武奈ケ岳(御殿山〜西南稜〜細川道)//比良


ギラギラの太陽を受けて武奈ケ岳へ向かう
西南凌



2011.2.26 (土) 晴れ  Ikomochi、哲、道





行き:出町柳バス停(京都バス)7:45 − 坊村バス停
 
帰り:細川バス停 16:24(江若バス) − 朽木学校前バス停 −
   JR安曇川駅 17:15 − JR京都駅



コース:
坊村バス停〜明王院登山口〜846地点〜見晴台〜御殿山〜ワサビ峠〜西南稜〜武奈ヶ岳〜北稜細川道下山口〜標高1000mで右の尾根〜706地点〜直登コース出合〜直登/巻き道分岐〜細川登山口〜墓〜細川バス停〜細川バス停(安曇川行)


注意:
■細川道は細川バス停から登る時は問題がないが、下る場合は標高1000m付近にある尾根分岐で、右の北向きの尾根をとり、P706へと進んで下さい。
■細川バス停は2つあります。細川始発の安曇川行の江若バス乗場は、細川バス停から北へ約5分の所にあります。









 「雪の細川道を下りませんか」とIkomochiさん。「それでは」と三人で武奈ケ岳へ出かけることにする。天気が良いので出町柳バス停には、たくさんの人が並んではいるが、「一台のバスでは、溢れるという状態ではない」と臨時便は出ず、数名立っての出発となる。我々は最後尾の席に座ることができたが、途中で多くの登山客が乗って来て結局満員となる。「運賃1000円も払うので、臨時便を出して欲しいものだ」と哲郎。

 路面には雪はなく、ちょっと心細い哲郎だが、花折トンネルを抜けると、雪景色に変わり一安心する。坊村バス停で降り、トイレ前でゆっくりと準備する。たくさんの人、たくさんの車で、今日は賑やかになりそうだ。アイゼンを持って登山口へ向かうが、登山道に雪は少なく、結局ザックにしまうことになる。

トイレ前はたくさんの人で賑合う アイゼンを持って登山口へ向かう

 登山道をジグザグに登り始めるが、斜面に全く雪はなく、ただ踏み固まった雪が登山道に残っている。標高差50mも登ると、「暑い!」と早速小休止して服を調節する。標高500mまでくると、登山道の雪が増えてきて滑り始めたので、皆さん、この付近でアイゼンを装着する。我々も小休止してアイゼンを付ける。Ikomochiさんは、いつものようにクリームパンを取り出し、またまた小休止となる。

登山道をジグザグに登り始めるが アイゼンを着け快適に登る

 まだまだ植林は続き、標高650mを過ぎると、モミの木が多い疎林帯に入り、登りも緩やかになると、次の尾根への斜面に突き当たる。秋にはトリカブトが咲いている鞍部から、トレースに従って雪の急斜面を登って行く。冬道は東へ真っすぐに登って行くのだが、途中から左へ巻いて行くので、このトレースは夏道のようだ。

 足元の雪は締まっていて、難なく南からの尾根に乗る。ここには下りで、南の尾根に進入しないようにロープが張ってあり、遭難を防止している。このロープのせいで、この斜面を直登(冬道利用)して来る人が、減ってきていているのかも知れない。標高差100mの急登を登り切った後は、当然のように雪原を見ながら小休止する。もう我々が最後だろうと思っていたが、次から次へと登山者が追い越して行く。この雪原から左のP846へ歩き始めるが、ここも緩やかに登っているので、なるべくピークに登らないように夏道を進んで行く。

急斜面を登り南からの尾根に乗り換える 標高差100mの急登はしんどいと
途中で小休止

 P846を過ぎると、主尾根を歩くことになり、心地よい歩きが続く。すぐに夏道分岐の標識に出合うが、斜面を巻く道は、この雪で歩けないようだ。トレースは真っすぐに進み、尾根を歩く冬道に続いている。我々も尾根を進み、見晴らし台を目指す。ちょっとした登りなのだが、道子とIkomochiさんはなかなか登ってこない、やっと登ってきた二人は「おなかが、すいた!」とオニギリを半分食べることにする。次から次にやって来る人々、「きっと、JR堅田駅からのバスでやって来たグループにも、追い越されているだろう!」と哲郎。帰りのバスも気になるので、食事もそこそこに出発することにする。

