小塩山(鵜の子谷〜善峯)//京都西山
2012.08.04


 
小さな谷だが適当に荒れていてこれが面白い
鵜の子谷


2012.08.04 (土) 晴れ  哲、道

行き:阪急桂駅東口8:06(京阪京都交通バス)− 峠西口
帰り:善峯バス停15:24(阪急バス) − JR向日町


コース:
峠西口バス停〜旧道を王子橋まで下る〜林道ゲート〜林道終点〜右俣を遡行〜谷分岐で左俣〜支尾根取付〜NTTDoCoMo中継所〜舗装道出合〜林道カーブ地点から支尾根を下る〜作業道出合〜P604〜鉄塔6〜鉄塔7〜大原野森林公園入口〜逢坂峠(436)〜杉坂〜善峯バス停

注意:
・鵜の子谷は林道終点から薄い踏跡を辿りますが、道が不鮮明で谷の中を歩いたり植林地やヤブの中も歩きます。小さな谷ですが谷を抜けるまで3時間かかりますので初心者危険コースです。初心者だけで進入しないようお願いします。
・2012.08 鵜の子谷林道は先の集中豪雨で数ヶ所寸断されています。復旧工事が完了するまで危険なので立入り禁止となっています。









 連日猛暑日が続く京都地方、低山は暑いのだが小塩山へ出かける。今日は小塩山の裏にある鵜の子谷を3年ぶりに探索することにする。

 阪急桂駅から亀岡行きのバス(京都駅始発)に乗る。学生さんで一杯だが何とか座ることが出来た二人、道子はすぐに眠りに入る。国道9号線に出るといつものように渋滞していて、なかなか先へ進んでくれない。老ノ坂トンネルを出た「峠西口」バス停で下りるが、ここまで1時間以上かかったようだ。

 周囲に何も無いバス停、普段は誰も利用しないだろう。交通量の多い国道を注意しながら亀岡方面へ150m下ると旧道に出合うので、車止めを跨ぎ旧道を進む。

周囲に何も無い「峠西口」バス停 150m下ると旧道に出合うので

 旧道は舗装されてはいるが、両端から草木が伸びてきてやっと歩けるところであるが、車の心配が無いので助かる。前方が開け田畑や高速道や鵜川の橋が見えてくるが、日差しがきつそうなので旧道の木陰で準備することにする。準備が終わると傍の山水で顔を洗いスッキリして出発する。

車止めを跨ぎ旧道を進む 鵜川の橋が見える旧道の木陰で準備する

 国道9号線が右にカーブする所で鵜川を渡る。渡った左岸にある道が目的の鵜の子谷林道である。入口のゲートに以前無かった「立入り禁止」の看板があり、「何か工事でもしているのかな?」といいつつ様子を見るため進入させてもらう。(林道を歩いて分かったが、「立入り禁止」は、先の集中豪雨で道路が数ヶ所寸断されていて、危険なためである)。

 歩き始めるとすぐに植林地に入り、しばらく川から少し離れて歩くことになる。谷に注ぎ込む小さな谷は、いずれも石がゴロゴロむき出している。いつもここに来ると顔の周りに小さな虫が群がり、顔の前で手を振って歩いていたが、大雨で洗い流されたのだろうか虫がいない。

 林道にはタケニグサが良く目立つ。足元を見るとオトギリソウやミゾホオヅキが続く。「ここの花は小さいな〜」とミゾホオヅキの花を見ていると道子に遅れてしまう。斜面には花が終わったハナイカダの実を見る。

鵜の子谷林道へ進入する 歩き始めるとすぐに植林地に入り
オトギリソウ ハナイカダの実

 植林地を抜けると川沿いを歩くことになるが、目の前に道を寸断する土砂を見る。土砂は川まで達しているので土砂の上を注意して歩くことになる。「またや!」と再び土砂が道を塞ぐ。川に注ぐ小さな谷は随分と崩れていて、林道入口にあった「立入り禁止」はこれらのようだ。そのうち林道は草に覆われてきて、谷間もだんだんと狭くなってくる。

土砂の上を注意して歩く 谷間もだんだんと狭くなってくる

 堰堤の手前まで来ると対岸の崖が崩れていて豪雨の爪あとを見る。そこで先を行く道子が立ち止まっている。道にロープが張ってあり右手からの土砂を見るが、近づいてみるとポッカリと大きな穴が2個空いている。哲郎が覗いてみるとコンクリート壁の数m下に川底が見えている。

 濁流で川底がえぐられ穴が開き、林道の土砂が持っていかれたのだろう。哲郎は残ったコンクリートの基礎の上を歩こうとするが、道子が大声で「やめとき!」と叫ぶ。結局山手のわずかなすき間を歩き通り抜ける。林道が補修されるまで鵜の子谷の遡行は危険を伴うことになる。

ポッカリと大きな穴が2個 「お〜怖!」と道子

 堰堤を過ぎると谷は穏やかになり、谷沿いにオレンジの花を見るようになる。哲郎が対岸へ渡り野草観察する間は道子は小休止となる。

 橋を渡ると林道の草はさらに育ち、足元が湿っていて湿地帯を歩いているようだ。北山ではヒルのお出ましとなるが西山ではその心配がないのが助かる。左右のオオキツネノカミソリを見ながら進んで行くと鵜の子谷林道終点に着く。

オオキツネノカミソリ 鵜の子谷林道終点に着く

 ここで谷は分岐しているので右俣をとる。ここから谷遡行が始まるのだが、ユックリ野草観察したので林道入口からすでに1時間以上かかっている。谷を渡り右俣の左岸を歩き始め、谷沿いの薄い踏跡を辿る。すぐに大岩が見えて来て、その下を歩く。でもこの付近は以前と余り変わっていなく、豪雨の影響は無かったようだ。

