八経ヶ岳(トンネル西口〜弥山)//大峰
2010.07.10


しなの木出合から奥駈道出合まで静かな山歩きが続く



2010.7.10 (土) 晴れ  洛西オヤジ、哲、道



車利用:京都 〜R309行者還トンネル西口


コース:
トンネル西口〜行者還岳登山道〜しなの木出合〜奥駈道(弥山登山道)出合〜弁天ノ森〜理源大師像〜弥山小屋〜オオヤマレンゲ保護区〜八経ヶ岳〜弥山小屋 へ戻る〜奥駈道出合(弥山コース下山口)〜尾根コース〜トンネル西口








 「今年はオオヤマレンゲ、どうしましょう」と洛西オヤジさん、「それでは行きましょう」と言ったものの、連日何処かでゲリラ豪雨、あきらめていた時、幸いにも7月10日(土)、1日だけ「晴れ」の予報となる。

 5時30分に京都を発ち、吉野へ向かうが、昨年より車が多く「今日は、早朝から車が多いな〜」と言っていると、「昨年は、5時00分出発やった」と道子。天川からは川追川沿いの細い道を走り、対向車に出合うと一苦労、「これでも、国道かいな!」と思うところである。

 標高1000mを過ぎ、崖に咲くヤマアジサイが美しいと思っていると、前方に車の列が見えてきて、「昨年より多い人や!」「京都を5時に出ないとアカン」と言うことになる。登山口より少し離れた所に駐車し、ゆっくりと準備して三人は登山口へ向かう。まだ準備している人も多いので、到着時刻は余り変わらないようだ。

登山口のステップを上り谷沿いを登り始めると 左手斜面を登って行者還岳登山道へ

 登山口のステップを上り谷沿いを登り始めると、右手に昨年と同じように色鮮やかなヤマアジサイを見る。すぐ左手に斜面を登って行く道があり、「今日は人が多いので、ここから奥駈道へ登りませんか」と洛西オヤジさん。この道は行者還岳登山道とあって、奥駈道の尾根からトンネル沿いに下りてくる支尾根を登ることになる。「今日はここから」と三人は急斜面を登り始める。

 今日は蒸し暑いので、すぐに汗をかいてしまうが、急斜面でも新しい道を歩くのは心地よい。狭い尾根、小さなジグザグを繰り返しながら登って行く。途中の急斜面にはロープが用意してあるが、利用するのは道子だけのようだ。次々に目に映る雑木が新鮮に見え、ゆっくりと登って行くと、シャクナゲが現れてきて、尾根の右手の斜面を登って行くようになる。登山口から奥駈道まで標高差400m、途中で飲水休憩を入れて登る。

急斜面でも新しい道を歩くのは心地よい ゆっくりと登って行くとシャクナゲが現れてきて

 尾根が広くなり前方が明るくなると、主尾根にある奥駈道に出合う(しなの木出合)。小休止後右にとり、奥駈道を弥山に向け歩き始める。背の低いササの緑の中に、しっかりした道が続き、周囲の雑木も綺麗で、しばらく快適な歩きが続く。この尾根にはブナ等に混じりシロヤシオの木が続き、満開の白いトンネルを想像しながら歩く。

尾根が広くなり前方が明るくなると しなの木出合(トンネル西口分岐)

 トンネル東口の分岐がある一ノ垰を過ぎ、尾根が西へ向くようになると、尾根から右下の斜面の横道を歩くようになる。静かな歩きが続き、満足のいく歩きなのだが、弥山登山道の奥駈道出合まで、随分と時間がかかってしまう。少しずつ登り始め、人々の声が聞こえてくると、たくさん人が休憩している奥駈道出合のポイントに着く。

弥山登山道の奥駈道出合へ 奥駈道出合のポイントに着く

 今日は蒸し暑く、飲水休憩の回数も増えてきているようで、汗が多く出る分、飲水量も増えるようだ。小休止後、我々は△1600mの弁天の森へ向け歩き始める。標高差100mの登りだが、緩やかに登って行くので全く苦にならない。弁天の森と呼ばれるピークは緩やかで広い尾根なので、登山道にある三角点を見逃してしまいそうだ。そんなピークには人がたくさんいて、ここも休憩場所の一つなのだろう。

 △1600mを過ぎると、・1532の鞍部へと緩やかに下って行く。尾根道の左右には雑木が続き、気持ちよく歩くことができる。道は緩やかに登り始め、理源大師像がある小広場に着き小休止とする。この先は弥山小屋まで急な登りと変わるので、皆さんここで休息しているようだ。

尾根道の左右には雑木が続き 理源大師像がある小広場に着き小休止

 道はジグザグに登り始めると、足元に石が増え歩きにくくなる。でも弥山小屋が近いので、道端に咲くバイケイソウの花を見ながら登って行く。登山者の歩く速度は大体同じようで、周囲にいる人は最初に奥駈道出合で、出会った人たちである。道は大きく斜面を巻いて行くと、標高1700m付近から木製の階段に出合う。

