八経ヶ岳(トンネル西口〜弥山)//大峰


1915m八経ヶ岳の山頂の風化木の中でお昼にする



2009.7.4 (土) 曇り  洛西オヤジ、哲、道



往復:京都 ⇔ 車で行者トンネル西口


コース:
トンネル西口〜奥駈道出合〜弁天ノ森〜弥山〜八経ヶ岳 ⇔ (往復)








 洛西のオヤジさんから「オオヤマレンゲを 見に行きましょう」とお誘いがあり同行することになる。朝4時起きで5時に京都を発つ。「遠出の山行きは 大体こんなもん」だろうが、朝が苦手は哲郎にはちょっとキツイ。もっと大変なのは迎えに来てくれるオヤジさんで、遅刻をしないようにと2時頃から寝ていないそうだ。でも早朝は車が少ないので予定より早く奈良を抜け、高取町のコンビニで小休止する。遠くの山々は雲が低く垂れ、「晴れてくれるかな」と期待しながら南へ走り出す。

 下市町に入ると周囲は山また山、民家も段々少なくなり、周囲は山らしくなるが、ここからが長くず〜と同じような光景が続く。天川村に入ると309号線のバス路線もここまでで、ここから道が細くなり川沿いを進む。「あ〜 いいながめだ」と途中で立派なトイレで休憩していると、目の前をタクシーが下って行く。オオヤマレンゲをバス+タクシーでチャレンジするのも面白そうだ。

 まだまだ高度は高くなく、標高1100mにあるトンネル西口の登山口はず〜と先のように思える。川沿いの道を南下して行くと、急に勾配がきつくなり大きく左右に振って登って行くと、道路脇に車の列が見え出し「トンネル西口」の登山道に着く。少し下がって駐車スペースを探しゆっくり準備する。時間は7時40分、予定より少し早く着いたようだ。

「トンネル西口」は車がいっぱい トンネル前の登山口から登って行く
谷沿いの登山道の
青いヤマアジサイがきれいだ
左手に大きな滝を見るが、
コースは右の谷を真っすぐに進む

 トンネル前の登山口から登って行くと、谷沿いの登山道の青いヤマアジサイがきれいだ。橋を渡ると分岐があり、奥駈道まで尾根コースと沢コースがある。「行きは沢コース 帰りは尾根コース」とオヤジさんが言う。沢コースは左に折れ谷に沿って歩く。すぐに谷は分岐し、左手に大きな滝を見るが、コースは右の谷を真っすぐに進む。樹木が綺麗で谷筋の好きな哲郎は思わず「いいとこや!」。谷はどんどん登って行き、段々細くなる頃、やっと谷水に手が届き冷たい水で顔を洗う。

出合いから少し登ると
奥駈道のある尾根に合流する
奥駈道出合の標識

 道は谷を離れジグザグに登って行くと人の声が聞こえ、オヤジさんが「もうすぐ尾根コースに 出合いますよ」と。出合いから少し登ると奥駈道のある尾根に合流する。周囲は大きなシロヤシオが並び、ちょっとした広場になっている。 出合いで皆さんと一緒に小休止する。「さあ!」と弥山に向け尾根道を歩き始める。大小のブナやカエデ、シロヤシオ等、綺麗な樹木が続き心地よい。登山道は奥駈道なので広くて歩き良い。弥山まで2kmで少しのアップダウンはあるものの、標高1500m〜1600mの穏やかな歩きが続く。途中に標高1600mの三角点がある「弁天ノ森」という山を通過するが、前後がなだらかなのでピークという感じがしない。

登山道は奥駈道なので広くて歩き良い 「弁天ノ森」という山を通過する

 今日は雲っていて展望が利かないのが残念であるが、前日の雨上がりのせいか、その分目の前の樹木の緑が綺麗に見える。道中多くの人と出合うが、皆さんの口から出てくるのは「ショウキランは どうでしたか?」という言葉である。どうやらこのコースはオオヤマレンゲ見物だけでなく、否ショウキランを楽しみに出かけて来るようだ。オヤジさんも哲郎も足元を見ながらず〜と歩いているが、そんなに簡単に見つかるものではない。

樹木の緑が綺麗に見える 理源大師像

 理源大師像を過ぎると、ジグザグに登り始め弥山への登りが始まる。先ほどからたくさんのバイケイソウに出合っていたが、枯れたように黄色くうなだれて花の咲いているものは少なかったが、この登りで目にするものは皆元気のようだ。そのうち木で造った階段状の道に変わると、三人の足は遅くなる。木道も終わりジグザグに登って行き、やっと尾根に出合い小休止とする。一登り終わったのだろう皆さん大体同じ場所で休息する。

ジグザグに登り始め弥山への登りが始まる そのうち木で造った階段状の道に変わる

 ここは本来見晴台のようだが、今日は遠望はできない。足元を見ると、尾根一面に小さなハートの草が続き「これ マイヅルソウ?」と余りの多さにびっくりする。でも、どれも花がないので半信半疑である。再び尾根を西へと歩き始めると、やがて立派な建物のある広場に到着する。「これが弥山小屋か」と予想以上に綺麗な建物で、そのそばにある有料トイレを借りる。まだ10時50分なので「先に オオヤマレンゲを見よう」と言うことになり、南への奥駈道を下って行く。

