鴨瀬芦谷山(ソトバ峠~コシキ峠~芦谷)//北山
2014.07.02


 
中央分水嶺の尾根は広域林道で大きく削られ


2014.07.02 (水)  晴れ   哲

行き:JR京都駅前バス停6:50- 周山8:15 - 小塩
帰り:千谷口バス停16:57 - 周山17:40 - JR京都
コース:
・小塩バス停~小塩東谷~ソトバ峠取付き~ソトバ峠~△ソトバ山~P755~コシキ峠~P657~△鴨瀬芦谷山~林道峠(八丁林道分岐)~芦谷林道分岐~芦谷~R162出合~八丁林道口(カモノセキャビン)~千谷口バス停

注意:
・中央分水嶺のソトバ峠からソトバ山~コシキ峠の尾根は細い尾根が続きます。その細い尾根は広域林道により削られさらに細くなっています。雑木が密集した幅数mの尾根、歩けないので広域林道の崖上を歩く所が何か所かあります。崖から落ちないように注意してください【初心者危険コース】。
・△鴨瀬芦谷山へはコシキ峠から古い作業道が残っていて難なく山頂へ行けますので、初心者はコシキ峠から取付いて下さい。







 今日はソトバ峠から鴨瀬芦谷山へ「美山トレイル」の調査も兼ね出かける。週末は天候がすぐれないので平日登山となるが、今日は道子が仕事なので哲郎一人で出かけることになる。

 周山で京北ふるさとバスに乗り換えるが、乗客はおばあさんと哲郎の二人、採算なんて全く取れないような乗客数だが、これからの高齢化に向けバスは必要な交通手段となるだろう。高齢者に運転免許を返納させておいて、バスはありませんでは、皆さん困ってしまうだろう。

 終点の小塩で降りる。「細野でクマがでたので、気を付けてください!」と運転手さんから声がかかる。山奥の里なのに随分と谷間が広くて明るい。久しぶりの小塩、道子とこのバス停から周山へ向かった時は国鉄バスだったことを思い出す。

小塩バス停は民家から離れたところ ソトバ峠へは民宿を過ぎ橋を渡る

 小塩川はここで二分し、左へ行けば西谷からコシキ峠へ、ソトバ峠へは右の小塩東谷に沿って歩くことになる。民宿を過ぎ橋を渡ると、谷沿いに林道が続く。緩やかな林道で谷間も広く、心地よく奥へと歩き始める。分岐を9時00分のスタートである。

 砂防指定地の看板では、この谷は「馬場谷川」となっていて、歩いている林道は「馬場谷府道」である。心地よい林道と言っても、今日は朝から暑く、何度も飲水休憩をとることになり「アクエリアス3本で足りるかな~?」と思ってしまう。この付近はヒルが多いだろうと思っていたが、今年の梅雨は京都地方では降水量が例年の30%とカラカラなので、ヒルの姿は全く見当たらない。でも用心のためヒル避けを噴霧する。

 林道は緩やかにユックリ登って行くのでなかなか標高が上がらない。出合う谷分岐には林道が分岐していて、それを確認しながら本流を進んで行く。川沿いにはヤマアジサイが咲き、暑さを和らげてくれる。

緩やかな林道で谷間も広く ヤマアジサイが咲き

 標高400mを過ぎると谷間も狭くなってくる。「時間的にも、もうそろそろだろう!」と、ソトバ峠の取付きを見逃さないように歩いていると、昨年の大雨だろう林道が崩れているのを見る。そのすぐ先では、林道は谷水で洗われ岩肌が見え、数10m消えている。崩れているのはここだけのようだが、ソトバ峠取付きまで車で入れないようだ。

 再び静かな林道を歩き始めると、左手に白い看板を見る。「八丁廃村登山口」とある。ここがソトバ峠への取付きで、案内板が無ければ「もう少しで通り過ぎるとこやった!」と哲郎。9時50分なので小塩から50分で来たようだ。

谷水で洗われ道が消失 左手に白い看板を見る/八丁登山口
八丁廃村登山口の古い案内板

 谷を渡りソトバ峠へと向かう。地形図の道では、しばらく谷沿いを進むのだが、目の前の支尾根の先端に登って行く踏み跡を見る。谷が通れないのか、近いからここを歩くのか分からないが、今日は植林地の支尾根を登って行くことにする。

