城丹国境尾根(井戸小祖父谷〜茶呑峠//北山)


谷に咲く花を観察する道子
今日はのんびりと井戸祖父谷を散策する



2010.06.05 (土) 晴れ  哲、道



行き:JR京都駅バス停 6:50(JRバス/周山行)−
   周山バス停 8:15− 井戸バス停
帰り:周山バス停 16:40− JR京都駅バス停


コース:
井戸バス停〜井戸祖父谷〜小祖父谷〜ジョウラク峠分岐の先100mの分岐を右〜林道終点〜大谷峠〜飯森山〜天童山〜茶呑峠〜カモチ谷〜殿橋〜周山バス停



注意:
◆小祖父谷は伐採材で荒れているので林道を進んで下さい。
◆小祖父谷林道から大谷峠へは道がないので、初心者だけで行かないようにお願いします。









 

 「春の花や新緑には遅いが」と言いつつ、城丹国境尾根に出かける。周山行きのJRバスや、京北ふるさとバスの時刻表の改定により、城丹国境尾根の北側から取り付くには、JR京都駅6時50分発のバスに乗らなければならなくなった。

 土曜日の早朝バス、さすがに途中で乗ってくる人は少なく、バスは快適に京都市街地を抜けて行く。バスから見る京都北山の山並みは新緑が終わり、もう初夏の青々とした色に変わっている。朝早かった二人は、車中でウトウト・・・しているうちに、バスは周山に着く。

 井戸へは周山8時15分発の小塩行、8時20分発の灰屋行のいずれに乗ってもよいが、小塩行のバスに、山国までという男性と供に乗りすぐの発車となる。バスから見る桂川沿いの田園風景や、その後方に続く、城丹国境尾根は心地よい緑が一杯である。山国で降りた男性は、中江から茶呑峠へと向かうようだ。

分岐には標識があり、祖父谷峠5kmとある トレイル道は橋を渡って
掛尾峠の方へと進むようだが

 井戸で降り、バス停の待合室でいつものようにゆっくり準備をしていると、近所のおじさんがやって来て「祖父谷へ行くのか」「昔、バスがなかった時は、祖父谷から京都へ行った」等々・・・昔を思い出すかのように話し、そして去って行く。「以前も、同じような話を聞いたような気がする」と哲郎。「出発しよう」と立ち上がると、もう小塩へ向かったバスが引き返してきて、運転手に手を振る道子。

 バス停から、東へすぐの祖父谷峠への道の分岐には標識があり、祖父谷峠5kmとある。桂川の橋を渡ると、右手からの道に出合うが、ここに「京北トレイル K7」の標識を見る。「へぇ〜、こんな所を通って、どこへ行くのやら?」、トレイル道は橋を渡って掛尾峠の方へと進むようだが、何処へ行くのか興味のあるところだ。「片波の大杉へ、行くのやろか・・・?」。井戸祖父谷へと歩き始めると、一人の男性に呼び止められる。トレイル道を進むと思われ、「間違っている」と言いたかったのだろう。「祖父谷に行きます」と哲郎は大声で返し、彼は納得したのだろう、うなづく。

オカタツナミソウ クリンソウ

  田植えの終わった田んぼを過ぎると、すぐに山がせまってきて植林地の中を歩き始める、いつもだとオカタツナミソウが咲いている頃なのに、道端に野草は少ない。植林地を抜けると明るくなり井戸祖父谷に出合い、目の前に大きな堰堤を見る。「あるある」とサンショの若葉に手を伸ばす道子、その先の河原には最後のクリンソウが咲いている。クリンソウを見ながら谷沿いを歩いて行くと、再び植林地の中を通り抜け橋を渡る。

 今年は道端のイカリソウは少なく、もう花は終わっているものの、あまり目に留まらない。そういえば、ラショウモンカズラも見ないので、今年は花にとっても異常気象なのだろう。谷にはピンクのタニウツギがたくさん咲いているが、白いウツギはこれからのようだが、緑の中にヤブデマリの花が美しい。ちょっと色どりが淋しいと思っていた谷沿いだが、目の前に黄色い花が見えてくる。トゲが痛いジャケツイバラだが、あちこちに多く咲いていて、谷沿いを賑わしてくれる。

