武奈ケ岳(御殿山~西南稜~細川道)//比良
2015.02.21


 
シラクラを見ながら武奈ケ岳から細川道を下る


2015.02.21 (土)  晴れ   哲郎・道子

行き:JR京都駅7:58 = JR堅田駅8:50 - 坊村バス停
帰り:細川バス停15:37 - JR堅田駅 16:38= JR京都駅


コース:
坊村バス停~御殿山登山口~P846~見晴台~▲御殿山~ワサビ峠~西南稜~△武奈ケ岳~北稜の細川道分岐~細川道を下る~P706~作業道出合~細川バス停

注意:
・細川道:積雪時、道にトレースはありません。1m前後積もりますので積雪状態によりアイゼン、ワカン、シューなどの装備が必要です。積雪時は【初心者危険コース】とします。









 今週、琵琶湖バレーの積雪情報によると120cmと増えている。「晴れ、暖かい、弱風」と言う予報で今日は武奈ケ岳へ出かけてみる。JR堅田駅細川行きには珍しくすでに先客がいて、新快速が着くと、どっとやってきて長い列ができる。

 しかし臨時便がやってこない。定期便が先にやってきて「後で臨時便が来ます」と運転手、1台の臨時便に満員の客を詰め込んで坊村へ向かうが、途中の降車に時間がかかり結局遠回りをする定期便の客の方が先に降りることになる。毎度の不手際、「一度ISO-9001認証にでもトライしてくれ!」と哲郎。

 坊村バス停のトイレ前で数グループの人に混じって準備するが、あるグループは準備体操を始める。二人はその間をぬって御殿山登山口へ向かう。明王谷の橋を渡っても足元に雪はない。登山口から登り始めるが前後に団体さんがいて、登山道は渋滞する。 

坊村バスのトイレ前で準備するが 橋を渡っても足元に雪はない

 道に雪を見るようになると、「つけよう!アイゼンを」とアイゼン派の道子、我慢せずにすぐにアイゼンを進める。道を避けアイゼンを付けていると、たくさんの団体さんが通り過ぎる。各団体さんのアイゼンを付けるポイントが違うので、皆さん抜きつ抜かれつと細い登山道は渋滞する。

 やっと標高700mの小ピークに着き小休止した後、目の前のP846の尾根へと登って行く。今日は新しいアイゼンの二人、道子は靴も新調し調子を伺いながら歩くことになる。

 アイゼンはPETZLのSARKENという12爪を買ってしまった。縦走用のアイゼンは前爪が鋭く飛び出していてイタイタしいので、縦爪のアイゼンにする。縦爪のアイゼンはアイスクライミング用で縦走の雪原は歩けないのだが、SARKENはアイス用+雪用+etc.と4WDのごとくどこでも歩けるTYPEだそうな。

細い登山道は渋滞する 標高700mの小ピークに着き小休止

 急坂を登り始める。前方を歩く3人組み、最後尾の男性は前の人に手を伸ばしていて登って行く。彼のストックは白塗りなので視力が弱いようだ。障害物があると前の人が「右を上げて、左を大きく上げて・・・」と一歩ずつ声を掛ける。後ろの男性はロボットのごとく正確に反応しているので、木の根っこがあってもつまずくこともなく歩いて行く。

 追い抜きづらい二人は彼らの後ろをユックリと登って行く。予想以上に雪が多かったのだろう、先頭で先導する男性は御殿山で引きかえそうと言っている。やっと二人は尾根に乗り小休止し御殿山へ向かう。

P846の尾根へと登って行く やっと二人は尾根に乗り小休止

 P846を下ると夏道冬道分岐、夏道に一つのトレースを見て「どこへ行くのやら?」と哲郎、二人は真っすぐ冬道へ進んで行く。

 新しいアイゼンのおかげで急坂もスイスイ登れ助かる。小ピークを二つ超えると雪庇帯に着く。前方に高さ数mの雪庇を見て「ここでこんなに成長した雪庇は近年見たことが無い!」と哲郎。本来雪庇の上の尾根を歩くのだが、トレースはそれを避け雪庇の下の雑木の中に続いている。ここはおとなしく二人はトレースに従って歩いて行く。

冬道へ進んで行く 数mの雪庇の下を歩く

 一登りすると見晴台に着く。ここも吹き溜まりか見晴台は雪の塊で覆われていて見晴台の面影は全くない。その塊の上に乗り北山方面の展望を楽しむ2人であるが、道子はこんなところでメールに忙しい。

