鍋谷山~井口山~鍋谷峠道
2020.12.02


 
井ノ口山の伏条台杉


2020.12.02(水) 晴れ   哲、道

行き:出町柳 7:50 - 下ノ町(京都バス)
帰り:原地中の町 14:32 - 出町柳
コース:
・下ノ町バス停~倉谷林道口~広域林道出合~支尾根を登ってP849~鍋谷山(往復)~井ノ口山分岐~井ノ口山三角点~井ノ口山伏条台杉保護区~尾根に戻って尾根を南へ下る~広域林道出合(井ノ口山林道分岐)~鍋谷峠~原地中の町バス停


注意:
◆広域林道造成工事で鍋谷峠道は広域林道付近だけ古道が消えている。造成されたのり面を少し下ると左手(北)の支尾根に古道が現れて、それを歩く。古道は谷に突き当たり林道支線を下っていく。林道が合流し谷筋を下っていくが、谷は荒れ林道に倒木が長く続く。林道崩壊部分で谷を渡り対岸の林道に乗る。鍋谷峠道は現在(2020.12)谷は荒れ倒木多く初心者危険コースになっていてお勧めできません。





 今日は鍋谷山から井ノ口山へ向かい、最後は鍋谷峠から原地中の町バス停へ下ってみる。昔は鍋谷山から片波山へと心地よい雑木の尾根が続いていたが、この尾根に広域林道が造成され尾根がズタズタに切断されたので出かけることが少なくなった。

 最初、片波山から大布施へ下山する行程表を作成したが、鍋谷山や井ノ口山に寄っていたら早いバスに間に合わないので、片波山をあきらめ鍋谷峠道を下りショートカットとする。鍋谷峠道を歩くのは15年ぶり、こちらも広域林道ができてからは遠ざかっていた。

 今日は寒いかもしれないと、この冬初めて冬用のメリノウールの下着+冬用のズボンで出かける。平日の広河原行きのバスは鞍馬を過ぎると乗客はガラガラ、それにコロナ対策とやらで窓が開けてあるので、冷気が哲郎を襲う。一応冬仕様で来たのだが我慢できないほど寒い。

 バスが下ノ町に着くや、すぐに倉谷林道へと速足で向かっていく。橋を渡り川沿いの道を南にとり民家が終わったところで道は西へと登っていく。ここが倉谷林道入り口である。

倉谷林道へは
バス停100m南の橋を渡る
倉谷林道入り口

 倉谷林道はほとんど谷沿いの崖上の高い所にあるので、明るく所々で雑木が広がっていて、春にはアカモノ、イワナシ、イワウチワも楽しむことができ、緩やかに登っていくのも良い。崖上の林道なので豪雨が降ると谷側が崩れやすく、よく通行止めとなる。

 林道を登り始めると、最初は東へと斜面を巻いていき、西へと折り返し登っていく。左手の谷間に沿うようになると、豪雨で崩壊した道の修復箇所を見るが、現在の所いずれも大丈夫のようだ。

 暖かくなってきたのだろうか、登るにつれ汗をかいてきたのでシャツ1枚になる。この温かさに比べ今朝のバスの寒さは異常だったようで、これからの寒い冬のバスには防寒対策が必須となる。

 もう崖に咲く花はなく、来春楽しめるような花を想像しながら登っていく。イワナシの葉は紅葉しないがイワウチワの葉が赤くなっているのを見る。

倉谷林道を歩きはじめる 林道修復箇所は今のところ大丈夫
倉谷林道の落葉を楽しむ

 10時45分、広域林道に出合う、バス停から70分、ゆっくり歩いてきたがタイムは予定通りである。井ノ口山へは目の前の支尾根を登っていく。と言っても尾根は広域林道で切り立っているので、右に数10m進みコンクリートのブロックが切れたところからブロックに乗って支尾根の先端へ戻っていく。

