小てつのよも山話(NO.30)
小父さん 「山国にて旅情を語る」


薄暮にうかぶ天童山たちを眺めながら、小父さんが言う



2009年1月25日(日)        小てつ








「小てつさん、この景色はブータンそっくりや。」

 山行の帰り道、途中に寄るところがあるからと、今日は周山まわりでの
 帰り道。
 薄暮にうかぶ天童山たちを眺めながら、小父さんが言う。
 小てつは、ブータンは知らないが、この時間のこの景色は、なんとも言えず、
 旅情を誘う。

「丁度、町はずれに800mの滑走路があるんや。こことそっくりや。
 今は知らんけど、私が行ったころはジャリ敷きでね。
 国の飛行機も一機だけ、国王専用機でね。
 招待うけとるんで、それでお迎えですわ。」

 丁度、周山の山国神社あたりの直線道路を、滑走路に見立て、そのあたりは、
 第二都市バロにあたり、同じように川も流れているそうだ。
 滑走路から少し離れたところに、首都ティンブー、国の庁舎があり、周山の
 それとも似ているのだそうだ。
 高い建物もなく、まわりは山で、標高がまったく違うが、見えている山の
 出っ張り具合は同じくらいらしい。
 
「着陸のときが、怖てなぁ。
 香港も怖いけど、比やないで。
 山やから、気流が悪いんやな、
 ストーンと落ちるみたいに降りよるんや。」

 小てつは、絶対行きたくない。

「ヒマラヤに行ってみたい、と言う奴がおったらな、
 周山行って来い
 言うたるんや。
 遠いとこ行かんでも、同じやで。
 言うてな。」

 そうそう、周山で十分です。

 それに、スリルも同じです。

 小父さん、カーブの手前は、スピード落とすんやで、普通。
 直線と同じスピードで突っ込んでいって、どうすんの?
 いくら昔、小父さんがサーキットを走っていた言うても、
 小てつが信じれへんのは、この2シーターのスポーツカーのタイヤと
 ブレーキや!


 こんな姿勢、30年ぶりか?

 コーナーに入るたび、助手席でフロントガラスを手で突っ張って聞いた
 旅情たっぷりの話



                        【 記: 小てつ 】

山国神社