葛川越(大岩谷〜烏谷山〜摺鉢山)//比良


葛川越は古道が崩壊している所は谷の中を歩く



2010.05.22 (土) 晴れ  哲、道





行き:JR京都駅 7:25 − JR志賀駅
帰り:坊村バス停 15:46 − JR堅田駅 16:38 − JR京都駅



コース:
JR志賀駅〜高架NO.64〜湖西道路高架下〜荒川峠登山口〜大岩谷分岐〜ユリ道から谷へ下りる(標高515m)〜目の前の斜面を登り枯れ谷を渡る〜ロープ場〜右岸の古道〜大岩谷へ下る」(標高595m)〜谷分岐(標高610m)〜中央の斜面をを登る〜左俣へ降りる(標高715m)〜すぐの谷分岐を左俣へ進む〜葛川越〜烏谷山〜摺鉢山〜牛コバ〜坊村バス停



注意:
最近、葛川越を登る人が増えていますが、登山道がなく崩れた所や、谷の中を歩きますので、葛川越は初心者危険コースとします。地形図と磁石必携です。特に注意を要するポイントは@とBです。

@ 荒川峠道の大岩谷分岐から、ユリ道を進むと最後は大岩谷へ降り古道は谷を渡る。大岩谷右岸の古道は枯谷横を上って行くが、20〜30m登った所で枯谷を右に出て大岩谷沿いの斜面に出る。この枯谷の上流は大変危険なので進入しないで下さい(枯れ谷に進入禁止のトラテープ有り)。

A @枯れ谷から右への古道は崩れ、斜面のロープ場を進むと、そのうち古道が現れてくる。

B 標高590mを過ぎると古道は消え、右下の谷へ降り進んで行くと、標高610m付近で谷分岐に出合う。左俣、右俣もほぼ平行に流れているが、葛川越は左俣の延長線上にある。しかし、ここでは両方の谷を進まず、谷と谷の間にある斜面を登る。

C 標高640m付近の広場で左下の谷の中に(↑)を見るが、これは中ユリへのマークなのだろうか、最近(×)が上書きされここからは登れないようだ。葛川越へは広場の奥にある石組の古道をジグザグに登る。

D 標高675m付近で炭焼き窯跡を右手に見て、前方の斜面の左手側(左俣寄り)を登る。

E 標高720m付近で左俣へ降り、すぐの谷分岐に出合う。右俣は北へ、左俣は北西へ伸びているので左俣をとり谷の中を歩く。

F 標高800mを過ぎると草地の中、はっきりした踏跡が現れ葛川越までジグザグに歩く。

G 葛川越の大岩谷を登る場合、地形図と磁石は必携で常に磁石の北西にとる。










 「今年もシロヤシオを見に行こう」と昨年満開のシロヤシオ、ベニドウダン、サラサドウダンに感動した同時期に、比良へ出かけることにする。ついでに葛川越の様子をチェックすることにする。

 JR京都駅7:25発の電車に乗ると、今日は良い天気ということで、たくさんの登山客で賑わっている。JR志賀駅で降り、駅のベンチでゆっくりと準備した後、JRの高架に沿って北へと歩き始める。高架柱「NO.64」で左へ折れ、保育園や学校の前を通って荒川峠道へと進む。信号を渡り、集落の中へと真っすぐに進むと、萬福寺に突き当たる。右の折れ、萬福寺を巻くように左へとると、すぐに舗装道も終わり雑木林の作業道に出合う。この手前でスパッツを付けながら小休止する。

高架柱NO.64を左へ 萬福寺に突き当たるので右へ 雑木林の作業道に出合う

 「あ!虫よけ忘れた」と哲郎、「これからはハチやヒルがうるさくなるので、注意しなくては」と道子。モチツツジが続く雑木道から湖西道路をくぐり、左手に登って行く道、これが荒川峠道である。「昨年咲いていた、黒っぽい花が咲いていない!」と哲郎、イタチハギ(別名クロバナエンジュ)なのだが、全く見当たらない。東へ進む林道には、ここもモチツツジだけが咲いている。

