小てつのよも山話(NO.70)
「山の音」


季節外れの大雪になり



2009年12月23日(水)        小てつ








「わたしゃ山を歩くときは、抜き足差し足でねぇ。」

 別に盗人歩きじゃないんだが、小父さんの歩きは静かだ。静かに歩くという
 ことは、あちこちに負担がかからず足を痛めないことになるのかも知れない。
 熊鈴なんかもつけないので、落ち葉を踏むサクサクという音がするくらいだ。

「熊がおったら、おいっ熊元気か?言うて、声かけたったらのんびりしとる。」

 だそうですが、マネはしないで下さい。

 山に入って、静かにしていれば、いろいろな音に出会える。鳥の声、鹿など
 ケモノの気配、木々のこすれあう音、五感を研ぎ澄まし聞き入るわけだが、
 時折いやな音も混じったり、例えば雨の日の送電線のジジジと鳴る音や、送
 電鉄塔に強風が当ったときのジェット機の爆音のような音。小てつは芦見峠
 で、何が起こったかと思わず身がまえたほどだった。

 okaokaさんの紀行文、2008,10,11の釣瓶岳(イクワタ峠〜ナガオ)//比良の
 文中に、

「遠くで雷鳴がドン、ドンと聞こえ・・・」

 とあるが、小てつはきっと自衛隊饗庭野演習場の砲撃訓練の大砲の音だった
 んじゃないかと思っている。平地じゃあまり気にならないけど、山の上なら
 結構遠くまで聞こえてくるもんで、また何故か土曜日にがんばって砲撃訓練
 をしているのか、土曜日によく聞こえる。

 都会の喧騒から離れ、山に入って五感を澄ましているときに、小父さんの吹
 くハーモニカの演奏を聴けば、モグさんでなくても心に染み入ることだろう。
 ただ、そんな深山中の「山荘」に、先日とんでもない一行が現れたと言うの
 である。

「私も初めての連中で、どういうつながりかわからんかったんやけど、10何
 人泊まれますか?言うんで、そりゃ無理や言うと、自分らでテント張ります
 言うんで、それならと・・・。」

 「山荘」にくることを了解したのだそうだが、

「カラオケしてもいいですか?ときたんや。電機無いで言うと、発電機持って
 行きます言うんやで・・・。」

 その当日仕事があった小父さん、少し遅がけに「山荘」に着くと、既に連中
 が来ていて、スポットライトまで取り付けて、「山荘」をカラオケステージに
 仕立て上げていたそうだ。ようやる連中である。

「せっかくここまで来て、カラオケも無いと思うんやが・・・。」

 花脊山の家でも、テレビゲームを持ってくる子がいると言う話は聞くが、大
 の大人がね〜?

 その連中、持ってきた酒が切れ、なんと小父さん秘蔵の上等の日本酒まで飲
 んでしまって、おまけに夜半に急激に冷え込んだため、小父さんが貸してや
 ったシュラフまで、持って帰ってしまったんだとか。あきれるのを通り越し
 てしまいそうだ。

 バチがあたって、季節外れの大雪になり、連中峠から降りれなくなってあせ
 ってましたけど・・・。


 そやからね、誰でもかれでもはあきまへんで、小父さん   と言う話



                        【 記: 小てつ 】

山に入って、静かにしていれば、
いろいろな音に出会える