桟敷ケ岳(薬師峠〜ナベクロ峠〜奥山椒谷)//北山


「いつも良い眺めだ」と
山頂手前の鉄塔から城丹国境尾根を眺める



2010.05.08 (土) 晴れ  哲・道





行き:北大路駅前バス停 8:23 − 岩屋橋バス停
帰り:小野郷バス停 17:58 − JR京都駅



コース:
岩屋橋バス停〜志明院〜薬師峠〜桟敷ケ岳〜ナベクロ峠手前の奥山椒谷へ〜標高750m滝から東尾根へ〜南西の支尾根を下る〜長谷林道終点〜大谷林道出合〜大森キャンプ場〜大森中町〜小野郷バス停



■注意

奥山椒谷は標高750m付近に小さな滝があり、滝横の崖や急斜面を下ります。よって、このコースは初心者危険コースとします。










 「今日は比良へ、花でも見に行こう」と思っていたが、「連休に北山へ行ってへん」と道子。それではと、新緑と花の観察に桟敷ケ岳へ出かけることにする。

 北大路駅前バス停から、8時23分岩屋橋行のバスに乗る。春先は毎年のように登山客が多いが、幸いにも二人は最後尾の席に座っての出発となる。雲ケ畑の山々には植林が多く、芽吹きは川沿いの雑木で楽しむことになる。バスが岩屋橋に着くと、皆さん、それぞれのルートで消えて行き、ゆっくり準備する二人は、最後に出発することになる 。

春は登山客が多い岩屋橋バス停 志明院から登山道へ入る

 志明院で小休止後、登山道に入り、左手に咲く志明院の満開のシャクナゲを見る。細い谷はクリンソウが咲き、薬師峠に着くまでに、春を満喫したような気持がする。薬師峠から右の桟敷への登山道へ入る。細い道だが、しっかりした道は歩きやすく、すぐに新緑の雑木の下を歩くようになり、「気持い〜!」と二人。足元にミツバツツジの花がたくさん落ちているので、「満開の時は、きれいだろうな」と想像しながら歩く。

細い谷はクリンソウが咲き 薬師峠から右の桟敷への登山道へ

 小さな標識のある西谷からの分岐を過ぎると、少しずつ登り始める。「それにしても、新緑が美しい!」と久し振りの桟敷への登りを楽しみながら歩いて行く。標高700mにある大森の集落を眺める展望ポイントに着くが、もう前方の植林が育ってしまい、あまり良い展望は期待できなくなっている。

 今までこの登山道で地形図を広げたことはないが、よく見ると地形図の破線は、今の登山道と異なり、P811の岩茸山への尾根を登っていることが分かる。登山道は尾根の右の斜面を歩くようになり、雑木が美しい谷で折り返し、支尾根を乗ると再び北へ登って行く。若茸山から下った緩やかな鞍部から、しばらく植林地を登って行くと、右手からの谷の斜面を歩くことになるが、この付近の古い道が崩れていて、ぼんやりしていると迷いそうな所である。

「それにしても、新緑が美しい!」 谷間から尾根へと登って行く

 その谷間から尾根へと登って行くと、尾根は広がり登り切った所で、送電線の鉄塔に出合う。「今日は見晴らしがいい」とナベクロ峠から続く城丹国境尾根を眺める。しばらく周囲の山々を眺めながめ春を満喫した二人は、一旦鞍部に下り、桟敷ケ岳山頂に着く。

 山頂広場では、バスで一緒だった人々も到着していて、もう昼食の準備をしている。我々は広場の奥の樹木の中で昼食とする。10分で食べ終えた二人は、北のナベクロ峠を目指して出発する。ナベクロ峠への取付は、山頂丘陵を北へ進み右手(東)に寄って行くと、下って行く道に出合う。西にも尾根があるので、迷わないように注意か必要である。

登り切った所で、送電線の鉄塔に出合う 山頂広場の奥の樹木の中で昼食とする

 どんどん下って行き、左右に谷間を見るようになると、尾根道は緩やかになり歩きよくなる、尾根はしだいに西寄りに変わり、わずかなアップダウンを繰り返し、ナベクロ峠に着く。峠の手前、左手には雑木の美しい緩やかな谷、奥山椒谷が広がっていて、以前から「この美しい谷を、下りてみよう!」と思っていたので、今日は「この谷から下山しよう」と言うことになる。

 ナベクロ峠の手前に「奥山椒谷」の標識があり、ここから取り付くことにする。取付は標高845m、「きれいな谷や!」と言いつつ、下って行くと、すぐに標高800m付近で植林地の中へ入る。すぐの植林地でちょっとガッカリの哲郎、それでもすぐに植林地を抜け、左からの支流に出合った所で小休止とする。谷はやっと小さな流れが出てきた所で、谷間はぬかるんでいる所が多い。下って行くにつれ、谷間が狭くなった所で、先方から滝のような音が聞こえてくる。

