コウンド谷(P951〜小野村割岳)//北山
2012.06.10


 
いつも蒼々と茂る大木がある谷分岐
「この木何〜だ、カツラかな?」と見上げているだけで
ヤマヒルが3匹靴に載る


2012.06.10 (日) 曇り  哲

行き:北大路駅前8:02(京都バス)− 能見口バス停
帰り:広河原バス停17:30 − 北大路駅前


コース:
能見口バス停〜能見集落〜光砥口橋〜コウンド谷林道入り口〜林道終点〜大木のある谷分岐から右俣〜標高820小さな谷分岐〜右手の斜面を登る〜尾根出合〜P951〜天狗峠分岐〜小野村割岳〜P911〜南尾根分岐鞍部〜トチノキの鞍部〜赤崎中尾根分岐〜灰野道出合〜佐々里峠〜広河原バス停

注意:
コウンド谷は林道終点から道はありません。大木のある谷分岐で右俣をとり谷を遡行して上って行きます。大きな滝は無く、谷の中や谷傍の斜面を歩きます。特に危険な所はありませんが、道はなくV字の谷で迂回するようなところも無いので初心者危険コースです。









 京都地方も梅雨に入り、連日雨模様の日が続く。でもこの日・月曜日は曇りから晴れという予報なので出かけることにするが、道子が両日とも用事があると言うことで哲郎一人で出かけることにする。okaoka隊の皆さんは比良のドウダンやレンゲツツジ観賞に出かけるようなので、哲郎は北山へ出かけることにする。

 「コウンド谷から小野村割岳へ行こう!」と北大路駅前バス停から8:02発の広河原行きのバスに乗る。梅雨なのだろう、登山客は数名しかいず途中で一人二人と下りていき、最後の哲郎は能見口で降りる。

 花背峠からの小雨が降り続いているので、バス停から観光トイレがある建物へ急ぎ軒を借り準備する。学校前に神社があり、今日は催しがあるのだろう住民の方がたくさん車でやって来る。雨も上がったようなので、能見川に沿って歩き始める。ウツギの花はまだツボミで、斜面には白いマタタビの葉やイワガラミの花を見る。

能見口の観光トイレ 斜面には白いマタタビの葉を見る

 ラベンダ色のツルニチソウを見ながら川沿いを歩いて行くと能見の集落に入る。川は道路に沿うようになり、民家の傍を通るが人影は見えない。白やピンクのジキタリスが丁度見頃で、橋を渡ると民家も終わる。数軒のログハウス風の家を過ぎると光砥口橋を見る。

川が道路に沿う能見集落 白やピンクのジキタリスが丁度見頃

 光砥口橋を渡ると左手に伸びる林道がある。ここがコウンド谷の取り付きである。車止めのテープを跨ぎコンクリートの橋の上で小休止、ここで足元に虫よけを十分に吹きかける。谷沿いの林道を歩き始めるが、雨後の林道は落葉が湿っていてヤマヒルがたくさんいそうなので急ぎ足で歩く。最初は川沿いの雑木が綺麗だが、すぐに植林地の中を歩くことになる。

光砥口橋を渡ると左手に伸びる林道が 最初は川沿いの雑木が綺麗だが

 植林地を抜けると雑木に、そして植林地・・・と谷沿いの林道を進んで行く。途中でコンクリートの橋を渡る。橋の上でスパッツや靴にヒルがついていないかチェックする。靴に付いているヒルに虫よけをかけ指で弾き飛ばす。谷は右側に沿うようになりすぐに林道終点に着く。

植林地を抜けると雑木に、そして植林地へ 林道終点に着く

 林道終点から、そのまま右岸の植林地の端を直進する。30mも進めば突き当たるので左岸へと渡渉する。谷間の平らな所には植林してありその間を歩いて行くのだが、足元にはヤマヒルが好む杉の枝が大量に落ちているので、ここも急ぎ足で歩く。右手からの小さな谷に出合うと左岸の山裾に古道が現れてきて、これを歩くことになる。

左岸へ渡渉し谷間の植林地を歩く 右手からの小さな谷に出合うと古道が

 古道は谷上の少し高い所を進み、再び谷に近づいて来ると密集したシダの中を歩き、行き詰ったところで右岸へ渡る。シダの中を歩いたので足元のヒルをチェック、靴に付いたヒルを跳ね飛ばす。さらに手に違和感を感じるので手のひらを見ると大きなヒルがついていて、慌てて虫よけをかけ退治する。

 渡渉地点を数m進むと、すぐに左岸へ渡り返す。再び谷間の植林地を歩いて行くと前方が明るくなり、すぐに谷分岐にある大木が見えてくる。

古道はシダの道にかわり すぐに谷分岐にある大木が見えてくる

 「この大木、葉が丸いのでカツラやろか?」と、ちょと立ち止まって大木を見上げているだけで3匹のヤマヒルが靴の上に載り、慌てて虫よけをかけ払いのける。いままでコウンド谷でヒルに出あったことは無いので、今日は最悪の条件なのだろう。