見晴台は雪の塊で覆われていて 北山方面の展望を楽しむ

 一登りして御殿山の着く。もう12時を回っているので今日はユックリやって来たようだ。「えっ、もう12時!」と道子、二人は山頂で休憩の団体さんの横を通りワサビ峠に下り昼食とする。

 雪庇を通りすぎてもワサビ峠の標識は見当たらないのでよく積もっているようだ。二人は登山道を避け林の中で昼食とする。手袋を取っても痛くならないので今日は暖かいということになる。目前の登山道にはもう下って来た人も多く、行きかう人が絶え間なく続く。

御殿山から武奈ケ岳を望む 雪庇の横を下りワサビ峠へ

 「さあ、出発や!」と西南稜を登り始めるが二人の足は重くて動かない。「山頂まで昼食を待つべきやった!」と二人。西南稜は風がきついだろうと昼食中に着込んだ上着を来てスタートするが「暑い!」と途中で上着を脱ぐ。登り切った西南稜は風が当たるのでシャツを1枚追加する。・・・否やはり暑いと、トレースを避けてシャツを減らす。

 何度も服の調節をするので随分と遅れてしまう。雪深い西南稜だがトレースがシッカリしているのでアイゼンが無くても歩けるようだ。「こんな穏やかな西南稜は久し振りだ!」と足の動きもスムーズになったところで西南稜最後の急斜面を登って行く。

西南稜を歩く 西南稜最後の急斜面を登って行く

 登りきると前方に武奈ケ岳山頂が見えてきて、そこにたくさんの登山者を見る。山頂に着き周囲を一望し、すぐに北稜へと進んで行く。細川道下山口に着き細川道を下り始める。ここに一人の男性がシューを準備しているので道子が尋ねると、彼は細川道を下ると言っている。

△武奈ケ岳に着く すぐに北稜へと進んで行く

 トレースもなく綺麗な写真が撮れると思っていた哲郎は、道子に急いで下るように言う。二人はアイゼンのまま飛び跳ねるように下って行く。大木を過ぎ雪深くなりユックリ進んでいるとシューの男性が追いついてきたので、道をあけ先へ行ってもらう。残念だが彼のトレースの後を追うように下って行くことになる。

 雪深く、やはり歩きにくいと二人はここでワカンを付けることにする。「シューのトレース上は歩きにくいので外すように」と道子に言う。そんな哲郎だが、たまたまシューのトレース上を歩いていると、ズッボ!と深さ1mの穴に足を突っ込む。大きな木の根にできた空洞に突っ込んだようで、シューでは通れたのだろう。哲郎は右に左にもがいて、やっと穴から抜ける。

急いで細川道を下り始める 雪の細川道を楽しむ

 しばらく下って行くと「あれっ~」と道子、今度は道子が穴に足を突っ込む。「ザックを外せ!」と哲郎、でもこれがなかなか抜けないのだ。哲郎も行って足の周囲の雪を掘り起こす。幸いにも気温が高いので難なく掘り起こすことができ一安心する。ここも深さ1mもある穴でアセビの低木の上に雪が積もって分からなかったようだ。

 「やれやれ!」と二人は下り始める。P706まで来ても積雪深く、今年は雪が多いことが分かる。予想以上に雪深く「シューを持って来ればよかった!」と二人はワカンを選択したことを残念がる。ここまで来ると気になるのがバスの時刻、道子に急ぐように言うが「遅い安曇川行きのバスでもいい!」と道子はダラダラと遅れる。

急斜面を下って行く P706まで来ても積雪深く

 「植林地はまだ~!」と道子、やっと植林地に入りワカンを外しアイゼンで下って行く。作業道に出合い谷筋に出合うと雪は所々消えるが、そんなのお構いなくアイゼンを履いたまま先を急ぐ。送電線を潜るとバス停はもうすぐ「堅田行きのバスに間に合う!」と哲郎。

 バス停で急いで後始末する哲郎、用具を洗ってやって来た道子とバスを待つがバスがやってこない。バス停の時刻表を確認すると「な~んだ!」と哲郎、バスの時刻を間違えていたようで急がなくても良かったようだ。

やっと植林地に入り バス停で急いで後始末する

 やって来たバスに乗り坊村まで来ると、朝一緒に登った人々が乗ってきて満席となる。JR堅田駅に近づくといつものように渋滞が始まるが、今日は早く解消する。「後1分や!」と駆け上ったホームで新快速に飛び乗る。

 「ホームの階段が、今日一番きつかった!」という道子は、いつものようにすぐに眠りに入るのである。








木には望みがある。
たとい切られても、
また芽を出し、
その若枝は絶えることがない。


ヨブ記 【14-7】
前爪が縦爪の PETZL SARKEN