 細い尾根を歩き始めると北風で雪が移動し、南側に数mの雪庇のように大きく盛り上がっている。でも固い雪で難なく歩くことができる。積雪の尾根を歩く時は、北側を歩くと雪が少なく固まっているので歩きよいのだ。しばらく尾根の端を歩くようになり、左下の急斜面へ落ちないようにロープが張ってある。いつもはこのロープ沿いに歩くのだが、何故か数m内側にトレースが続いている。やっと見晴台に着き、三人とも後ろを振り返っては、京都北山の山々を望む。皆子山〜伊賀谷山〜峰床山〜カマクラ〜桑谷山〜シラクラの山々が続く。遠くに雲取山〜桟敷ケ岳、薄っすらと愛宕山系も見える。ここで夏道に出合い、御殿山へ向かう。

雪が盛り上がった尾根を登り見晴台へ 見晴台から北山を眺める

 木々の間を縫って登って行くのだが、普通に歩けるので積雪は多くないようだ。御殿山に近づくにつれ、雑木の枝に樹氷を見るようになり、三人は心地よく登って行く。「やっと着いた!」と御殿山、風もなく山頂からは四方の山々が見渡せる、「なんて、いいながめや!」と久し振りの御殿山から、くっきりと見える武奈ケ岳を見る。Ikomochiさんはザックからタブレット型PC、いや携帯を取り出して「小てつさんに送る」と写真を撮る。後ろから団体さんがやって来るので、三人はワサビ峠へと下って行く。

雑木の枝に樹氷を見るようになり 三人はワサビ峠へと下って行く

 峠の標識も雪に埋もれ、ここの積雪が例年通り多いようだ。ベニドウダンの林を抜け、西南稜の登りにさしかかる。いつものように強い風が吹いていないので、今日はスイスイと登って行けるが、ギラギラと太陽が眩しく、目が疲れる。Ikomochiさんは準備していたサングラスをし、「日焼けする」と道子はフードをかぶる。登り詰めたピークから、緩やかな西南稜を歩いて行くが、もう多くの人が引き返して来て下山している。緩やかな道も終わり、西南稜の最後の登りにさしかかる。そんな急な登りではないが、夏も冬もここが一番しんどいように感じる。

ワサビ峠 西南稜の最後の登りにさしかかる

 登り切ると、前方に武奈ケ岳山頂が見えてきて、細い尾根を左手に樹氷を見ながら進んで行くと、北比良峠からの道に出合い、武奈ケ岳山頂に着く。「あ〜やれやれ」と三人は残りのオニギリを食べながら休息する。随分と遅れたので、「15分で食べよう」と哲郎、見晴らしの良い山頂は多くの人で賑わっている。13時15分、15時のバスには間に合うだろうと三人は北稜へと下り始める。北稜は歩く人も少ないのだろう、時々深くはまるので、ワカンを付けることにする。

 前方から一人の女性がやって来る。「ワカンが壊れてしまって」と壊れたワカンを手に持っている。少しは話しをすると、彼女はイン谷口から登って来て、広谷からナガオの尾根に取り付き、北稜を登って来たと言う。あのナガオの尾根を一人で・・・。また「3週間前よりも、雪が少ない」とも言っているので、相当歩き慣れた人なのだろう。道子とIkomochiさん、ワカンを付けるのに時間がかかっているが、「えらい、違いや!」と哲郎。