再び植林地の中を通り ・344の林道分岐で右にとり、橋を渡る

 ・344の林道分岐で右にとり橋を渡る。直進する左の道は石仏峠へと続いている。河原に下り、緑を楽しんでいるとワラビを見つけ、遅いワラビを少々頂く。「こんなことをしていたら、遅れてしまう」と、やっと林道を歩き始める。

 次の谷分岐は右俣の小祖父谷をとる。橋を渡っての谷沿いの道は、いつも日が差して暑いのだが、緑の多い谷沿いで、気持ちよく歩くことができる。足元のヒトリシズカの群生も開ききった葉だが、目を楽しませてくれる。

ヤブデマリが美しい 次の谷分岐は右俣の小祖父谷をとる

 すぐに次の橋が見えてきて、林道から分岐する。左は祖父谷峠へと続く。今日は大谷峠を目指すので、右の小祖父谷沿いの林道へと進む。ジョーラク峠へも、同じ右の小祖父谷の林道をとる。

右の小祖父谷沿いの林道へと進む 小祖父谷線の標識

 小祖父谷の林道を進むと、すぐに橋に出合う。前回、橋手前の谷沿いの道を進み、途中から谷の遡行を楽しんだが、今日は林道を歩いてみることにする。橋を渡ると、すぐに北へと大きく蛇行し、南へと折り返す。林道は谷に寄り少し高い所にあるが、少しずつ谷が近づいてくる。

橋を渡り、今日は林道を歩いてみることに すぐに北へと大きく蛇行し、南へと折り返す

 林道には大きな石が転がっていて、現状のままでは大きな車は通れないようだ。標高500m手前に橋があり、前回はこの付近で谷から林道へ這い上がった。橋の左手には、立派な植林地が広がり、十分すぎる間伐で木々の間にミカエリソウの緑が広がる。「きれいな植林地や」と思っていると。目の前に「間伐モデル林」と立て看板がある。

十分すぎる間伐で木々の間に
ミカエリソウの緑が広がる
目の前に「間伐モデル林」と立て看板

 しばらくミカエリソウを見ながら進んで行くと、ジョウーラク峠への分岐に出合う。今日は林道終点から直接大谷峠を目指すので、「ジョーラク峠はいいだろう」と言うことになり、林道をそのまま進んで行く。ジョーラク峠分岐から100mも進めば、林道分岐に出合う。左の本道は南東へと折れて行くが、大谷峠へは、右の南への林道をとる。

 この道は草が多く湿っているので、ヒルが多くいそうだが、今年はヒルの発生が遅れているのだろう。時々立ち止まってスパッツをチェックするが、それらしきものは見当たらない。そんなことをしているうちに小広い林道終点に着く。ここで谷は二分し、西の右俣と南への左俣に分かれるが、もう谷といっても細い流れである。西へとれば、ジョーラク峠から飯森山へ向かう尾根の鞍部へ通じるが、今日は南の谷を進み直接大谷峠を目指す。

小広い林道終点に着く 林道終点広場の左端を登って行くと

 林道終点広場の左端を登って行くと、「谷沿いは歩きにくい」とちょっと高まった植林地を歩いて行く。谷間はすぐに二分し、南東の谷と南南西への谷に分かれる。大谷峠へは南南西への谷を詰めた所にあるが、先に行く道子はマークを見つけ左の谷を進んで行く。哲郎は右の谷を進んで行くと、左の谷を進んでいた道子が「古い道がある」と叫ぶ。その道は左の谷から離れ、哲郎が歩く右の谷へ近づいてきて、結局二人は同じ所を歩くことになる。

 もう使えないような道だが、しっかりした道が大谷峠まで続く。大谷峠の大森側にもしっかりした作業道があるので、昔、大谷峠は石仏峠や祖父谷峠と同じように、井戸から京都へのアクセスとして利用されていたのだろう。大谷峠直下に来ると、古道もミカエリソウの中に消え、急な植林地をジグザグに登ることになる。「あともう少しや」と言うところで、右からのジョーラク峠の尾根コースからの踏跡に出合う。