今日は「奥山椒谷から下山しよう」 すぐの植林地でちょっとガッカリ
谷はやっと小さな流れが出てくる 先方から滝のような音が聞こえてくる

 地形図によると、桟敷ケ岳周辺で、この辺が一番勾配がきつくなっていて、予想していた通りの滝に「やはり」と言うことになる。滝は下りられそうになく右手は崖で進めない。左手には支尾根が迫って下りてきている。滝の左手の木に黄色いリボンのマークがあり、ここから崖のような所を降りるらしい。2m位降りると急斜面だが、何とか歩けそうなので、哲郎は少し下りて足場を確認していると、「尾根にマークがある!」と道子、「エスケープルートがあるようだ!」と二人は崖を降りるのを止め、支尾根を登って行くことにする。

 マークはどんどん尾根を登って行き、「エスケープにしては登りすぎや!」と言いつつ、標高820mで南西へ下る支尾根に出合う。マークはさらに登っているので、このマークは、滝から桟敷ケ岳へ登るために付けられているようだ。このまま東へ標高差70mも登れば、桟敷ケ岳山頂へ着いてしまう。

 「出合った南西の支尾根は、とんでもない急斜面、桟敷ケ岳へ戻っても、岩屋橋発のバスには、時間が余りすぎる」と迷ってしまう哲郎、「南西の尾根は急勾配だが、きついのは100m程度やし!」と哲郎は10m下ってみて、様子を見ることにする。「何となく歩けそうや!」と分岐で待つ道子に「この尾根を下りよう!」と叫ぶ。

滝に出合い滝横の崖を下ろうとするが エスケープの尾根は急斜面でヤブこぎ

 尾根を下る始めると、ヤブが深く前方の様子が分からないので、磁石で南西の方角を確認しながらヤブへ突っ込んで行く。急斜面だ雑木のヤブで木が多く難なく下りられるようだ。先を行く哲郎の右下で、突然「ド〜ン」と大きな石が落ちたような音がする。崖崩れ?と思っていたら、何やらガサガサするので、クマか大きなイノシシが逃げて行ったようだ。人間の尻餅以上の大きな音なので、「きっと100kg以上や」と思ってしまう。今度は左手で「ドスン!」と大きな音、出合ったら困るので、二人とも大きな声を発しながら下ることにする。

 斜面も緩やかになり、右下に大きな捕獲用のオリが見えてきて、やっと奥山椒谷に出合う。先を行く道子が、「林道や どんぴしゃや!」と呼び、二人はホッとする。谷で顔を洗い、林道終点に上がると、そこに「熊出没注意」の看板があり、巨大なオリといい、「あの大きな音は、クマやったのやろか?」。

右下に大きな捕獲用のオリが見えてきて 林道終点に出合う

 林道終点で小休止後、ゆっくりと下り始める。右手に見える山々には、まだ桜が咲き、左手の崖には、ヤマルリソウやイカリソウが目を楽しませてくれる。南へ下って行く林道は、斜面に沿って東へ折れ谷で折り返すが、この付近にマークがあるので、若茸山付近に登って行くルートがあるのだろうか?。林道は西へ緩やかに下り南へ向きを変え、谷に出合った所にガードレールがあり、北へ大きく折り返す。

 このガードレールは大谷林道から見上げると、随分と高い所にあるように見えるが、林道を下って行く場合は、ガードレールに出合うと「大谷林道まで、もう少しや!」と言うことになる。長谷に出合いヤマブキを摘みながら下って行き、橋を渡ると大谷林道に出合う。

ガードレールで「大谷林道まで、もう少しや!」 橋を渡ると大谷林道に出合う

 少し下って大谷の河原で顔を洗っていると、道子が「ストックがない!」と言い、ザックを置いて長谷林道へと引き返す。遅いので道子のザックを持って、長谷林道取付まで行き、道子の帰りを待つ哲郎、やっと帰って来て「フキを採っていた時に、忘れたようだ」と道子。滝のエスケープのヤブコギとストック事件とで、予定より大きく遅れてはいるが、まだまだ小野郷バス停まで遠く、6km位あるので、ゆっくりと歩くことにする。

 大森東町の民家の庭先には、色とりどりの花が咲き、元気を与えてくれる。ゆっくり歩いていると、犬を散歩している奥さんに出会い、「この犬、人なつこいんですよ」と話しかけてれる。確かに人なつこい犬であるが、この奥さんも話好きで、犬の散歩に付き合うことになる。

アケビの雄花と雌花 見たことも無いような色鮮やかなツツジ

 中町で別れ、茶呑峠からの道に出合った所で小休止した後、小野郷バス停を目指して、清滝川に沿った車道をテクテク歩き始める。「目標は小野郷17時30分」、野球場を過ぎると小野郷まで30分なので、「どうやら、18時前のバスには間に合いそうだ!」と一安心の二人。






彼は私の足を雌鹿のようにし、
私を高い所に立たせてくださる。

 Uサムエル記 【 22:34 】
イチリンソウ