武奈ケ岳山頂に着く 三人は北稜へと下り始める

 細川道の下山口に着き、下山を開始する。道には登りと下りのトレースが一本ずつある。雪は固く急坂の細川道、雪の状態によってはワカンは不適切なのだが、しばらく様子を見ながら下ることにする。樹氷の間を縫って、今日はハッキリ見えるシラクラを見ながら下って行く。最初の緩やかな下りは難なく歩けるが、勾配がきつくなると、表面が固い雪は歩き憎くなる。ワカンを外して下ろうと思う哲郎だが、トレースの足跡が深く沈んでるのを見ると、「もう少し様子をみよう」と言うことになる。

 標高1080m付近で、尾根が「くの字」に曲がる所にあるイワウチワの小広場で、道子が立ち止まり「足が〜!」と言う。ワカンで滑らないよう足に力が入り、痙攣がきたようだ。その周辺にエアーサロンパスを吹きつけ、Ikomochiさんが取り出したシップを貼る。ワカンを外して歩くことにするが、やはり歩き憎いということで、ワカンを付けて様子をみることにする。

シラクラを見ながら細川道を下り始める 「ワー綺麗だ!」とikomochiさん

 そうこうしているうちに、標高1000mにある尾根の分岐に着く。ここでは右の北寄りの尾根をとるのだが、トレースも左へ進んで間違いに気付き、引き返してきているようだ。北寄りの尾根は次第に北西に変わり、急斜面となってくる。この付近はブナの林の中、大きな石がゴロゴロした所で、歩きにくい所なのだが、雪が深い場合は簡単に下ることが出来る。でも今日は表面が固い雪、少々歩きにくい。

 標高900mを切ると、積雪も40〜50cmと少なくなってきたので、ワカンを外すことになる。先に下って二人を待つ哲郎、なかなか下って来ない二人、「仕方ない」と雑木の広がるP706の広場で、ゆっくりと雑木を楽しむ。やっと来た二人とともに、緩やかな尾根を下り始める。この付近から尾根は再び北寄りに変わるが、間違うことはない。本来登山道は広い尾根の右(北)寄りにあるのだが、雪の時は何処でも歩けるのが良い。

細い尾根の細川道を楽しむ 雑木の広がるP706の広場

 植林地に出合うと雪も少なくなるが、作用道は歩きにくいので、植林の中を歩くことになる。下山に予想以上に時間を要し、15時半のバスには間に合いそうもないので、16時台の安曇川行のバスに切り変える。植林地の中、直登ルートと巻き道ルートの分岐に来て、左へ下る巻き道ルートを選ぶ。巻き道と言っても、しばらく斜面をジグザグに下って行くのだが、倒木が少なくて助かる。

 谷に出合うと右に折れ、斜面を巻いて下って行く。道は、はっきりした作業道で歩き良い。この道が送電線に近づく頃、作業道は大きく南へ折り返す。本来はこのポイントから、送電線の下をくぐって西へ進むのだが、何故か作業道を折り返してしまった哲郎、様子がおかしいと思いつつ、送電線の下に広がる雪原に出る。いつもは左に見える鉄塔が右に見え、行き過ぎたことに気付く哲郎。

谷に出合うと右に折れ、斜面を巻いて下って行く 送電線の下に広がる雪原に出る

 雪原を渡り、細川からの道に出合った所で、着替えて後始末をする。バス停まで来てアイゼンやストックを洗っていると、「時間がない」と道子とIkomochiさんは、もう一つのバス停へと移動を開始する。後を追うように北へ進んで行くと、右手に「細川休憩所」を見て、5分で安曇川行のバス停に着く。当然のように乗客は我々三人だけで、定刻の16時24分にバスは出発する。ここからバスは安曇川沿いにのどかな田園の中を走り、以外に早くJR安曇川駅に着く。

 駅のトイレで顔を見ると、顔は焼け、目は充血しているので、随分とUVにやれれたようだ。でも今日は最高の天気で、展望もよく細川道も楽しんだことやし、「Ikomochiさんも満足やろ」とすぐにやって来た新快速に乗り京都へと向かう。






しかし、
私自身は、
この足がたわみそうで、
私の歩みはすべるばかりだった。

詩篇 【 73−2 】
5分で安曇川行のバス停に着く