楽しまなければ。笑いの方向に持って
 いったら、こんな笑い話はそうそう無い。


 小てつが山で怒っているのは、「赤ペンキ」と、「どこかのバカ」があちこち
 つけている硬い針金で、生木にギュウギュウに縛った標識ぐらいだ。


 山中で、自然に朽ちる麻のひもでぶらさげた標識や、木をいたわりテープを
 ひもでやんわり巻いた目印を見つけると、ホッとしませんか?  という話



                        【 記: 小てつ 】

自然に朽ちる麻のひもで
ぶらさげた標識