広河原 廃村灰野 由良川源流


廃村灰野 森林軌道を歩く



2002 (14) 6.8 (土) 晴れ 哲、道





行き:8時03分 北大路駅前バス停(臨時便)−広河原バス停    (960円)
帰り:地下鉄国際会館−JR京都駅



コース:
広河原バス停−オバナ谷−佐々里峠−小野村割岳出合−大段谷山出合−灰野・須後(芦生山の家)分岐−灰野尾根道−廃村灰野−灰野谷−灰野・須後(芦生山の家)分岐−大段谷山出合−小野村割岳出合−佐々里峠










 臨時便の出た広河原行きの京都バス、終点広河原まで残ったのは我々と他のカップルとで4人だけだった。バス停前は爽やかな風景が広がる。かやぶきの民家、まだ咲いている桐の花、河原にはクリンソウが残っている。

オバナ谷から佐々里峠へ コバノフユイチゴがいっぱい

 スキー場を過ぎ、左手の谷沿いのコースをとる。オバナ谷のウツギは満開である。この谷を滑った記憶しかない道子は、このコースを何故か嫌がっているが、今日は違う。あちこちに見知らぬ花が咲いているからだ。谷は意外にカラッとしていて、所々にコバノフユイチゴやコナスビが咲いており、足取りも軽く佐々里峠に着く。

黄色のコナスビ オバナ谷から佐々里峠に着く

 だが思わぬ自然観察の為、予定より10分も遅れてしまった。先が思いやられる。「暑いなー 今日は」既に真夏のような陽射しを受け、先ほどからお茶をガブガブ飲んでいる。佐々里峠から灰野コースを取る。

 最初少しの登りが続くが、すぐになだらかになる。雑木の間に大杉が点在するこの尾根、視界は余り良くないが気持ち良い山歩きとなる。コースを北へ向かう。20分過ぎても「小野村割岳」への分岐に出合わない。「前来た時、たしか20分やったで ここまで。 まだかいなー」と呟くが、前を行く道子は「前回は寒かったよって 早よ歩けたんや」とスイスイ進む。やっと判りづらい分岐に着く。「ここ 判りにくいので うちの道標でも立てとこか」と言うが、いつのことやら。

フワフワの花のサワフタギ 雑木の間に大杉が点在する尾根道
大段谷山分岐

 今日は廃村灰野に向かって由良川を望むことにした。「大段谷山」取り付きまでは尾根道を北西に進む。前回小野村割岳へ行った時分岐が判らず、この尾根をどんどん進んで30分ロスしたことを思い出す。尾根は狭いが平坦な尾根が続き足元には小さなタツナミソウが沢山咲いている。「コバノタツナミソウ、いやデワノタツナミソウやないの」とデジカメで撮るが、どうやら寒い所なので余り成長していないだけのようだ。そのうち狭い尾根が少し広くなり大段谷山分岐に着く。直進すると大段谷山へ行くので、分岐から直角に右の灰野コースをとり進んで行く。

タツナミソウ フタリシズカ
須後(芦生山の家)分岐

 尾根道から山腹の道に変わり木立の中、気持ち良く進む。右手に芦生演習林が広がってくる。佐々里峠には車が数台止まっていたが、皆さんどこへ行ったやら誰にも会わない。北山で人に会うことは珍しいことだが、このコース道が整備されていて歩き良いのに、誰にも会わない事が不思議である。

 20分で灰野と須後(芦生山の家)の分岐に着く。ここから右手の灰野谷へ降りて行くが、長い下り坂が続き、帰りの登りが思いやられる。やっと谷に着くと、そこには先客の夫婦が昼食をとっていた。我々も小休止し雑談を交わす。

右手の灰野谷へ降りて行く 左の山に取り付き谷と離れていく

 谷を下って行くと、道はすぐに左の山に取り付き谷と離れていく。「灰野まだかいなー」と思う頃、また急な下りを降り立つ。木立の間から前方が明るくなり、どうやら廃村灰野へ着いたようだ。

 とにかく食事だと、森林軌道を越え由良川の河原へ向かう。緩やかに流れる由良川、周りの木立が涼しさを誘う。「計画より20分遅れたので、森林軌道散策は程々にしよか」と、初夏の陽射しを木立でよけてオニギリを頂く。そのうち先ほどの夫婦が到着し、またまたお話している道子。哲郎は由良川で何度も顔を洗う。だって今日は暑く尾根道が続いたので、十分汗をかいてしまった。散策は灰野周辺だけにし帰ることにした。

廃村灰野 由良川源流 廃村灰野 森林軌道が見える
廃村灰野の歴史 廃村灰野 佐々里峠へは3時間かかる  

 「帰路は往路にしよか どうしよう」・・・ ここから、またまた苦難の始まり始まり・・・ 『灰野谷』の立派な道標が2つ立っているので、地図で確認すると確かにコースが破線で記してある。「ここ行こか 16時のバスには十分時間は あるし」と二人は谷に降りて行く。

灰野谷へ進む

 荒れ谷のようで誰も歩いた形跡がない。岩や倒木はコケ生している。取り付け付近はまだ広いので、適当に歩いて上流に向かう。「この谷には渓流美ってないなー 全体に陰気や」しばらくして谷は狭くなり崖の間のナメ滝状態になる。数mトライするが岩肌はツルツル滑り易く、トレッキングシューズでは前に進めない。

 「無理やここ」と半分進んだ岩場をゆっくりひき返し別ルートを捜す。右手の斜面を這って滝を越す。堰や小滝が連続しているので、迂回を何度も繰り返す。前方にまた滝だ。今度は両側の崖が切り立っているので迂回も難しい。これが最後の滝のようだが、もはや体力も気力も失いつつあるので、前進をあきらめ、右手の山腹にあると思われる登山道へ向かうことにした。これがまた大変なのだ。数10mあるガレた急斜面を僅かな木を掴みながら少しずつ進む。手に握る木が段々増えてきてやっと登山道へ辿り着く。

灰野谷 誰も歩いた形跡がない 灰野谷 堰や小滝が連続している

 「あれー 疲れた」と二人はお茶を飲みながら暫く休息した。「ここまで1時間以上 かかってしもた。16時のバス無理みたいや」とブツブツ言いながら、重い足を引きずりながら先を急ぐ。山道はすぐに谷沿いの道に変わり、しばらくして急な登りとなる。「きついなー 帰りのコースの方がしんどいなんて・・・」言葉も出ない。急坂を一気に登ると、由良川であった夫婦に追い着く。「ゆっくりですなー」と声を掛けると、「峠に車があるので下まで送りましょうか 峠で待ってて下さいネ」。さすがに疲れた哲郎は間を入れず「お願いします」。

 広河原までとの便乗が、山の話も進み、とうとう地下鉄京都国際会館まで送って下さった。身体はクタクタだが、何故か爽やかな気持ちで地下鉄に乗った。とても親切で品の良いお二人さん、お名前も伺うのも忘れ失礼しました。とにかく今日はこの『二軒茶屋の御夫婦』に感謝・感謝・。






正しい者の結ぶ実はいのちの木である。
知恵のある者は人の心をとらえる。

箴言【 11:3 】
バイカウツギ


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