雲取山//北山
2011.01.08


「もう、アカン!」と寺山峠への横道途中で引き返すことにする



2011.1.8 (土) 晴れ  哲、道





行き:北大路バス停 8:02− 花背高原前バス停
帰り:別所上の町 15:01 − 北大路駅前バス停



コース:
花背高原前バス停〜スキー場跡〜林道終点〜寺山峠巻分岐〜途中で引き返す






 前日、比良や京都北山に雪が降ったようだ。それも1日に50cm以上の積雪があり、「比良は歩けないだろう」と雲取山へ出かけてみることにする。

 北大路駅前バス停から広河原行のバスに乗る。鞍馬の集落の家々の屋根には厚い雪が乗っかってはいるが、道には雪が残っていないので、そんなに寒くはないようだ。扶桑橋手前の詰所がある広場で、バスはチェーンを装着する。今日はダブルなのか20分かかり、乗客は長い間窓から、雪をかぶった木々を眺めることになる。大雪だったのだろう、細い植林は竹のように頭を垂れ下げていて、折れているのも多い。これらは雪害と報道されるが、枝打ちされた細長い北山杉は雪に弱く、仕方のないことなのだろう。

 バスはすぐに、白い雪道の上を歩くことになるが、チェーンのおかげでスイスイと進む。突然前方から除雪車が現われバスは停車し、その作業を見守る。百井別れバス停で二人、花背峠バス停で一人降り、雪を楽しむようだが、今日はワカンか、スノーシューがないと進めないだろう。花背峠でも除雪車に出合い、今日は一日中忙しいようだ。花背峠を下り、白一色の花背の集落に入る。−1℃の表示なので、そんなに冷え込んではいないようだ。

花背高原前バス停 「準備OK」と再び林道を歩き始める

 花背高原前バス停で、二人のおばあさん達とともに降りる。今日は急ぐ山行ではないので、色々と話し込んでいる道子、おばあさん達は「この雪やから、止めといたら!」と言っている。バス停から橋を渡り、林道を歩き始めると、20m足らずで突然雪の壁に出合う。この林道、誰も歩いていないようなので、手前の家の軒を借りアイゼンを付ける。「アイゼンでは、だめだろう」とその下にワカンを履き、「準備OK」と再び林道を歩き始める。

 積雪80p、新雪のためワカンが深く沈む。「これは歩けない」と道子。結局、哲郎が先に歩くことになる。林道にイノシシの足跡があり、これを利用して歩く。「シューでも、だめやろう」というほど深く沈み、この時期としては何故か湿って重い雪、すぐに休憩を入れる哲郎。何だかんだと言いつつ、やっとスキー場跡にある小屋に着き、小休止とする。いつもは10分もかからないようなところだが、30分もかかってしまい、「今日は、寺山峠までとしよう!」と決める。

 小屋からは道沿いに大木が続き、雪の少ない大木の下を歩くことにする。垂れ下がった枝の雪を落とし、枝を頭上に上げながら進んで行く。ようやく林道終点に着き、またまた小休止とする。植林地に入ると、積雪は少しましだろうと期待して歩き始めるが、トレースを作りながら歩くので、中々進めない。すぐの谷を渡ると、雪はさらに増え、重い雪は足にくる。

小屋からは道沿いに大木が続き 谷を渡渉しながら

 谷分岐から少しコースを外れたのか、凹地で動けなくなったので、高い所を歩くようにする。日が当たり気温が上昇してきたのか、時々「ドス〜ン」と大きな地響きがして雪が落ち、付近は雪煙が舞う。この谷の植林は、立派な太い木が多く、その分大量の雪が積もり高い所から落ちてくる。「あれに当たると、ムチウチになるな〜」と用心しながら進むのだが、上から落ちてくるので注意のしようがない。

 積雪はさらに深くなり、哲郎は右手の細くなった谷の中を歩くことにする。哲郎の目の前で、谷の雪の中に隠れていた鳥が飛び出して行く。その瞬閣、哲郎の頭上から大量の雪が落ちてきて、哲郎は谷の中に倒れる。足は雪に埋もれ動きにくいし、頭はガーン!と響き続ける。道子が心配そうにやって来る頃、哲郎はやっと立ち上がる。上からの衝撃なので、どうやらムチウチにはならなかったようだ。やっと歩き始め、前方「→寺山峠」の標識を見て、二人とも「やれやれ」。

前方「→寺山峠」の標識を見て 引き返すことにする

 12時5分、この分だと寺山峠まで行けそうなにはないし、「真っすぐ谷を詰めてみようか。それとも・・・」。結局、もう少し時間があると、寺山峠への巻道を進むことにする。哲郎は上を見上げ、「この巻道は雪でおおわれ、何処が道か分からないので、ストックで下を確かながら登って行く。中々進まないので、「12時30分になったら、引き返すか」と決める。

 急斜面を登り切り、緩やかな道に変わるが、二人の足は動きが悪い。左側から落ちてくる斜面なので、左側が高くて、足が雪の上まで上がらない。「スコップでもあれば、いいのだが」と言いつつ、右足で左を踏み、右足、左足と右、右、左と変足歩行を始める。前回はこれで寺山峠まで行ったが、今日はどうやら無理のようだ。寺山峠へはまだまだだが、12時30分になったので、周りの雪を踏みしめ、ここで昼食とする。がんばれば13時までに、寺山峠へ行くことができるかも知れないが、欲のない二人はあっさりと引き返すことにする。

帰りはトレースがあるので難なく進める 小屋を過ぎればもうすぐ

 「早く着いたら、喫茶店でコーヒーでも」と言いつつ、下山を開始する。帰りはトレースがあるので難なく進めるが、気温が上昇し、ドスーン、ドスーンと雪の落下が多くなる。「当たる確率が増えてきた」と道子は急ぎ足で先行するが、一度当たった哲郎は、「もう、当たらないだろう!」と後を追う。ワカンをしていれば、斜面の何処でもスイスイ下ることができ気持が良いが、ここはトレースを固めるため、なるべく同じルートを歩いて下山することにする。

 帰りはトレースがあるので、あっと言う間に植林地を抜け、林道を下って行く。バス停まで来て、自治会館の軒先を借りることにする。まだ14時、バスの時間までには約1時間あるので、二人ともゆっくりと後始末をする。ここは日が当たって気持よく暖かい。後始末も終わり、ブラブラと歩き出し、喫茶店を探すが、雪で閉まっているようだ。

民家が見えて来て、もうすぐバス停へ ブラブラと別所上の町バス停まで来て

 ブラブラと別所上の町バス停まで来て、バスを待っていると、車からおばあさんが降りて来て、話しかけてくる。「雲取山、大変でした」と言うと、このおばあさん、昔を思い出し、若い頃は炭焼へ言って行っていて、雲取山と聞くと「なつかしい!」と言い、話はいつまでも続く。そしてこの雪「1日でこんなに降ったのは、花背では珍しい」とも言っている。「そろそろ、バスがやって来る」と言いながら、おばあさんは元気よく雪道を下りて行く。

 10分遅れでやって来たバス、バス停前で女性ドライバーの車との離合で、さらに10分遅れてしまう。でも今日はゆっくりでいいやと、走りだしたバスから、白い花背の山々を眺める。











あなたは地のすべての境を定め、
夏と冬とを造られました。

詩篇 【 74:17 】
「1日でこんなに降ったのは、花背では珍しい」と