 階段の手前で小休止し歩き始めるが、もうヨレヨレの三人は、ゆっくりの歩きとなる。どうやらヨレヨレは我々だけでなく、前後の登山者もヨレヨレで、抜きつ抜かれつつ・・・汗が滴り落ちてくる。朝5時にバナナと一切れのパンだけの哲郎もヨレヨレ、これ以上は無理だと、階段を登り切り尾根に出合った所で「昼食にしよう」と言うことになる。

道端に咲くバイケイソウの花を見ながら 標高1700m付近から木製の階段

 昨年はオオヤマレンゲを見た後に、八経ヶ岳で昼食をとっていたので、今年は昨年より約1時間遅れているようだ。登山者は必ずここで休息とり、遠望を楽しんでいくものだが、もう12時を過ぎているので、我々と同じく昼食をとり始める。昼食後は標高差100mを登り切ると弥山小屋に着く。

展望を楽しみながらの昼食も終わり 弥山小屋に着く

 「あ〜やれやれ」と休息の前に山頂トイレへ行く道子だが、トイレ使用料100円のところ「100円ないし 500円も入れてしもた!」と言いつつ帰ってくる。「それでは、下山時も利用するか」と十分休息後、南のオオヤマレンゲ保護区へと奥駈道を下って行く。

 登山道の左右には針葉樹の木と、その立ち枯れの木が増えてきて、植生が一変する。その木々の間から、これから向かう八経ヶ岳が見える。傾斜が緩くなる頃に左手に囲いが見えてきて、奥の方にオオヤマレンゲの花を見る。「どうやら咲いているようで」と一安心して下って行く。その金網の囲いの中にはカラマツソウがたくさん咲いているが、昨年見たマイヅルソウはもう終わっているようだ。

その木々の間から、八経ヶ岳が見える カラマツソウがたくさん咲いている

 奥駈道にある保護区のトビラを開けると、左右に綺麗に咲くオオヤマレンゲを見る。「もっとゆっくり見よう」と思うが、前後に続く人の列、団体さんに出会うと立ち止まってしまう。人の波に「ヤレヤレ」と保護区を抜けると、八経ヶ岳への登りが始まる。八経ヶ岳山頂に着くと、これまた人の波、洛西オヤジさんと記念写真を撮って、早々に引き返すことにする。

綺麗に咲くオオヤマレンゲを見る 八経ヶ岳山頂で一休み
オオヤマレンゲの保護区を抜ける 弥山へ戻って来る

 再び満員の保護区を抜け弥山小屋に辿り着く。大勢の人で賑わっていた小屋前の広場は、もう下山した人が多いのだろう、静けさを取り戻している。我々もトイレ休憩の後、下山を開始する。すぐ目の前に続く木製の階段、登る時、あんなにしんどかったのに、下る時は楽に早く下ることができる。それでも我々はゆっくりなのだろう、後続の人が来ると、道を譲って下りて行く。

 下り切った所に理源大師像があるが、その手前で男性が横になっていて、その横で女性が介抱している。一人の男性が心配して色々と尋ねているが、横たわった男性ははっきりと答えているので、「大丈夫だろう」と哲郎。彼らは登りで一緒だったカップルで、途中でしんどくなり今は寒いと言っている。熱中症のようだが「知り合いに連絡しました」と女性が言うので、我々はその場を出発することにする。

下りは楽な木製の階段 日が陰ってくるので先を急ぐ

 もうここから奥駈道出合の下山口まで快適な歩きが続く。平場だと早い三人は、団体さんを追い越して行く。今が一番日の長い時期だが、16時を過ぎると、もう日が陰ってくる。奥駈道出合の下山口で小休止後、尾根コースで下山する。木の根が邪魔をする急な坂が続き歩きにくいが、このルートが一番早く下りることができる。三人の若者が続いているが、この下りでは我々を追い越せなかったようだ。

 途中で「寒い」と哲郎、随分と冷え込んでいるようで頭も痛くなる。「着替えるのも面倒だ」と小てつさんが調達してくれたアームカバーを取り出し装着してみる。バファリン+アームカバーで頭痛も取れ、下山を開始する。登山道がはっきりしてくると、谷に出合い、三人は谷で小休止する。顔を洗った後はブラシを取り出し、ストックや靴を洗う哲郎、冷たい谷水が気持ちよい。

登山口にあるヤマアジサイ ただいま帰りました!

 車まで戻ると、もう17時20分「今日は、ゆっくりやった」のだろう周囲の車は、ほとんど立ち去っている。洛西オヤジさんが用意してくれたビールを飲みながら着替えを済ませ、トンネル東口から帰ることにする。「どうも気になる」と三人、登山口へ戻って来た人に、具合の悪くなった人の情報を聞くと、「もう歩いて、下山しています!」。やっとスッキリした三人は、ジキタリスの咲く林道を下って、R169の東熊野街道から京都へ向かう。






彼は私の足を雌鹿のようにし、
私を高い所に立たせてくださる。


サムエル記 U 【 22−34 】
ショウキラン