「谷沿いは歩きにくい」と
ちょっと高まった植林地を歩いて行く
最後は急な植林地を
ジグザグに登ることになる

 大谷峠で小休止した後は「昼食は飯森山にしよう」と城丹国境尾根を西へと登って行く。風がなく蒸し暑い登りが続き「山頂まで、こんなに遠かったかな〜」と思ってしまう。飯森山に着くと風も出てきて、日影で昼食とする。15分の昼食休憩後は、天童山へと向かう。標高差50mの急坂を下り、植林地の鞍部から反射板のあるピークへと登り返す。ピーク手前で下りてきた男性に出合う。彼は山国で降りた人で、「これから、祖父谷峠へ行き、岩屋橋から帰る」と言っている。

大谷峠 飯森山に着くと風も出てきて日影で昼食とする

 反射板のピークは二つあり、2番目の反射板は新しくできたところなので、ピークから愛宕山系がよく見える。ピークを下り、綺麗な樹木が並ぶ鞍部から、雑木の斜面を登って行くと天童山へ着く。読者から「天童山の北斜面を、中江へ下る道はどうなのか?」と問い合わせがあったので、ちょっと天童山山頂広場を散策することになる。赤いリボンが広場の北へと続き、北の斜面を下っているが、これは地形図にある破線の古道ではないので、注意が必要だ。

 この城丹国境尾円は、コースを外れるマークがたくさんあるので、地形図を見て方向を確認しながら進むことをお勧めするが、これは城丹国境尾根だけでなく、京都北山を歩く時は、地形図と磁石を携帯し欲しいものだ。もう一度ピークの中央に戻り、中江へ下る地形図の破線の道を予想する。ピーク中央から北西へ下る尾根が見えるので、ここを下り最初の支尾根を北へとると、中江へ下りられそうだが、上から見る限り道は見えない。我々は、南西の斜面を下って行き茶呑峠へ向かう。

ピークから愛宕山系がよく見える 南西の斜面を下って行き茶呑峠へ向かう

 斜面の幅は広く、何処か登山道か分かりにくいが、人が通っている所はヒノキの小枝が少ないので分かる。鞍部へ降り立つと、西への尾根が続き植林地の中を登って行く。登山道も段々とはっきりしてきて歩きよくなる。植林地の中、道が南へ変わると、細い尾根あり、急斜面あり、岩場ありと中々楽しめる道が続く。最後は急な植林地を下ると茶呑峠に着く。

 帰りのバスは周山15時40分発と予定していたが、一便お遅らせ、ゆっくり下ることにする。途中の谷水で顔を洗い、カモチ谷沿いを植物観賞しながら、ゆっくりと下って行く。このカモチ谷も最後のクリンソウは咲いているが、昨年同時期に見た花々は見当たらず、黄色のジャケツイバラだけが元気よく咲いている。コアジサイ群生地の花はまだまだで、足元のオカタツナミソウも咲いていない、「何もない!」と言いつつ、ワラビの群生地で残りのワラビを探すが、別のシダが育ち、どう見ても今年の春は異常であったようだ。

最後は急な植林地を下ると茶呑峠に着く 黄色のジャケツイバラだけが元気よく

 林道途中で「15時40分や!」と哲郎。次のバスまで1時間しかないので、ピッチを上げ歩くことにする。15時55分に殿橋を渡り、休む間もなく歩き続け16時15分にウッディ京北に着き、着替えや後始末をする。疲れも取れたところで、二人とも「やれやれ!」と周山バス停へ向かう。(平成22年4月17日(土)ダイヤ改正で JRバスのコース変更があり「京北合同庁舎前」バス停新設されました。 ウッディ京北の前です)







私たちの家の梁は杉の木、
そのたるきは糸杉です。


        雅歌 【 1−17 】
井戸から小塩へ向かうバス