ホッケ谷道(権現山〜ホッケ尾根道)//比良
2011.02.11


「素晴らしい!!」と宝塚から来た男たちは喜ぶ



2011.02.11 (金:祝) 雪のち曇り  哲、道





行き:出町柳 7:45 (京都バス) - 平バス停
帰り:JR蓬莱駅 15:43 - JR京都駅



コース:
平バス停〜花折峠道登山口〜ドン谷口登山口〜アラキ峠〜権現山〜ホッケ谷道分岐〜ホッケ谷道を下る〜ホッ谷への分岐のある鞍部〜P735〜南尾根を下る〜林道出合〜・265m分岐を左へ〜志賀中〜JR志賀駅







 「天気がいいのに、2回も山行き休んでしもた!」と哲郎、今週は比良へ出かけることにする。でも天気予報では最悪の雪模様、諦めきれない哲郎はネットで天気予報を分析する。「でも今回の雪は、南近畿が中心なので北の方は大丈夫そう!」と。朝起きての最新情報では「10時に上がるだろう」と決め比良行きを決行する。雪の降る中、家を出て、JR京都駅から出町柳へ向かう時も雪が降り続く。

 8時45分発朽木行きのバスは、10名の登山者を乗せて出発する。「少ないな〜」と道子、「今日の予報で出かけるのは、我々のようなアホばかりや!」と哲郎。雪が小降りになった平バス停で、宝塚から来たという外国人男性2名とともに降りる。どうやら蓬莱へ向かうのは、今日は我々4人だけのようだ。バス停待合室で準備していると、先ほどの彼らが覗いて話しかけてくる。「下手な英語が通じるかな?」と思っていた哲郎、「どこへ行きますか?」と流暢な日本語で挨拶され面食らう哲郎。「権現山へ」と言うと彼らは安心したように登山口へ向かう。

平バス停で降りバス停小屋で準備する 蓬莱へ向かうのは我々4人だけのようだ
権現山登山口

 ユックリ準備して登山口へと歩き始めるが、そばを車が猛スピードで通り抜ける。「登山口で、アイゼンを付けよう!」と登山口に着くと、目の前に彼らが歩いて行くのが見えるので、国道に面したこの登山口の確認に時間がかかっていたようだ。ドン谷の登山口からの登山道は当然雪で見えないが、今朝の雪が少なかったようでトレースがはっきり分かる。登山道は凍っていてアイゼンがないと歩きにくく、我々は途中でアイゼンを付けている彼らを追い越して行く。

 寒い日なのだが、風がなく汗が出てくる。「もうすぐアラキ峠」ということで、峠で服を調節することにする。後ろから彼らがどんどん近づいてくる。ユックリの道子は「彼らは、足が長いので速い!」と言う。アラキ峠で4人で休息とする。「始発の電車で、宝塚からやって来た」と言う彼らに二人はビックリ。ザックにはザイルやヘルメットが入っているので、ロッククライムもしているのだろうか、それに巨大なシューをぶら下げて・・・この大きさにもビックリである。

ドン谷の登りは雪が固く歩き良い アラキ峠で休息する

 ここから権現山へのルートを説明し、先に我々二人は植林地を登り始める。この斜面には新雪が10cm程度積もっていて、トレースははっきりしないが、適当に登って行っても深く沈まず歩き良い。道子がユックリなので、途中で彼らに追いつかれ、彼らが先行する。標高920m付近からは、植林の背が低くなっていて、進行方向が分からないのだろう、彼らがウロウロしているので、哲郎が右へと先導し植林地を抜ける。先行する彼は目の前の林を見て流暢な日本語で「これはカラマツ!」と教えてくれる。

 右手に京都の北山が見えて来ると、彼らは日本語で「素晴らしい!」と感動するので、相当日本に住んでいるようだ。雪も深くなった所で権現山に着く。遠望は出来ないが、眼下に薄っすらと琵琶湖が見えて、4人はしばらくこの景色を楽しむ。「お腹すいた」とオニギリを1個だけ食べていると、1人の男性がアメを2個ずつ配って歩く。ここで我々の向かうコースを説明する。彼らは、「様子を見ながら、行ける所まで行く」と言うので、哲郎は蓬莱山周辺の地形やコースを説明する。本当は一緒に行けば安全なのだろうが、「彼らも面白くないだろう」と我々は予定通りホッケ道を下ることにして、先に出発する。

植林地を抜けると山頂はもうすぐ 4人はしばらくこの景色を楽しむ
権現山

 比良の縦走コースを歩き始める。積雪は1m程度だろうが、風で大きく波打っている。深く沈む所もあるので、登山道に近い所を探しながら歩くと、アイゼンだけでスイスイと歩ける。樹木の中に入っても、深く沈むことはなく「2月の雪は、こんなもんだ」と哲郎。少し雪が深くなった所では、尾根の北側を歩くと良い。こちらは強風で雪が閉まって歩き良いのだ。所々で出合う雪庇だけは注意して歩けば、問題なく歩くことができ、2人はあっけなく15分でホッケ谷道への分岐に着く。