予想以上に綺麗な弥山小屋 左手に保護柵が見えてきたのでのぞいて見る

 周囲は針葉樹に変わり、山の感じが一変する。少し下ると、左手に保護柵が見えてきたのでのぞいて見ると、オオヤマレンゲは遠くの方にあるのだろう、見えないが手前にカラマツソウが咲き、その下には多くのマイヅルソウが少しの花をを残し群生している。「やっぱり マイヅルソウや」とその多さにびっくりする。さらに下って行くと再び保護柵に出合い、トビラを開けて進入する。「あるある」と目の前のオオヤマレンゲに見入る。どの花が見頃なのか分からないが、ツボミもたくさんあるので、まだまだ楽しめそうだ。この保護柵の中にはオオヤマレンゲの他に、サンカヨウ、カラマツソウ、マイヅルソウ、ヤマトユキザサなどたくさんの野草が群生していて、こちらの方も十分楽しめる。

トビラを開けて進入する 「やっぱり マイヅルソウや」と
「あるある」と目の前のオオヤマレンゲ ヤマトユキザサなどたくさんの野草が群生

 保護柵を抜けると登りになり、一登りすると八経ヶ岳の山頂に着く。狭い山頂に次から次へとやって来ると人、「お昼にしよう」と山頂を過ぎた所にある立ち枯れの風化木の中に入って行く。標高2000m近くなると、さすが風が冷たく感じ風がない所に座る。卵焼き入りの手作り弁当を食べ終えたオヤジさんが「コーヒでも 飲みましょうや」と紙カップを持ってくる。「これは 砂糖、クリープ、スプーン・・・」「ないない コーヒがない!」セットになっているはずなのに、何度見ても何故かコーヒだけがない。で、今日はお気持ちだけ頂くことに。前方の鞍部に雲がかかり、急速で流れているのが見える。「時間も いいころや」と昼食後は弥山に引き返すことにする。

一登りすると八経ヶ岳の山頂に着く 下山時に八経ヶ岳を見る

 弥山まで30分の道のりだが、保護柵の中に入ってしまうと、やはり見入ってしまうオオヤマレンゲ、再びデジカメのシャッターの音がする、弥山小屋まで戻って「時間がある」と弥山の山頂へ寄ってみる。弥山から下り始めると3人はすっかり忘れていたショウキラン、周囲の人の情報を収集しながら下って行く。「登り口に 3本ありました」「倒木の横に 1本ありました」と登山客のデジカメをのぞいて見ると、いずれも開花前だが確かにショウキラン、弥山の登り口の座像まで探しながら歩いて下りて行く。

 登りがきつかった木道、帰りは「ポン♪ポン♪ポン♪」と快適に下る。理源大師像手前の登り口にあったというショウキラン、見つからなかったので見たという方に場所を教えてもらうが、これまた下りで分かりにくい。「ここだ!」と叫んだ指先には小さなショウキランが1本だけである。3−1=2、「2本 どうしたんや!」と彼もびっくり。「誰か 持って行きよったか けしからん!」とそこにいた人々は皆、盗掘者を非難する。理源大師像前で休憩していると、先ほどの方が「こんな所にある」と教えてくれた前方の大きな石の上に、引き抜かれた2本のランが無残な形で立っているのを見る。

「時間がある」と弥山の山頂へ寄ってみる 前方の大きな石の上に、引き抜かれた
2本のランが無残な形で立っているのを見る

 「仕方ない もう1本を見よう」と登山口へ向かって歩き始める。ブナやカエデのなだらかな尾根を歩いていると、まだまだ次から次へとやって来る人、人・・・。「ここのオオヤマレンゲは 随分と有名のようだ」。またまた団体さん、道をあけると「26名 続きます!」とゾロゾロと歩いて行く。26名とはバスでやって来たようだ。はじめは「日帰りですか?」の問いに「日帰りです!」との返事がきたが、弁天ノ森を過ぎる頃からは「泊まりです!」と返ってくる。

登山口への支尾根を下り始める 下山を同行している三重から来た3人連れと

 もう1本のショウキランも通り過ぎてしまったようで「咲いてもいないし」と皆さんあきらめることにする。奥駈道も終わり、登山口への支尾根を下り始める。シャクナゲの多い急な道が続くが、木がたくさんあるので道子も安心して下ることができる。しゃべり足らないオヤジさんは、下山を同行している三重から来た3人連れと冗談を交えながら話し続け、「これからは弥山の師匠と 呼ばせて頂きます!」、三重の池小屋山の話で盛り上がったところで「三重県の 師匠と呼ばせて頂きます!」等々、疲れ知らずのオヤジさんは話し続け満足げに下りて行く。

 今日はオオヤマレンゲとたくさん野草と近畿最高峰の八経ヶ岳を満喫し、満足のいく山行きとなる。「洛西オヤジ」さんありがとう!








彼は私の足を雌鹿のようにし、
私を高い所に立たせてくださる。

サムエル記 U 【 22−34 】
バイケイソウ