 支尾根の先端へ近づくと、登っていく踏み跡を見るのでこれを進む。支尾根の中央に来たところから最初は急な斜面を登っていく。

広域林道に出合う 支尾根へのとりつき

 急な疎林の細い尾根だが、それなりに楽しみながら登っていく。道はないが細い尾根なのでまったく問題なく進むことができる。勾配が緩くなってきて、ピークまであともう少しと言うところで数匹舞っているスズメバチだろうか「まだいるのか!」と少し避けて歩くが、もう襲ってくるようなことはない。

 25分でP849に着き小休止する。予定より少し早く着いたので、予定通り鍋谷山へ向かうことにする。

井ノ口山への尾根を楽しむ P849に着く

 P849から鍋谷山への尾根は、衣懸坂を経てダンノ峠へと続いているのだが、広域林道開発で尾根を林道が何度も横切るので最近は全く歩いていない。だからこの尾根がどうだったかまったく記憶に残っていない。

 最初は西へ雑木の尾根をユックリ下っていく。すぐに小ピークに登っていき、南西へと下って行く。足元には葉の散った低木が群生しているので「夏は葉が茂りヤブ漕ぎであるけへん!」と道子。

 時々その細い幹が鞭のように跳ね返ってきて「痛い!」と、ゆっくり歩くことにする。次の小ピークを過ぎ登り始めると足元にイワウチワの群生を見て鍋谷山に着く。

 三角点を探す哲郎、見当たらないので地形図で確認、「ないんや!」と。予想以上に殺風景だったのですぐに引き返すことにする。それでも「鍋谷山を楽しんだ!」とP849へ向かう。

P849から鍋谷山へ向かう イワウチワの群生を見ながら登っていくと
鍋谷山に着く 鍋谷山周辺は低木が邪魔をする
鍋谷山への尾根を楽しむ

 11時48分、予定より10分早く着いた。すぐに東に尾根を下り井ノ口山三角点分岐に向かう。倒木を見るが5分も下ると尾根上に立派な柵を見る。今日は久しぶりに井ノ口山三角点へ寄ってみる。

 東へ柵に沿って急坂を5分下ると足元に井ノ口山三角点を見る。井ノ口山三角点はピークにないので珍しい。さらに1,2分下ると目の前に立派な伏条台杉を見る。昔は柵がなく近づけたが、今は遠巻きに柵で囲まれている。だから最近ここへ足を運ばなくなったのだろうか?。立派な台杉だが芦生の大杉を見ている人には物足りないかもしれない。

5分も下ると尾根に立派な柵が 斜面にある井ノ口山三角点

 久し振りに伏条台杉も拝見したし、と尾根に戻ることになるが急坂を登り返すのはシンドイ。やっと尾根に戻りタイムチェック、予定より20分早いとここで昼食とする。

 今日最後の鍋谷峠道の様子が分からないので、おにぎりを急いで食べ早々に出発する。予定時刻10分前に出発、尾根を南へと下っていく。この10分前出発が最後に役に立ったのである。この尾根には倒木があるか哲郎が昨年下っているので安心だ。

 何度か倒木に出合うが大きな迂回もなく下ることができる。途中何本かの台杉を見ながら30分歩いて最後は左手に広域林道を見ながら林道に降り立つ。ここは井ノ口山林道の分岐点である。

尾根の台杉も台風で無残 途中何本かの台杉を見ながら
最後は左手に広域林道を見ながら
林道に降り立つ

 林道を南へと歩きはじめる。林道は下っているようだが下りを感じない程緩やかである。特に見るべきものはないが、時々東に広がる京都北山の山々を望む。右手の尾根が切れた鞍部に近づき左手にのり面の柵が見えてくる、そこが峠である。

 林道を20分、井ノ口山分岐から50分歩いて鍋谷峠に着く。13時15分なので予定より10分早く着いた。原地中の町のバス時刻は14:32なので残された時間は75分、鍋谷峠道が荒れているかもと予定では40分と多めに設定していたのだが、バスには十分間に合うだろうと一安心する。