 谷分岐を右にとり小さな谷沿いを進んで行く。最初は古道のようなところを進んで行くが、行き当たったところで谷へ降り谷の中を歩くことになる。

最初は古道のようなところを進んで行くが 谷へ降り谷の中を歩くことになる

 谷と言っても小さな谷なので、大きな滝のようなものは無く、谷の中が歩けなければ左右の斜面の歩けそうな所を探しながら登って行く。目の前の岩にオカタツナミソウが群がり、これを見ながら小休止する。狭いV字の谷がしばらく続き、前方が明るくなり標高820mにある小さな谷分岐に付く。

目の前の岩にオカタツナミソウが群がり 前方が明るくなり小さな谷分岐に着く

 いつものようにここで昼食とする。目の前のサワフタギやタニウツギの花、頭上にはトチノキの花が咲いているが、いずれも雨に濡れ勢いがない。12時になったのでP951へ向け出発する。いつもは左俣沿いの古道を進むのだが、今日は「久し振り!」だと右俣の斜面を登りP951への尾根に出ることにする。

サワフタギの花も雨にぬれ 右俣の斜面を登り尾根へ

 谷分岐からすぐの斜面を東へと登り始める。「急斜面だった!」という記憶があるが、思ったほどでもなく10分で尾根に出る。尾根の下山口にはピークハンターさんが丁寧に標識をつけている。「これで生木にグルグルとテープを巻かなくても良いだろう!」と哲郎。ガスも立ち込めてきて暗い尾根をP951へと歩き始める。踏跡が薄い素朴な尾根が続き、これが哲郎にとって心地よい。

コウンド谷下山口の標識 踏跡が薄い素朴な尾根が続き

 10分も歩くと古道の取付がある西へ伸びる支尾根に出合う。この支尾根からワサ谷の林道へ下ることが出来るが、地形の読めない人にはお勧めできません。コウンド谷分岐の斜面に取り付いてから20分チョットで着たので、古道をクネクネ登ってくるより早く着いたようだ。

 すぐのP951から北へ緩やかに下って行く。この付近は踏跡が薄いので要注意。すぐに倒木のある天狗峠分岐を過ぎる。尾根の真中にある大きな台杉まで来ると前方に二人の登山者を見る。「こんな時間に、どこから来たのやら?」。

古道の取付がある西への支尾根に出合う 尾根の真中にある大きな台杉まで来ると

 尾根は少しずつ西に向いてくる。小ピークを幾つか越えて、「もうそろそろだろう!」と北の鞍部に下り尾根を乗り換えるのだが、10mも下ると間違ったことに気付き「もう一つ前の支尾根やった!」と引き返していると、先ほどの登山者二人がウロウロしている。どうやら鞍部への取りつきが分からないようだ。

 哲郎が「ここです!」と教えると「あ!踏跡がある!」と二人はかけるように下って行く。彼らは佐々里峠からやって来たといっているので、やって来た道が分からなかったようだ。鞍部から左手の尾根に乗り小野村割岳へ向かう。心地よい尾根が続き13時前に小野村割岳に着く、P951から30分である。

P951から心地よい尾根が続く 小野村割岳の山頂

 山頂からワサ谷を下ノ町へ下れば14時台のバスに間に合うが、今日はユックリと佐々里峠へ向かうことにする。今日は雨模様で薄暗い尾根だが、緑が綺麗で心地よい。幾つも出合う谷を覗いては雑木を楽しみながら進んで行く。

 P911を下って行くと南尾根分岐の鞍部に着く。毎年のようにバイケイソウが勢い良く群生していて、たくさんのツボミを見るが、シカに食べられて花が咲くのは数本になるのが残念だ。

谷を覗いては雑木を楽しみながら 毎年のようにバイケイソウの群生を見るが

 鞍部から再び尾根を歩き始める。哲郎が「エイリアンの木」と名づけた大木が見えて来て、ユックリ見ると今日は綺麗に見えるのが不思議だ。この木、何故かチマタでは「エイリアンの木」と呼ばれるようになってきているようだ。

 サワフタギの白い花を見るが、白やピンクのヤマボウシはまだまだのようだ。「あ!イノシシ!」と横を通り過ぎトチノキの鞍部へと下って行く。

哲郎が「エイリアンの木」と呼ぶ大木 「あ!イノシシ!」と

 トチノキの鞍部を過ぎると足元の踏跡は濃くなり、赤碕中尾根分岐を過ぎると踏跡は山道のようにハッキリしてくる。団体さんが通ったのだろうか、この尾根を楽しむ人が増えてきたのだろうが、団体さんは新しい道を造るので困る。

 鞍部から南の尾根に乗り、小ピークのアップダウンを繰り返すと灰野道に出合う。今日は尾根から遠望は出来ないが、尾根の雑木を楽しんで15時過ぎに佐々里峠に降り立つ。

トチノキの鞍部から赤崎中尾根分岐へ 倒木を過ぎると灰野道も近い

 広河原に着き河原で後始末と着替えを済まし、庄兵衛さんでビールを飲みながらユックリとバスを待つ。「今日は男の節句よ!」と哲郎もチマキを頂く。17時30分最終便に乗るが、当然乗客は哲郎1人、車窓から見る梅雨の薄暗い夕暮れの中に、民家の軒先にピンクのジキタリスの花を見る。








木には望みがある。
たとい切られても、
また芽を出し、
その若枝は絶えることがない。


ヨブ記 【14−7】
哲郎もチマキを頂く