モチツツジが続く雑木道 ふと上を見上げるとキリの花が美しい

 橋の手前で小休止していると、数台の車が追い越して行き、「今日は珍しく、賑やかやな〜」。S字状の道を登って行くと、足元に紫色の花が落ちていて、ふと上を見上げるとキリの花が美しい。荒川峠登山口に着くと、先ほどのメンバーがいて、軽トラから材木を降ろしている。「何してはるん?」と哲郎が尋ねると、山小屋を修理するそうで、皆で材木を運ぶそうだ。

荒川峠登山口に着くと
軽トラから材木を降ろしている
大岩谷の分岐に着き
我々は左のユリ道へ進入する

 登山口から登って行くと、先方に材木の束を担いだ三人がいるが、一人しか担いでいないので、「途中で交代するのやろ」と道子。大岩谷の分岐に着き、我々は左のユリ道へ進入する。快適な道を進んで行くと、すぐに右に枯れ谷を渡ることになり、崩れた道を慎重に進む。後は少しガレた所もあるが、問題なく進んで行くと、古道は標高515mで谷を降り、谷を渡ることになる。

崩れた道を慎重に進む 大岩谷へ降りて小休止後
今日は目の前のマークから進入する

 大岩谷へ降りて小休止、目の前に崩れた古道へのマークが目立つ。前回はすぐ先の枯れ谷から登って行ったが、今日はこのマークから進入する。少し登って行くと、すぐに枯れ谷に出合い、進入禁止用のロープの手前で谷を渡る。ここから斜面の踏跡を辿って横へ進むと、右下に大岩谷が見え、進んで行くと崩れた古道に出合う。この付近は簡易ロープが張ってあるので、これを利用すると楽に進める。

古道に降り立つが、大石がゴロゴロ この先古道は歩けなくなるので
すぐ下の谷へと降りて行く

 古道に降り立つが、大石がゴロゴロしていて昔の面影はない。標高590mを過ぎると、この先古道は歩けなくなるので、すぐ下の谷へと降りて行く。逆コースの場合は、この取付を見逃さないように要注意。左右の新緑が美しい谷を登って行くと、すぐに大きな石がゴロゴロした谷分岐、標高610mに出合う。葛川越は左俣の延長線上にあるが、目の前の大岩に書いた「→」に従って、谷と谷の間の斜面を登って行く。

谷と谷の間の斜面を登って行く ちょっとした広場に出る

 すぐに古道のようなものが現れてきて、ちょっとした広場に出る。ここから左俣をのぞくと、昔、中ユリへの取付だったのだろう石に「↑」のマークがあるが、ここは崩壊してきたのだろう、その上に「×」で上書きされている。広場の奥にジグザグに登って行く古道があり、これをとると、標高675m付近で炭焼窯跡を右手に見る。この先は尾根の左、左俣寄りに登って行く。

向こう岸の左俣をのぞくと
「↑」の石に「×」で上書きされている
標高675m付近で炭焼窯跡を右手に見る

 道は左俣に近づいてきて、大岩谷左俣に降りていく。目の前には谷分岐(標高720m)があり、右俣は北へ、左俣は北西へ伸びている。当然この分岐は北西の左俣をとる。色々調査している哲郎を後に道子は随分と先へ進んでいる。ここからこの谷を登って行くだけなので、もう迷うことはない。小さな谷だが、大きな石がゴロゴロしていて、その間を適当に登って行く。

 左手斜面には古道が薄く残っているが、歩けそうにもない。哲郎が写真を撮っていると、赤いテープが邪魔をする。よく見ると数mおきにあり、あまりにも多いテープに閉口する。一本の尾根や一本の谷の場合は迷うことはなく、分かりにくい分岐のチエックポイント以外は、テープを付けないように心がけて欲しいものだ。

一本の尾根や一本の谷の場合は迷うことはなく レスキューポイント葛川越え2

 谷を登って行くと谷源頭(標高800m付近)に着き、石も消えてくる。少し登って行くと、「レスキューポイント葛川越2」に着き、振り返ると琵琶湖がよく見える。ここから草地をジグザグに登って行き、周囲の雑木の新緑を楽しむ。もう踏跡もはっきりしていて、北西へとジグザグに谷間を詰めて行く。所々にピンクのユキグニミツバツツジを見て、標高900mを過ぎると足元にイワカガミの花を見る。そのうち前方が明るくなり、標識のある葛川越に着く。