 左手の谷には堰堤がありその先に登山道のようなものを見るが、やはり今日は支尾根を登ることにする。最初はきついが次第に勾配もゆるくなってきて、標高500m付近で左手から登ってくる本道に出合う。

今日は支尾根を登ることにする 左手から登ってくる本道に出合う

 「なかなかいい道だ!」とそこに古道らしいシッカリとした道を見る。しばらく植林が続き、植林の中をジグザグに登って行く。右手の谷筋まで来て、今度は左手の谷筋まで緩やかに巻いていき「地形図通りや!」と哲郎。

 植林地の中だが、緩やかでシッカリした道が続き心地よく登って行くことができる。植林地が終わる頃、木の下に数体の地蔵を見て、ソトバ峠は近いと感じる。

緩やかでシッカリした道が続き 木の下に数体の地蔵を見て

 道は雑木道に変わり、5分も歩かないうちにソトバ峠に着く。10時40分で、取付きから50分かかったようだ。緑に囲まれた峠、ちっと早いがここで昼食とする。峠に横たわる枯れ木に腰を掛けオニギリを食べるが、何も聞こえてこないのが良い。

道は雑木道に変わり ソトバ峠に着く

 10分で食べ終え、早速ソトバ峠から中央分水嶺の尾根を西へと歩き始める。まずはソトバ山へ向かって尾根を登って行く。雑木の綺麗な尾根で所々に台杉を見る。標高差40m登って小ピークに付き「ソトバ山」の山名板を見るが、ここは標高750mでソトバ山ではない。

 このピークを越え下り始めると、目の前に右手からやってくる広域林道に出合う。ソトバ峠で尾根を北へ横切った広域林道はここで南へと横切って行く。林道沿いの尾根は崖状に削られているので、林道へ降りるところを探すことになる。

中央分水嶺の尾根を西へ ここはソトバ山ではない

 ソトバ山へは林道から木の階段が設けられ、それを登って行く。尾根に乗ると西へ適当に登って行くとソトバ山に着く。この付近にも美山トレイルのテープを見るが、佐々里峠~ダンノ峠~ソトバ峠~ソトバ山~コシキ峠~鴨瀬芦谷山~・・・の中央分水嶺の尾根は京都市内に続いているので、「美山トレイル」では無理があるようだ。そんなことより毎度のテープ、「うっとおしい!」、雑木にテープを巻くことはやめてほしいいものだ。

ソトバ山へは林道から木の階段を登る うっとおしい美山トレイルのテープ

 ソトバ山、山頂には三角点があるが、余り訪れる人がいないのだろう古い標識があるだけでヒッソリとしている。ソトバ山から分水嶺の尾根を西へ向かう。次の目的地はコシキ峠だが、この間が長い。

 ピークを下ったところで広域林道に接することになるが、尾根は10数mの崖上にあり、数mの幅で雑木が密集し歩けない。ここで美山トレイルのテープが広域林道に沿って崖上を歩くよう誘導している。初心者では危なくて通れないだろう。

古い標識があるだけのソトバ山 広域林道に沿って崖上を歩くよう誘導

 細い尾根の密集した低木の雑木を掻き分け通り抜けると、次のピークに向け登り始める。尾根は広がり再び心地よい疎林の中を登ってピークに着く。ピークから下った鞍部は再び広域林道で削られた細い尾根に変わる。

 ここも崖上の狭いスペースを歩き、歩くスペースがなくなれば強引に雑木の上を歩くことになる。「ここも危ないな~」と言いつつ通り過ぎる。鞍部から登って行くと尾根が広がってきて、踏み跡がハッキリしてくる。

崖上の狭いスペースを歩くことになる 強引に雑木の上を歩くことになる

 尾根が広がると疎林の中快適に歩く。快適と言っても素朴な雑木が立ち並んでいるだけだが、これが良い。しばらく広域林道から離れ中央分水嶺の尾根を楽しむことができる。

 先ほどの細い鞍部から1時間経ったであろうか、P755を下ったところで再び鞍部に出合う。鞍部ではやはり広域林道が寄ってきて、再び狭い尾根を通ることになる。ここも崖上の狭いスペースを歩くことになるが、広域林道ができる前は、崖上が尾根の中央だったのであろう。

美山トレイルのテープが無ければ
疎林の尾根はもっと快適だろう
広域林道ができる前は、
崖上が尾根の中央だったのであろう

 鞍部から少し登って行くと立派な台杉に出合う。「よくぞ残っていてくれた!」と、どっしり立っている木を見る。ユックリと西へ下って行くと標識のあるコシキ峠に降り立つ。ここへは小塩から西谷の林道を詰めてくると来ることができる。広域林道に出ると西谷の林道へ下って行く階段を見る。