広域林道で鍋谷峠へ向かう 鍋谷峠に着く

 鍋谷峠道の古道は、この広域林道ができた時、のり面工事で峠付近だけ無くなっている。過去の記憶では、「峠道を登ってきて最後はのり面に作られた階段を登って広域林道に出合った」である、15年前の話である。

 早速その階段を探すが草ぼうぼうで見当たらない。のり面の下の方には大きな倒木が横たわっているし、どうしようということになる。古道の先端は左手の小さな支尾根にあるので支尾根を下ろうか、草をかき分けこの斜面を下ろうか・・・。時が過ぎていくので、過去に登ってきたこの斜面を下ることにする。

 のり面の階段は見えないが、柵の切れ目から進入し下っていく。「歩きにくい!」と道子、そのうち階段が現れそこを歩くが、草で階段が消え再び歩きにくいと。立ち止まった道子は支尾根を覗き「古道がある!」というが、哲郎には分からない。

柵の切れ目から進入し下っていく 階段を見つけるが歩きにくい

 倒木まで降りてき来るが、こんなところには必ずイバラが絡んでくる。倒木を越えず左手の支尾根に乗り、少し下ると古道がはっきり見えてくる。古道に降り後ろを振り返ると、のり面にはっきりと階段が見える。

大きな倒木が邪魔をする 振り返るとはっきりと階段が見える

 「13時30分や!」と哲郎、峠に着いてから目の先の古道に乗るまで15分もかかってしまう。ここまで来て「最初から支尾根を下ったらよかった!」と後悔する哲郎。古道はすぐにハッキリしてきて、これを急ぎ足で下っていく。

 植林地の中、古道は左に折れ斜面を巻いていくと下に谷が見えてくる。記憶では古道は谷に出合ったのだが「この谷筋ではないようだ」と地形図で確認する。谷に出合うのは次の谷筋なので先を急ぐ。そのうち右下に細い林道が見えてきて谷に降り立つ。

古道はすぐにハッキリしてきて 右下に細い林道が見えて

 谷と言っても枯谷、絡まった倒木を抜け林道を下っていく。谷も林道も荒れ果ててはいるが歩くには全く問題ない。崩壊した林道を越えると谷の合流点、ここで右手の林道と合流する。登るときはここが最後の分岐点である。

 この付近も林道や谷が荒れていているが谷が小さいので難なく進むことができる。しかし進むにつれ倒木を見るようになる。次の谷の合流点からは林道に大量の倒木を見るようになる。

谷も林道も荒れ果ててはいるが 次の谷の合流点からは
林道に大量の倒木を見る

 行けども行けども倒木は続く。小さな谷間の小さな林道の上の倒木は歩きにくい。わずかな隙間を探しながら進行するので時間がかかってしまう。「バス大丈夫?」と道子、「大丈夫だろう!」と返事する哲郎だが、もう間に合うかどうかは分からない。

 最後の倒木だろうか、それを抜けると前方が明るくなってくる。「やれやれ!」と言ったところで突然目の前の林道が消える。ここで対岸の林道と合流していたのだろう、谷を渡り対岸へ移る。

行けども行けども倒木は続く 歩いてきた林道はここで消える

 14時02分、どうやらバスに間に合いそうだ。もう谷間も広がってきたので林道には倒木はないだろうと安心する。バス道にある鳥居が見えてきたところで着替えや後始末をする。

 井ノ口山の林道に出合い橋を渡るとバス道、右にとり原地中の町バス停へ向かう。バス停の手前にはオーストラリアからやってきたというレストランがある。古民家を改造したお店だが、「わざわざ!」と哲郎はここに来ることはないだろう。

 バスまで15分、「やれやれ!」とバス停に着く。古い地図ではこの峠道は下りで30分と記されているが60分もかかってしまった。林道の倒木は伐採まで放置されるようなので、「この鍋谷峠道は当分の間使えないな!」。

井ノ口山の林道に出合い 原地中の町バス停にあるレストラン





地には花が咲き乱れ、
歌の季節がやって来た。
山鳩の声が、私たちの国に聞こえる。


雅歌 【 2-12 】
赤く光るイワウチワの葉


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