もう踏跡もはっきりしていて 標識のある葛川越に着く。

 「あれ、もう12時を回っている」。今日は12時に縦走路に着く予定であったが、ゆっくりしていたので随分と遅れてしまったようだ。「お昼にしよう!」と風をよけ峠の下で、足元のイワカガミを見ながら昼食とする。昼食後は北の烏谷山へと登って行く。烏谷山まで標高差100m以上の登りが続くが、シロヤシオの花を見れば疲れが取れるだろうと、期待しながら登って行くが、一向に白い花なんぞ目に止まらない。

 「そんなはずはない、昨年は満開やったのに・・・」と登って行くが、全く咲いていない。途中でシロヤシオの木を見つけるが、花が咲いた様子はなく、花は終わったのではなく、今年は咲いていないのかも知れない。「どうして、何故や?」と考えているうちに烏谷山の山頂に着く。ここのウスギヨウラクは咲いているが、足元のコケモモはまだツボミが固い。

北の烏谷山へと登って行く 烏谷山の山頂に着く

 「このまま縦走路を歩いても、シロヤシオは期待できない」とコース変更し、今日は摺鉢山から牛コバへ下ってみることにする。「今13時過ぎなので、坊村15時台のバスに間に合うだろう」とバスの時刻表を探すが、こんな時に決まって無いのだ。坊村へ下るのは久し振りで「所要時間が分からない」と少々急ぎながら下ることにする。

シャクナゲのジャングルに出合うが 尾根にはテープはないが杭に沿って

 烏谷山から北西に伸びる尾根を下って行くと、すぐにシャクナゲのジャングルに出合うが、もう太い幹が刈り取られ、ジャングルではなくなっている。それでも立派な花を付け、目を楽しませてくれる。雑木の尾根を下って行くと、植林地に出合い、尾根の西側に植林が続く。

 植林地を抜け、雑木の中、鞍部へ下って行き、低木の雑木の中を一登りすると摺鉢山の山頂広場に着く。小休止後、北西にある下山口を確認した後、急ぎ足で下り始める。標高750mにある奥ノ深谷道出合まで標高差250m、美しい雑木の斜面を下ることになる。しかし、急ぎ足で下るので途中ユキグニミツバツツジを観賞しただけで、その他はあまり記憶に残っていない。

摺鉢山から美しい雑木の
斜面を下ることになる
やっと奥ノ深谷道に出合い小休止する

 やっと奥ノ深谷道に出合い小休止する。ここから牛コバまで登山道をジグザグに下るだけだ、このジグザグが大きく振っているので、下りといっても時間がかかってしまう。先日から哲郎は時々ギックリ腰でなくて、ギックリ足?のように、足の付け根が痛むことがあったが、この急坂を急いで下るものだから、時々「ギク!」と痛みを感じ始める。「あ〜、これでは林道は走れない」とゆっくり下る道子を後に、哲郎は先に下りることにする。

牛コバを過ぎ、林道でピッチを上げてきた道子 「今日は盛況やな〜」と春を感じる哲郎

 牛コバに降り立ち、休むことなく牛コバを歩き始める哲郎、林道でピッチを上げてきた道子、「あっ!」と哲郎を追い越して行く。道子に追いつけそうもない哲郎は、林道カーブ地点で2回ショートカットの急斜面を下り、二人とも同時に坊村に着く。丁度15時00分、牛コバから30分で来たことになる。トイレ前で後始末をしてバス停へ向かうと、坊村15時46分とある。「何や、ゆっくりでよかったようだ!」とバス停横のベンチで、ゆっくりとバスを待つ。やって来たバスに20名程度乗り、「今日は盛況やな〜」と春を感じる哲郎。






木には望みがある。
たとい切られても、
また芽を出し、
その若枝は絶えることがない。


           ヨブ記 【14−7】
タツナミソウ