ホッケを見ながら縦走コースを歩き始める 所々で出合う雪庇だけは注意して

 ホッケ谷道の取り付く、道子を簡単に通り過ぎて行くので哲郎が呼び返す。雪で分岐が分かりづらいので、哲郎もちょっとホッケ道に進んで確認することになる。そんなことをしていると彼らが追いついてきて、我々と別れホッケ山へと登り始める。彼らを見送った後、我々はホッケ谷道を下り始める。「ワカンはいらないだろう」と下って行くと、少し下った所で先を行く道子は、雪の中で身動きが取れなくなる。引っ張り上げようとしてもなかなか動かない。「ザックを外せ!」と哲郎。10分かけてやっと救出する。ここの雪は1m以上で柔らかく、ストックも届かないのだ。結局ワカンを付けて下ることにする。

彼らを見送った後ホッケ谷道を下り始める 10分かけてやっと救出する

 ワカンを付けると沈まずに簡単に歩けるので「???」、2月のざら目の雪はワカンのワッカで、雪が左右に動かず浮力があるのだろうか。全くトレースのない道だが、ワカンのお蔭で快適な歩きが始まる。周囲の地形はもう覚えていて新鮮味はないが、いつもは石がゴロゴロした所もスイスイ歩け、いつもより速く歩いているような気がする。「あれ〜」と哲郎、今度は哲郎のストックが、雪の中から抜けなくなってしまう。ストックも躊躇していると雪が締まってきて抜けなくなるようで、枝を探してきて掘り返すことになる。

ワカンのお蔭で快適に歩ける いつもより速く歩いているような気がする

 植林が見えて来るとP735手前の鞍部は近い。積雪も少なくなり、ホッケ谷へ下る分岐の鞍部に着く。丁度縦走路の取り付きから1時間かかり、速く降りて来たつもりだが、そうでもなかったようだ。ここに「ホッケ谷道」の標識が新調されている。今日は鞍部からホッケ谷へ降りずに、真っすぐ尾根を進むのでP735へと登って行く。ピークを過ぎて植林がきれた所で雑木の斜面に突き当たる。

ホッケ谷道への鞍部を通り過ぎP735へ 新調されたホッケ谷道への標識

 斜面を一歩下りた雪の中で昼食とする。ここから先は三方に同じような斜面があり、何処を下って行くのか分かりにくい。哲郎はオニギリをくわえて地形図とにらめっこ。ここがこのコースで一番悩ましい所なのである。昼食も終わり下山を開始する。ここからは斜面を南東に下り、途中から南尾根に乗り下って行くのであるが、「標高650m過ぎまで南東へ」と決め下り始める。積雪の急斜面、落葉の上の雪が表層雪崩のように滑って歩けない。危険だからワカンを外して、アイゼンだけで下ることにする。10mも下ると「やはり雪が深くて歩けない!」と再びワカンを装着する。

P735の植林地を抜けると 雑木の斜面を最初は南東へ下る

 途中で、昔に着けたマークを見つけ一安心する。標高630mに近づくと、横道のような作業道のようなものに出合う。これを東(左)に取ると、マークのたくさんある所で右に折り返す。「以前もここを通った!」とこの南南西に進む道のような所を下って行くと、標高570mで植林地に出合い標高560mで、細い支尾根に乗る。これが目的の尾根であり2人の記憶がよみがえる。この尾根は植林地の端にあり南へ伸びている。なだらかな尾根が続き標高540mの尾根分岐を南東に下るが、すぐに右に折り返し先ほどの南尾根に乗る。

標高630mで南南西へ折り返し
一直線の作業道を下る
植林地に出合った後に
標高560mで南尾根に乗る

 ここには木々に赤いペンキが塗ってあり、行き手を先導してくれる。しばらく雑木の尾根が続き、P530まで来ると右手の尾根を進む。途中で赤いペンキの標識は、右手の斜面を下って林道終点へと導いているが、我々はそのまま尾根を進む。標高500mの小ピークまで来ると、北浜県営林の標識に出合い南(右)へ下って行く。

 植林地の西の端を下って行くと、標高400mで再び北浜県営林の標識に出合い、すぐ下にある林道に降り立つ。林道に降り立ち、雪道の状態を見て少し進んでからアイゼンを外す。ユッタリとした植林地の中を1km進むと、標高265mで地道が横切る。

標高390mで林道に降り立つ ・265で左の地道を取る

 JR蓬莱へは、ここを左に取り別荘地へ取ると近道になる。湖西道路手前まで比良山系が綺麗に見える十字路で用具をしまっていると、散歩中のご夫婦に出会う。毎週別荘に来て自然を楽しんでいるそうだが、以前は山登りしていて、「京大研究林へも、よく行っていた」と昔を思い出すように話しかけてくる。ここからは東へ一本道、遠くに雪を被った伊吹山や、霊仙山を見ながらJR蓬莱駅へ向かうが、時々振り返っては、降りて来たホッケ谷道を見上げる哲郎。







あなたは地のすべての境を定め、
夏と冬とを造られました。

詩篇 【 74:17 】
比良山系を振り返りながらJR蓬莱駅へ