林道終点から右俣の左岸へ渡る すぐに大岩が見えて来て

 谷沿いの踏跡は最初は結構シッカリしていて歩きよいが、谷に突き当たり谷を渡ることになる。数分でまた渡渉し、又すぐに・・・と何度も谷を渡り返す。そのうち踏跡もだんだん薄くなってくるが、進行ルートは谷を大きく外れることは無い。

踏跡は最初は結構シッカリしていて歩きよい 何度も谷を渡り返す

 途中でイワタバコを観察するが、見頃は来週のようだ。谷間はだんだん狭くなり谷も細くなる。踏跡は所々で消えコース選定をしながら歩くことになる。

 次第に低木の雑木が増えてきて、時々かき分けて進むようになる。「谷分岐はそろそろや」と言う頃、踏跡が消えるので道子は右岸の雑木の中、哲郎は左岸の植林地の斜面を歩いてみる。谷沿いの植林地には必ずヘビがいて、哲郎もマムシに出合う。「あっちへいけ!」と追いやるが逃げてくれないマムシ、1m離れて歩くことになる。

踏跡は所々で消え 低木の雑木が増えてきて

 谷分岐手前まで来ると杉の幼木が伸びてきて、「イタタ!」と言いつつその中を進んで行くと谷分岐に着く。と言っても、以前小広場だったスペースは木で埋まり谷の様子は全く見えないので、初めての訪問者はここが谷分岐だと分からないだろう。

 足元にたくさんのアケボノソウを見るが、一本だけ開花していて「もう咲いている!」と見入る。左手の谷に下り谷を渡り左俣の左岸へ上がる。

「イタタ!」と言いつつその中を進んで行く 谷分岐で谷を渡り左俣の左岸へ上がる

 もうここまで来ればヤブから解放され美しい谷沿い歩くことになる。足元に群生するフタバアオイを見ながら谷を渡り、谷を詰めて行く。

 谷を数回渡り返し詰めて行くと、谷が直角に南へ曲がる。谷分岐から約10分である。この先には樹木が綺麗な小広場があり、いつものようにここで昼食とする。いつもはオフロードを楽しむバイクの音が響くこの谷だが、今日は静かで良い。

 【注意:この先の谷沿いは狭く道もなくバイクに出合うととても危険なので、バイクの音が聞こえる時は、谷コースは止め右手の支尾根を登ってください】。

フタバアオイを見ながら谷を渡り 樹木が綺麗な小広場があり

 今日はバイクの音がしないが、右手の支尾根を登ることにする。10mも登ると細い尾根に乗り南へ登り始める。そんなにキツイ勾配ではないが、やはり夏、汗をかいてしまう。標高差100mも登ると一旦緩やかになるが再び登り始める。しかし雑木の尾根が続き心地よく登ることが出来る。

右手の支尾根へ取り付く 心地よい登りが続く

 足元にツルシキミを見るようになると、溝状の道が現われて尾根は広くなり、そのうち勾配も穏やかになる。そんな雑木林を詰めて行くと前方にブルーの小屋が見えて来て、その後ろにNTTドコモの中継所が見えてくる。

 ここはカタクリ保護区の入口のようで、小屋にはその資材が保管してあるようだ。階段を上がり中継所の取付道へ出る。

NTTドコモの中継所に着く 階段を上がり中継所の取付道へ出る

 13時10分、「善峯15時台のバスに十分間に合うだろう」と杉坂から善峯に下ることにする。本道に出合った所ではたくさんの車が止まっていて、麓から山頂への道を清掃しているようだ。「確か前回来た時も清掃していた!」と道子。

 「ご苦労さんです!」と舗装道を下って行き、西から東へ大きく折り返す地点へ向かう。ここにある2個目のカーブミラー地点が杉坂への近道の下降点で、早速二人は進入し、急斜面を下って行くと数分で御陵道からの作業道に出合う。この道は歩きよく大原野森林公園入口へと続いている。

 作業道を数分進むと火の用心の2枚の標識に出合う。今日は逢坂峠へ直接降りたいので鉄塔は通らない予定だが、ここではNo6へ向かう。

カーブミラー地点が杉坂への近道の下降点 火の用心No6へ進む

 すぐに次の標識にであう。逢坂峠へはここを南へ直進するのだがNo6の標識に「⇒杉坂」と書いてあるので、疑うことなく二人は鉄塔No6へと従う。途中で南西に歩いているのに気付いた哲郎だが「しまった、この道は大原野森林公園や!」と言いつつも、今日は久し振りに森林公園への道を歩くことにする。

 そのうち鉄塔6に出合い、すぐに鉄塔7に出合う。鉄塔を過ぎると支尾根は北西に向き最後は急斜面を下ることになる。大原野森林公園前の舗装道に降り立ち「30分のロスや!」と言いつつ、急ぎ足で杉坂へ向かう。20分で逢坂峠にやって来て右の杉坂へ向かう。14時20分、「もうバス間に合うだろう」と道子に言うが、暑い日差しを受け歩くことになる。

鉄塔No6からNo7へ向かう 蓮の花が綺麗

 だらだらと続く善峯への道を下ると駐車場の前に蓮の花が数本咲いている。明朝咲くのであろうツボミも綺麗である。14時50分にポンポン山登山口に着き谷へ降りユックリ後始末や着替えをする。バス停にあるトイレが水洗に新調され登山客も喜ぶであろう。

 やって来たバスに数人の登山者と共に乗りJR向日町へ向かう。バスのクーラーが心地よいので「今日も暑かった!」と言うことになるようだ。








木には望みがある。
たとい切られても、
また芽を出し、
その若枝は絶えることがない。


ヨブ記 【14−7】
イワタバコ