 13時40分で予定より1時間遅れている。ソトバ山までは予定通りの進行だったが、ソトバ山からコシキ峠まで予想以上に時間がかかってしまう。広域林道から千谷口バス停までは約1時間、「もう少し歩けるだろう!」と予定通り鴨瀬芦谷山へ向かうことにする。

立派な台杉に出合う コシキ峠

 コシキ峠の西側のヤブの中に道を見る。早速進入すると古い作業道が続いているのでこれを歩くことにする。コシキ峠から鴨瀬芦谷山へは標高差200m近く登ることになるのだが、ゆっくりと登って行くので苦にならない。

 途中で作業道を離れ尾根に乗り稜線を歩いてみる。20分も歩くと植林地に出合い所有林の名前が書いてある派手な看板をいくつも見る。峠から40分歩いたところの鞍部で再び作業道に出合う。

コシキ峠の西側のヤブの中に道を見る
標識の反対側
所有林の名前が書いてある派手な看板
まだまだ美山トレイルのテープは続く

 しばらく植林地が続き、だらだらと登って行くと、小びろい鴨瀬芦谷山(シライシ)の山頂に着く。14時40分、コシキ峠から1時間かかったようだ。山頂から広域林道沿いに西へ下って行くと標高720mで広域林道に降り立つ。美山トレイルのテープは西の尾根を登って行くが、もう15時前なので、尾根の調査はこれまでとし、千谷バス停へ下ることにする。

△鴨瀬芦谷山(シライシ) 標高720mで広域林道に降り立つ

 鴨瀬芦谷山下から八丁大道を下っても良いが、予定通り広域林道を進むことにする。広域林道は中央分水嶺の尾根を右に左にと横切って行く。そこからの尾根の登り口には美山トレイルのテープが続く。中央分水嶺を美山トレイルにしたい気持ちは分かるが、「今日歩いたのはすべて京都市内、それに広域林道でズタズタに寸断された尾根、何度も崖上を歩くことになり危険と言うことで、美山トレイルには全く相応しくない!」と哲郎。

 広域林道を15分歩いて林道峠に着く。ここから八丁林道を鴨瀬谷へ下っても良いが、哲郎はこの先にある足谷(芦谷)林道分岐へ向かう。哲郎の計算では、地形図上だが足谷林道の方が早く下れるからだ。

四辻の林道峠 足谷(芦谷)林道下降点

 広域林道から芦谷へ下る分岐の先にも尾根に上がって行く美山トレイルのテ―プを見る。「美山トレイルのテープはこの先深見峠へ向かい、さらにその先の中央分水嶺に沿って日吉町界へ向かっているだろう?」と哲郎は予想する。

 15時20分、16時過ぎにはR162へ降り立つのでバスには十分間に合うだろうと足谷林道を下り始める。道は崩れたところもなく難なく歩ける。一度東に振って西に折り返すと芦谷に出合う。あとはダラダラと林道を下って行く。この林道、下りは快適に下ることができるが、分岐が多いので登りの時は迷ってしまうかも知れない。40分で林道口に出てR162に出合う。

緩やかに谷沿いを下る足谷林道 R162の足谷(芦谷)林道口

 国道を下って行きバス停へ向かう。バスまで1時間あるのでユックリで良いのだが、初めてのバス停なので急ぎ足になる。八丁林道口まで来ると右手にログハウス風の店が見えてくる。

 あれが有名な「カモセキャビンとやらか」と。「カモセ」と思っていたら「カモノセ」とある。喉の乾いている哲郎は店に入ってビールでもと思ったが、ここは我慢してバス停へ向かう。

KAMONOSE CABIN 千谷口バス停

 直ぐの分岐を右にとり集落へ入って行く。駐車禁止の黄色い看板が見えてきてバス停が見える。バスまで40分あるので近くの川に降り体を拭いて涼をとる。すぐ前のご主人がやってきて話しかけてくる。ここでは集落外の人が珍しいのだろう。バス停でブロックに座ってバスを待つことにする。最後のアクエリアスを飲み干し、「ビール飲めば良かった!」と哲郎。








木には望みがある。
たとい切られても、
また芽を出し、
その若枝は絶えることがない。


ヨブ記 【14-7】
△鴨瀬芦谷山(シライシ)